久田 智志(Satoshi Hisada)
佐野プレミアム・アウトレット店 店長
ワインを好きになったきっかけ:前職時代に生まれ年である1989年のシャトー・ムートン・ロスチャイルドを飲ませてもらい感動したことがきっかけです。趣味:ドラマ・映画鑑賞。好きなワイン:フランチャコルタ・グランデ・キュヴェ・アルマ・ブリュット。
「あなたの尊敬する人は誰ですか?」
そんな質問をされたら私は間違いなく「父」と答えます。
今年で68歳になる父は、60歳まで商社でバリバリ働いており、定年後はゆっくりするのかなと思っていたら、全く畑違いの児童福祉施設へ再就職。今は保育士の資格を取るために10代の若者達と共に保育の専門学校で学生をしています。
常に新たな目標を持って、「年齢なんか関係ない!やると決めたらやる!」そんな父の姿を見ていると、私自身も頑張らなくてはと日々励まされています。
ただ、そんな頑張り屋の父にも、たまにはワインでも飲んでゆっくり過ごして欲しいものです。そこで私が父のために選んだのが、ジャン・レオンの「3055 メルロ・プティ・ヴェルド」。
メルロの滑らかな口当たりに、プティ・ヴェルドがもたらす凝縮感たっぷりの果実の旨味が広がり、「うまい!」と思わず口からこぼれてしまうこちらのワイン。味もさることながら、このワインの背景にあるストーリーが、とてもドラマチックなんです。
ワイナリー創設者ジャン・レオンは、スペインの貧困層に生まれながら19歳という若さで渡米し、ハリウッドで名を馳せた伝説のレストラン「ラ・スカラ」を築き上げ大成した人物ですが、最初から全てがうまくいったわけではありません。数ある大きな壁を乗り越えてアメリカンドリームを掴み、ワイナリーを立ち上げました。
アメリカに渡って、右も左も分からず、お金もない彼が初めて彼が就いた仕事がタクシー運転手でした。このワインの名前にもなっている「3055」はタクシー運転手時代の彼のライセンスナンバーだった数字なのです。
夢と仕事に生き、今でも世界中から愛されるワインを残した彼にとって、夢のはじまりの数字であり、人生そのものを象徴する数字。そんな数字がワインの名前になっているって素敵ですよね。
母から、慣れない手つきでピアノの練習をする父の動画が定期的に送られてきます。定年した今でも毎日新しいことに挑戦し続ける父にこのワインを贈りたいなと思いました。