世界的な影響力を持つワイン専門誌ワインスペクテーターとは?

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公開日 : 2018.7.20
更新日 : 2023.7.12
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世界的にワインの価格に多大なる影響を与える存在と言えば、アメリカのワイン評論家であるロバート・パーカーですが、彼がワイン雑誌『ワイン・アドヴォケイト』を発刊した当初からのライバル的な存在であるワイン専門雑誌『ワインスペクテーター』をご存知ですか?

今や、ロバート・パーカーがワインに与える点数である「PP(パーカーポイント)」や「WA(ワインアドヴォケイト)」と並んで語られるほどワイン界に影響を与える存在なんです。今回は、マーヴィン・シャンケン率いるワインの名テイスターたちが手掛ける『ワインスペクテーター』についてご紹介したいと思います。

目次

ワイン・アドヴォケイトより1年早く創刊

ワイン・スペクテイターのロゴ

『ワインスペクテーター』はボブ・モリッシーによって1976年に隔週刊の雑誌として創刊されました。

当時はカリフォルニアワイン業界のニュースが主な内容でしたが、資金不足のため僅か3年で廃刊寸前になってしまいました。しかし、1979年に『ワインスペクテーター』のファンだった元不動産投資銀行家だったマーヴィン・シャンケンが、4万ドルで買い受け、オーナーになってから起死回生させました。

既にワイン雑誌『インパクト』を所有していたマーヴィン・シャンケンはロバート・パーカーと同じように自分の足で多くのワインを探して回り、1980年には評価チームを結成。また、公正にワインを評価するためにブラインド・テイスティングを徹底しました。採点方法にもこだわり、カリフォルニア大学デイヴィス校方式の採点方式を改良し9点満点の採点方式を採用しました。

しかし、あまり評判が良くなかったのか、ヨーロッパで一般的な20点満点方式のデイヴィス校方式に変更しましたが、現在は、ロバート・パーカーが成功を収めた100点満点方式を採用するに至っています。

ワインスペクテーターの特徴は?

ワイングラスと本

『ワインスペクテーター』では、ワイン産地やレストランを丁寧に取材した記事を紹介しています。かつて、ロバート・パーカーが単独で点数をつけていた『ワイン・アドヴォケイト』に対して『ワインスペクテーター』では評価チームのメンバーたちの意見が反映されています。

中でも、1万本以上のワインの中から、その年の100のワインを決める『年間トップ100』は名物企画で、トップ10に関しては数年分のバックナンバーを含めてテイスティングコメントなどを公式サイトで確認することができます。

これは90点以上を獲得したワインの中から生産者のスター性、ワインの質や価格、入手のしやすさなどを考慮したランキングとなっており、その話題性からトップ100入りしたワインは価格が上昇し、入手困難になる傾向があります。

公式サイトでも魅力的な情報が満載

ワイン・スペクテイター公式サイトのキャプチャ

他にも、公式サイトでは1日1本のワインを簡単なテイスティングコメントと共にピックアップする「Daily Wine Picks」など、様々な情報を楽しむことができます。紙媒体ではワインに詳しい有名人のコラムや詳しいテイスティング評論、ワイン産地の情報など、さらにワインに関するディープな情報が掲載されています。

どのようにテイスティングされている?

テイスティング用ワイングラス

『ワインスペクテーター』のテイスターたちは、ブラインド・テイスティングで年間15,000本以上のワインをレビューしています。その中で400~1000件のテイスティングコメントが各号に掲載されます。

試飲するワイン大部分は、ワイナリーもしくはアメリカの輸入業者によって提供されるものですが、その他に関しては年間何千ドルもの費用をかけて購入しているそうです。

100点満点方式について

『ワインスペクテーター』は『ワイン・アドヴォケイト』と同じく100点満点方式でワインを評しています。点数の目安は以下の通りです。

95点~100点クラシック:素晴らしいワイン
90点~94点優れたキャラクターとスタイルを持つワイン
85点~89点非常に良い:特別な性質を持つワイン
80点~84点良い:しっかりとした造りのワイン
75点~79点平凡なもの:軽度の欠陥があるワイン
50点~74点推奨しない

バレルから試飲する場合はそのワインを未完成とし、「90点~94点」というような幅をもたせた点が与えられています。

2017年に高得点を与えられたワインたち

2017年の『年間トップ100』のうちトップ10が発表されましたが、今回はその中でもトップ3をご紹介します。

1位:メルロ・スリー・パームス・ヴィンヤード 2014 / ダックホーン

メルロ・スリー・パームス・ヴィンヤード 2014ボトル

フレンチオークの新樽を75%使用し、18カ月の熟成を経てリリースされた力強いワインです。

レッドプラムやチェリー、木イチゴなどの凝縮した赤系果実の力強い風味があり、きめ細やかなタンニンやスパイス、スレートを思わせるミネラルも感じられる贅沢な1本となっています。

『ワインスペクテーター』では、ワイン映画「サイドウェイ」によりピノ・ノワールブームが訪れてメルロの存在が霞んでしまっていたことを挙げ、「カリフォルニアで最上級のメルロを造ることができると十分に証明する1本である」とメルロブームの再来を予見するコメントをしています。

2位  シラー ワラ・ワラ・ヴァレー パワーライン・エステート 2014 / ケイ・ヴィントナーズ

シラー ワラ・ワラ・ヴァレー パワーライン・エステートのボトル

多くのシラーファンを虜にする「ケイ・ヴィントナーズ」。オーナーのチャールズ・スミスはカリフォルニア北部でワイン造りをしていた家の出身でしたが、ロックンロールに魅せられてバンド活動をしていたという変わり種でした。

しかしワイン造りを開始したところ、1999年のファーストヴィンテージが『ワインスペクテーター』で91点、2003年ヴィンテージが『ワイン・アドヴォケイト』で97点という高得点を得て、2009年にはアメリカのワイン雑誌『ワイン・エンスージアスト』で100点満点を与えられるという快挙を成し遂げました。

2014年ヴィンテージは、スモーキーなローストミートやフローラルブラックベリー、ダークプラム、胡椒、リコリス(甘草)の大胆でしなやかなそれぞれの香りが調和している、インパクトの大きな1本となっています。

3位 シャトー・クーテ 2014 / シャトー・クーテ

シャトー・クーテのボトル

フランス・ボルドー地方のバルサックを代表するシャトーの貴腐ワインです。優美でバランスが取れており、多くのファンに支持されています。この地域では特1級のシャトー・ディケムが有名ですが、シャトー・クリマンと並び1級の格付けワインでトップクラスのシャトーとして歩み続けています。

2014年ヴィンテージは、パイナップルや黄色のリンゴ、緑のプラムと生姜の風味がバルサックの鮮やかで華麗な側面をよく表しています。最後にはハニーサックルやオレンジの花が余韻として残ります。

まとめ

『ワイン・アドヴォケイト』と並んでワイン業界に大きな影響を与える『ワインスペクテーター』。

コストパフォーマンスの高いワインや低価格のワインなども積極的に発掘しており、ワイン初心者の強い味方としても名高い存在です。雑誌は手に入れるのが大変……という人は、ぜひ一度、公式サイトを覗いてみてくださいね。

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