鯨飲な父に贈る、時間をかけて楽しむ赤ワイン

藤原 有津馬(Azuma Fujiwara)

ワインショップ・エノテカ 神戸三田プレミアム・アウトレット店 勤務
JSA認定ソムリエ

ワインを好きになったきっかけ:二十歳になったときに家族にワインを勧められて。趣味:料理、本屋巡り。好きなワイン:バローロ・ラヴェーラ/エルヴィオ・コーニョ。

幼いころから、家では毎日お酒を飲んでいる父の姿を見ていました。毎日眠りこけてしまうまで痛飲する父を見て、幼心に、それについてあまりいい感情を持っていなかったように記憶しています。

しかし父のことが嫌いだったわけではありません。多趣味で行動的な父は「なんでもまず自分でやってみよう」と考える人で、自分で学ぼうと思った技術を数多く身に付けている父を私は尊敬していました。

何より、私自身が家庭を持った今、毎朝5時に起きて出勤し、夜は寄り道もせずに帰宅し、休日は家族を伴ってレジャーに出かけるという父の凄さ、家庭を支えていた父の偉大さに遅まきながらようやく気付くことが出来ました。

つい去年のこと、自分のことを「アルコール分解のエリート」と呼んでいた父は長年の鯨飲と不摂生が祟って病院に搬送され、医師の勧めもあり当面の間断酒を余儀なくされました。

父にワインでも送ろうかと考えていた矢先のことでした。

バローロ・ラヴェーラ / エルヴィオ・コーニョ

父は私にたくさんのことを教えてくれました。

今度は私が、まだ父が触れたことのないものを紹介したいという思いで、父が病から快復した暁には、「バローロ・ラヴェーラ / エルヴィオ・コーニョ」をプレゼントしたいと考えています。

時間が経つほどに香りを開かせ、優美ながらも凝縮感のある香りには他に代えがたい存在感を感じます。

少しずつ味わいの変化を確かめるように飲みながら、グラスを傾ける時間を共有する。そういう時間を父と持ちたい。

出来れば父と一緒に、いつかこのバローロ・ラヴェーラを飲みたい。

私はこのワインをセラーに寝かし続けながら、父が快復する時をずっと待っています。