エノテカ&ケーシーズ神戸三田プレミアム・アウトレット店の藤原でございます。
余寒なお去りがたき折ですが、鶯の初音、梅の蕾に春の兆しを感じる頃となりました。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。暦の上では春ですが、未だにストーブから離れられません。
今回私がご紹介したいのは、アグリコーラ・プニカがイタリア・サルデーニャ島で造る「バッルーア」です。
私が強く興味を惹かれたのは、エチケットにある印象的な文様です。月や星のような印があり、何かの図像ではあるようですが、一見しただけでは詳細はまったく不明です。
調べてみたところ、「バッルーア」のエチケットにある古風な文様は、紀元前2000年~1600年ごろから紀元前550年頃まで続いた、ヌラーゲ文明で用いられていたコインがモチーフにされているとのことでした。
また、「バッルーア」の生産区分を見てみると、「IGT Isola dei Nuraghi」とあります。これは「ヌラーゲの島」という意味になります。
ヌラーゲ。全く聞きなじみのない言葉です。気になってしまったので、今度はヌラーゲについて詳しく調べてみました。
ヌラーゲ文明におけるもっとも有名で象徴的な遺跡は、その名にもなっているヌラーゲと呼ばれる石造建造物です。石を積み上げて作った塔状の巨大な建造物ですが、同時期の他の地中海沿岸国に見られる類似の石塔とは製法が異なっており、サルデーニャ島独自のものであるとされています。
現在でも約7,000~8,000のヌラーゲがサルデーニャ島に残されており、サルデーニャ島の面積で割れば、おおよそ3.4平方キロメートルに一つあるという計算になります。判りやすい例と比較するなら、日本における神社が約84,500社あるので、日本の面積で割ればおおよそ4.4平方キロメートルに一つある計算です。
サルデーニャ島と日本の面積に開きがありすぎるので一概には言えませんが、サルデーニャ人が先史時代から現在まで、ヌラーゲを生活の一部としてきたことは明らかなことでしょう。
「バッルーア」に対する理解の解像度を上げたところで、満を持してワインを飲んでみたいと思います。
第一印象はレッドチェリーなどの赤系果実の印象が強く、スパイスやリコリス、ギンバイカやセージなどのハーブのニュアンスもあります。
リコリスはイタリアを含む地中海の果実味の強い赤ワインにはよくある要素ですが、このワインにはリコリスとともにワイルドベリーやサフランなどの華やかで強いキャラクタを感じます。パワフルかつエレガントな余韻は非常に長く、反復して感じられるようでした。
果実味やスパイスがはっきりと感じられるので、甘辛い味のソースやスパイスを用いたお肉料理と非常に好相性です。華やかで優雅な印象もあるため、牛などの赤身肉のバルサミコソテーなどもよく合います。
まったくの余談なのですが、今回この記事を書きながら某地図アプリでサルデーニャを散策していました。どこにヌラーゲがあるのかなと思いつつ歩を進めていると、そのままヌラーゲの中まで入って見ることができてびっくりしました。
現地まで行かずとも、まるでその場に立っているかのように観光することができたのです。いつの間にか卓上旅行がこんなにリアリティを伴ってできるようになっているなんて……。
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