ラグビーとワインを絡めたオンラインイベント「廣瀬俊朗のワインにトライ!」第2回 南アフリカ編を開催!
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先日、元ラグビー選手の廣瀬俊朗さんをナビゲーターにお迎えし、ラグビーとワインを絡めた新しい切り口のオンラインイベント「廣瀬俊朗のワインにトライ!~ラグビー強豪国はワイン銘醸地。廣瀬さんとワインを楽しもう~」の第2回を開催しました。
ラグビーの強豪国は、実はワインの銘醸地が多いことから、ラグビーとワインという異なるジャンルを同時に体験しようという、新しい形のトークイベントです。
第2回目のテーマは、南アフリカ。スペシャルゲストとして南アフリカのレオパーズ・リープからセールス・ディレクターのマリウス・コッツェさんとサポーター兼通訳として、エノテカの南アフリカ担当バイヤー、笠原亮さんが登場しました。
大盛況となったオンラインイベントの様子を一部抜粋してご紹介いたします。
第1回のレポートはこちら
「クリソンテ!(乾杯)」知られざる銘醸地、南アフリカ
廣瀬さんの「クリソンテ!」の掛け声で始まった南アフリカ回。「クリソンテ」は現地のアフリカーンス語で「乾杯」を意味する言葉です。
このイベントは「ワイン好きをラグビー好きに、ラグビー好きをワイン好きにしたい」という廣瀬さんの思いから生まれたもの。今回は南アフリカを舞台に、ラグビーの強さとワインのおいしさの秘訣について熱いトークが繰り広げられました。
2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップでの優勝も記憶に新しく、アフリカのラグビーの強さは周知の事実ですが、実はワインも近年めきめきと頭角を現し、輸出量世界8位の生産地になっています。
実は廣瀬さんは、南アフリカにはまだ行かれたことがないそう。
「でも南アフリカの選手はたくさん来日していますし、引退後に東芝ブレイブルーパス東京で一緒に仕事をしたピーター・ロッソウさんが南アフリカにワイナリーをもっているので、そのワインを飲んだことがあります。南アフリカはどんな産地なんでしょう?」と廣瀬さん。
これにはエノテカの笠原さんが答えます。
「緯度を見ると北半球ではサハラ砂漠に相当しますので相当に暑い地域だと思われるかもしれません。しかし、南極から流れてくるとても冷たい寒流“ベンゲラ海流”の影響と南東からの強風である“ケープドクター”の影響によってブドウの栽培に最適な温度になっているんですよ。強風はカビなどのリスクも減らすので健康でワイン造りにぴったりなブドウが育つというわけです」
美味しいワインは健康なブドウからしか生まれません。南アフリカはまさにブドウ栽培にピッタリな気候なのです。
マリウスさんからも南アフリカならではの環境についてご説明いただきました。「南アフリカの気候と土壌には大きな多様性があります。基本的には地中海性気候ですが、インド洋と大西洋が交わることにより、様々な微気候と土壌が生まれました。
そういった多様性が我々のワインの個性や魅力を形づくっているんですよ。さらにレオパーズ・リープはこれまで長年にわたりワインの造り方を工夫し、手に取りやすい価格で提供できるように取り組んできました」。
マリウスさんの説明に廣瀬さんも納得の様子。「コストパフォーマンスも素晴らしいなと思いながら飲んでました!」
恵まれた環境から造り出される、高品質ながら手頃な価格の南アフリカワインに、銘醸地としてのポテンシャルを感じた様子の廣瀬さんでした!
この30年間に変化したこと。ラグビーとワインが急速に進化した理由
1994年にネルソン・マンデラ氏が大統領に就任するまで、南アフリカは“アパルトヘイト”と呼ばれる人種隔離政策を行っていました。そのため、1980年代には世界各国から経済制裁を受け、ワインの輸出もままならなかった時代がありました。
アパルトヘイトが影を落とした南アフリカのラグビーの歴史について、廣瀬さんに解説いただきました。
「元々南アフリカのラグビーの歴史は長いのですが、第1回目、第2回目のワールドカップには出場できなかったんです。アパルトヘイトに区切りがついてようやく1995年に第3回目のワールドカップの出場権を獲得しました。
ラグビーはイギリス発祥なのでそれまでは黒人の方にとっては身近とはいえないスポーツだったんじゃないかな?ネルソン・マンデラさんはあえてそこでラグビーを応援することで、ラグビーを通して黒人と白人の融合を目指しました。
2019年のワールドカップでは初めて黒人のキャプテン、シヤ・コリシ選手のもとで戦い優勝したことは、南アフリカの大きな進化を感じます。」
多様性を力に変えてきた南アフリカですが、ひとくちに“多様性”と言っても、その背景は簡単ではないようです。
「僕もキャプテンとして多国籍なチームをまとめていくことに苦労しました。多様性をまとめ、強さに変えることは難しいこと。
キャプテンを中心に寄り添うことはもちろんですが、苦しい思いをした方の立場の人から寄り添っていったことで、南アフリカには他には見られない、素晴らしいカルチャーができたのではないかなと思います。」
ワインは人とシェアする飲み物なので、人と人を結び付ける力があります。人が寄り添い合い強いチームを作っていくことは、ワインを生業とする我々にも学びが多いお話でした。
笠原さんからはワイン業界の取り組みをご紹介。
「スペシャル・エディション・ピノタージュのボトルの首にシールが貼られています。こちらのシールが日本に輸入される全ての南アフリカワインに貼られている事をご存じでしょうか?
このシールは南アフリカの多様性を持続可能な形で守るため、自然や働く人の環境を大切にするという約束を果たした証に、ワインボトルに貼られます。南アフリカでは1990年代からワイン業界を挙げてこういったサステナブルな取り組みがなされており、生産者が環境と消費者に対し誠実に取り組んできました。その結果がこの30年間の目覚ましい成長を支えてきたのではないかと思います。」
現在、SDGsの認知が広がっていますが、南アフリカがこういった先進的な取り組みをしていたことに廣瀬さんも驚きの様子。ラグビーもワインも多様性を大切にし、強さの原動力にできたことが、現在の躍進に繋がっているようです。
南アフリカより、青空クッキングレポートをお届け
イベントでは南アフリカのグルメもご紹介しました。
南アフリカは歴史的な背景から、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの食文化がミックスされ、独特の食文化が発展しています。南アフリカを訪れた人はあまりのおいしさにびっくりされるそうです。
今回、レオパーズ・リープからイベント開始時間(現地時間で朝10時) の3時間前からコトコト煮込んだ「オックステール(牛の尻尾)の煮込み」を紹介していただきました。
直火を使うのはアフリカの食文化、オックステールを使うのはヨーロッパの食文化、そして玉ねぎとニンジンを白ワインビネガーと果実の酸味で味付けした付け合わせはアジアの食文化からきたもので、この料理一つとっても、南アフリカの多様性が凝縮されています。ネルソン・マンデラ氏もこの料理が大好きだったそうです。
南アフリカからの食リポを楽しみながら、画面のこちら側でもペアリングを楽しみました。参加者の方々も様々なお料理をご準備下さり、チャットで大いに盛り上がりました。
お客様と廣瀬さん、そしてはるか離れた南アフリカのマリウスさんとで同じワインを飲みながら南アフリカのラグビーとワインを知る、楽しく特別なひとときとなりました。
ご参加いただきましたお客様、誠にありがとうございました!
※現地からの中継時、音声トラブルがあり、大変ご迷惑をおかけしました。改めまして、参加者の皆さまにこの場を借りてお詫び申し上げます。
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