フランス・パリの名門レストラン「ル・タイユヴァン」が最も大切にするのは、創業以来掲げ続けているコンセプト“食とワインの調和”。

これを体現するため、ワインへのこだわりは計り知れません。

今回はそんなタイユヴァンのワインセレクトについて深掘ります。

パリ郊外にあるという熟成庫「ブジヴァル」

パリの名門レストランである「ル・タイユヴァン」が高く評価される所以は、料理だけでなくワインのセレクションにあります。しかもそのこだわりはなかなか真似できるものではありません。

タイユヴァンがグループで所有するワインは、その数なんと30万本以上。

その膨大な数のワインは、それぞれのレストランやワインショップのセラーだけでなく、パリの近くにある二つの大きなセラーに保存されています。一つは約8万本のワインが保管されているロジスティクス倉庫、一方は13万本以上のワインが眠る、熟成ワイン用のセラー「ブジヴァル」です。

この熟成庫、元々は石切り場だった洞窟を改築したもので、フランスで最も大きいワインセラーとも言われています。

ブジヴァル内には、タイユヴァンのこだわりの一つである「常に飲み頃のワインだけを提供すること」を実現するために、貴重なワインがたくさん眠っているのです。

ワインによって飲み頃が異なるため、ソムリエが定期的に試飲をし、飲み頃のタイミングを的確に見極めた上でレストランやワインショップで提供されます。

そしてさらにそこから、実際にレストランで提供されるワインリストは日々のメニューに合わせて更新されるのです。ソムリエたちは毎日開店直前までワインリストの作成作業に追われるそうです。

2代目オーナーのジャン・ クロード ・ ヴリナ氏は、レストラン業の傍ら、自らワイン生産者を訪ねて自分の目と舌で確かめたワインの買い付けを行っていました。

さらにタイユヴァンで提供するワインの品質と価値を保証するために、コレクション・タイユヴァンを作成することを決めました。1980年代初頭のことです。

これは今でいう“プライベートブランド”で、ワイン生産者がタイユヴァンのために瓶詰めを行う「タイユヴァン」ラベルのワインです。

最初の生産者はシャンパーニュメゾン「ドゥーツ」。その後地域を拡大し、現在では35以上の異なるアペラシオンのラインナップがあります。

タイユヴァンで取り扱う生産者を定期的に訪問し、現地でワイン造りの状況を確認しながら生産者との関係を築いていきます。

地道に築き上げた関係性によってフランスの有名生産者の取り扱いができるだけでなく、フランス全土をくまなく歩き回ったことで発掘した小さな造り手の希少なワインも取り扱うことができるのです。

アンリ・ジャイエやルフレーヴ、ラヴノーなど、今でこそスター生産者となったドメーヌもタイユヴァンに選ばれたことがきっかけだと言います。それだけ、コレクション・タイユヴァンに選ばれることは生産者にとっても名誉なことなのです。

数多あるワインの中から、コレクション・タイユヴァンの生産者をどのように選定しているのでしょうか。

その選定基準は「テロワールとアペラシオンが上手く表現されているかどうか」、そしてやはり“食とワインの調和”が関わります。

2代目オーナーのジャン・ クロード ・ ヴリナ氏がやっていたように、実際にワイナリーに足を運び、生産者に会って試飲をし、造られるワインの品質を確認しながら生産者を選定していきます。そこには「高価だから」や「有名なキュヴェだから」という基準はなく、テロワールとアペラシオンの個性が表現された、よりリーズナブルなワインを選ぶといいます。

例えば、サンセールのワインを購入したい時、タイユヴァンが求めるのは“伝統的”なサンセール。より食事に寄り添うようにと、ドライで柑橘系のニュアンスがあり、爽やかな後味を与えるワインを探し求めるそうです。

このようにタイユヴァンではワインをセレクトしていきますが、大切にするのはあくまでも「ワインは食事を引き立てるもの」ということです。そのため、食事に寄り添う繊細なワインが多くリストアップされ、だからこそより食事の時間が豊かに、そして食事が美味しくなるのでしょう。

その時間を提供することを念頭に置いているからこそ、“食とワインの調和”を掲げるタイユヴァンが、ここまでワインのセレクトにこだわるのにも頷けます。

パリには数多くのレストランがありますが、これほどにワインにこだわるレストランは他にないでしょう。

そんなタイユヴァンのエッセンス、実はここ日本でも体感できるのです。タイユヴァンはフランス・パリのみならず東京・日本橋、丸の内、そして横浜に店舗を展開しています。

コレクション・タイユヴァンをはじめとするワイン、そしてタイユヴァン監修のフードペアリングをお楽しみいただけます。

海外旅行がなかなか叶わない今、お近くでタイユヴァンのエッセンスを体感してみてはいかがでしょうか。

※レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 横浜はフードの提供はございません。