初の海外取材"うかい亭 高雄(カオシュン)様"

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レポート
公開日 : 2017.11.5
更新日 : 2022.5.19
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今回の目的地は、グルメな国台湾。日本で高級鉄板焼き、割烹などの業態を展開し、今年は東京大手町にブラッスリーをオープンした株式会社うかい様が、台湾の南に位置する高雄に、海外初進出となるレストラン”Ukai-tei Kaohsiung(うかい亭 高雄(カオシュン))をグランドオープン。今年7月からソフトオープンをしており、訪問したのはグランドオープンを2週間後に控えた10月の下旬。東京は肌寒い季節に差し掛かった時期で、高雄の空港に到着した日の気温は摂氏31度と、高い湿度もあり猛烈な蒸し暑さに驚かされるも、早速FIHリージェントグループが運営する最高級ホテルSilks Club内のレストランに向かった。

目次

モダンアートの緊張感と高級感

静寂な空気に包まれたホテルのエントランス

並々ならぬ情熱をデザインに注いだ雰囲気のエントランス。それもそのはず、オーナーが建築家であり、このホテルの客室も含め関わったデザイナーが約150名にも及ぶ、一大プロジェクトのもとに産声をあげているからである。

鉄板焼きの芳ばしい香りに包まれる店内

※画像はご使用の再生機器、ブラウザによっては再生できない場合がございます。

2階と3階に位置する 広さ1580平米のお店は、2階が鉄板焼き、3階がステーキハウスになっており、店内を階段で行き来できる設計となっている。総席数は個室を含めて60席を超える集客力があり、今回は18席の鉄板焼きカウンターに座り、日本からスタッフの調理レクチャーのため高雄入りしていた”あざみ野うかい亭 松崎調理主任”に、TEPPANYAKI DINNERの醍醐味を目の前で教えて頂いた。

新鮮な海の幸がお出迎え

左からオマール、牡蠣、鮑、ホッキ貝

席についてキリッと冷えたグラスの白ワイン、アレグリーニのソアヴェを飲みながら、新鮮な食材を眺めながらの前菜選び。ワインはイタリアのヴェネト産の辛口タイプで、酸味もしっかりしているので北海道から空輸されたホッキ貝をチョイス。

雲丹と海鮮スープの茶碗蒸し

柔らかくぷりんとした食感の茶碗蒸しは、海鮮の出汁と雲丹のコク旨感がたっぷりで、何杯でもお代わりしたくなる味わい。ワインと見事に同調するペアリングは、ソアヴェが大昔は海底であり、地中からは魚の化石が出土する場所で造られるため、ミネラルを豊富に含む味わいとなり海鮮料理と寄り添う。餐飲部を統括するMr.York Liao の目利き力がキラリと光ったペアリング。

北海道のホッキ貝のグリル ブールブランソース

日本語で半ナマ、フランス語でミキュイと呼ばれ、食材の中心をほんのり生の状態で仕上げる火入れ方法で、鮮度に自信がないともちろん出来ない。ホッキ貝の芳ばしい表面が何とも言えない美味しさで、添えられた台湾筍のコリコリ感もこの土地ならでは。生クリーム、ワイン、ヴィネガーで作られ濃厚でありながらもサッパリしたソースは、食材にバランス良く絡みワインとのペアリングも卓越したコンビネーション。

鮑の岩塩焼き 2色のソースと黒トリュフ

台湾の北部で採れた鮑に期待膨らむ。まだ活きた状態の鮑が鉄板の上で熱され、すぐに昆布で包まれる。名前は岩塩焼きだが、実際に使用するのは岩塩ではなく、盛られて山のように硬くなった姿が岩塩に似ていたので名付けられた。約10分程度スチーム加熱された鮑は、少し縮こまり旨味が凝縮した見た目で、アサリの出汁のクリームソースと、トリュフのマデラソースの2色ソースが添えられる。さらに黒トリュフが目の前で削られ、高級食材の香りが辺り一帯に広がり期待は最高潮。ミシュラン★★★レストランで出てきそうな逸品は、鮑の絶妙なコリコリ感と中心の柔らかな弾力が極上で、和風のクリームソースと甘味の強いマデラソース味を交互に楽しむと、異なる世界観が広がり重層的なグルメとなる。ワインは1種類で合わせるには無理があるので、変則的ではありながらも白ワインと赤ワインを同時に注文し、ホワイトソースには白ワイン、ブラウンソースには赤ワインを合わせもうワンランク上のグルメに。日本でもできるので絶対に試して欲しいペアリング。

オーストラリア和牛のステーキ

最高峰のお肉、神戸ビーフを作り出す但馬牛の種をオーストラリアで放牧して育てるので、深い赤身の味わいが特長。ミディアムレアの注文にドンピシャで焼き上げて頂いたお肉は、噛めば噛むほどサシの脂の味わいが広がり、追っかけで赤身の上質な鉄分と旨味も口一杯に広がる。合わせたチリの赤ワイン、アイランド・イースター・メルローは軽すぎず重すぎずのミディアムな味わいであるため、バランスの取れたお肉の味わいにはベストマッチ。繰り返しにはなるが、前出のMr.York Liao の目利き力に感服。

余談ではあるが、付け合せには筍、お皿の模様には竹があしらわれているのは、実は高雄のシンボルは竹で、現地では筍を茹でてマヨネーズで食べるのがポピュラーであるため、ローカルカルチャーに対して敬意を払う意味も込めて、特注でデザインしたとのこと。

〆のガーリックライス

シンプルなお料理だからこそディテールに拘る。ガーリックライスを美味しくするため、昆布で出汁を取り、そこに塩を入れ、水分が蒸発するまで煮立てて昆布風味の塩を店内精製するほど。鉄板では醤油を垂らし、焦げ始めたタイミングで上部の水分をステンレスのヘラで取り除き、芳ばしくも凝縮した部分の醤油のみを残しご飯を炒める。ここにも職人の技が光り、仕上がりはモチモチな食感のおこわ風ガーリックライス。コメ一粒一粒に染み込んだガーリック醤油の繊細な風味が素晴らしい。現地では色々な具材を入れ炒飯にするので、この究極にシンプルでモチモチした食感には意外性があると思う、とは前出の松崎調理主任。

同じフロアーの獺祭バーに移りデザート

※画像はご使用の再生機器、ブラウザによっては再生できない場合がございます。

個人的に、同じ場所で同じ椅子に座って食事を続けるのは苦手なので、メインディッシュの後に場所移動できるのは嬉しい。木目調に統一された、ラグジュアリーな和テイストの空間は、私を含めた日本人、現地の台湾人、そしてアジア人が好んで寛げるデザインだと思う。獺祭バーは昨年末まで期間限定でシンガポールに出店しており、アジアでは2店目となる台湾店。そこで供されるデザートは選択式だが、選んだのはさっぱりとしたグレープフルーツのグラニテ。お料理に多くの油は使われないので重くはないはずだが、高級食材には旨味成分が多く、食後は満腹感が広がるので、デザートには甘い系ではなくスッキリ系をオススメしたい。

最後に、異国の地での新しいチャレンジとなるうかい亭 高雄 様の成功を心よりお祈りすると同時に、和食を代表する鉄板焼きの文化が台湾で受け入れられる事を、1人の日本人として微力ながら応援したいと感じました。

今回、お店でご対応頂いたスタッフの皆様に重ねて御礼申し上げます。

Ukai-tei Kaohsiung

SILKS CLUB No.199, Zhongshan 2nd Rd.,Kaohsiung City 806 Taiwan

www.silks-club.com

www.ukai.co.jp

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