【長谷川あかりのわいん泥棒】白ワインとアボカドとサーモンのオープンオムレツ
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これといって趣味と呼べるものがない私だが、唯一、高校生のころからずっと続いているのがグルメサイトやグルメブログを読み漁ることだ。自分で料理をするようになったことをきっかけに食べ物に興味を持ち、レシピを調べていくうちに、世の中には自分の知らない料理がこんなにもあるのかと驚いた。同時に、東京にはいわゆるチェーン店とも居酒屋とも違う、個性豊かな飲食店が数えきれないほどあることも知った。憧れた場所はどこも未成年が気軽に足を運べるような店ではなかったから、当時は眺めることしかできなかったが、だからこそ余計に憧れたし早く大人になりたいと思った。
とくに惹かれたのはビストロ。まるで海外の街角にあるようなおしゃれな外観に、聞いたことのない食材の名前が入った手書きのメニュー、ずらりと並んだ空のワインボトル……!レビューを読んでとりわけ心をつかまれたのは前菜のメニューだった。タコとアボカドのサラダ、レモンバターのオムレツ、ウフマヨ、お魚のタルタルサラダ。メインのお肉やパスタよりも軽やかでこじゃれたおつまみ系の料理にぐっときて、飲んだこともないくせに「こういうのが白ワインに合うんだろうな」と思った。料理の写真を眺め、どんな味がするんだろうと想像を膨らませるだけで幸せだった。
話は逸れるが、そのころの私はアボカドを狂ったように食べていた。私にとってアボカドは憧れの象徴だったから。アボカドのポテサラ、アボカドのペースト、アボカドのポタージュ……。素敵な大人の生活にはアボカドと白ワインが欠かせない(はず)と本気で思っていた。
成人し、何年もレビューを読み続けた店に初めて入ったときの感動は忘れられない。頭の中で何度もシミュレーションしていた通り、前菜とグラスの白を頼んだ。やっと入口に立てたような、少し誇らしい気持ちになった。
今はどんな店でも自分で行けるけれど、相変わらずレビューを読んだり写真を眺めたりしながらどんな味なのだろうかと妄想する時間が好きだ。食べれば終わってしまうけれど、まだ食べていない間は楽しみがずっと続く。その感覚が、自分にとってはとても心地よい。
わいん泥棒なレシピ:アボカドとサーモンのオープンオムレツ
アボカド、バター、スモークサーモン、レモン、チーズ…あの頃憧れていたビストロのメニューでよく見かけた食材を、ふかふかでまろやかなオムレツの上にひとつひとつそっと並べて。
軽やかで飲みやすい白ワインとのヘルシーなマリアージュは、毎日でもリピートしたくなる。
【材料 2人分】
卵 3個
塩 小さじ1/3
玉ねぎ 1/2個(100g)
アボカド 1/2個
スモークサーモン 30g
レモン 1/8カット
バター 15g
粗びき黒こしょう 少々
粉チーズ 適量
1.玉ねぎは繊維に沿って2mm幅の薄切りにする。アボカドは角切り、スモークサーモンは食べやすく切る。卵は溶きほぐし、塩を加えて卵液を作る。
2.フライパンにバターを入れて中火で溶かし、玉ねぎを加えて弱めの中火で2~3分炒める。しんなりしたら卵液を回し入れる。
3.大きく2~3回混ぜて表面を平らにし、弱火にしてふたをする。2~3分焼き、好みの焼き加減になったら火を止める。
4.器に盛り、アボカド、スモークサーモンを並べ、粗びき黒こしょうと粉チーズをふる。レモンをしぼって出来上がり。
アボカドのまろやかさとサーモンの塩気を白ワインの軽やかな酸がスッキリまとめてくれる。バターやチーズのコクとレモンの爽快な余韻とのバランスも絶妙。
「ソアヴェ」というワイン名には「心地よい」という意味があるらしいが、その名の通りの味わいに嬉しくなる。ブランチにも軽い夕食にもピッタリなペアリング。
今回合わせたワインはこちら
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