オーストリアワインを支える高品質ブドウ「グリューナー・ヴェルトリーナー」の魅力

グリューナー・ヴェルトリーナー

オーストリアを代表するブドウ品種、グリューナー・ヴェルトリーナーをご存知ですか?

このブドウから生まれるワインは軽快で上品な果実味と酸味を持ち、私たち日本人の嗜好にもよく合うと言われています。しかし、造られるワインの大半はオーストリア国内で消費されていることもあり、今一つ日本では知名度が低いブドウ品種でもあります。

そこで今回は、グリューナー・ヴェルトリーナーについて解説したいと思います。

グリューナー・ヴェルトリーナーとは

白ワイン

種類 白ブドウ
主な産地 オーストリア ニーダーエスタライヒ州、ブルゲンラント州北部
香り ハーブ、白胡椒、洋梨
味わい 果実味豊かな辛口、ミネラル感、スパイシー

グリューナー・ヴェルトリーナーはオーストリア原産の白ブドウであり、オーストリアで最も生産量の多い固有地場品種です。

1950年代以降に一般化し、オーストリアの全産地で栽培されるようになりました。現在は、特にニーダーエスタライヒ州とブルゲンラント州北部で広く栽培されています。

グリューナー・ヴェルトリーナーは主にレス土壌(※1)で栽培されています。耐寒性はありますが乾燥を嫌い、開花期はデリケートでベト病などに罹りやすい品種です。

また、樹勢が強く、畑の立地とともに収量がワインの品質に決定的な影響を及ぼすことから、グリーンハーベスト(間引き)が必要となります。

グリューナー・ヴェルトリーナーからは辛口から甘口、フレッシュで軽快なタイプから重厚なフルボディタイプと様々なスタイルのワインが造られていますが、一般的な特徴としては、ハーブや白胡椒のような爽快な香りとミネラル感、比較的肉厚で粘度の高い質感が挙げられます。

※1 黄土のこと。砂漠や氷河に堆積した岩粉が風に運ばれ堆積したもの。黄土は農業に最適な土壌の一つとされ、含有されるミネラル分が豊富と言われています。

グリューナー・ヴェルトリーナーと相性の良い料理

鶏肉の唐揚げ

グリューナー・ヴェルトリーナーのワインの特徴には、どんな料理にも合わせやすいフードフレンドリーさが挙げられます。

シーフードなら白身魚のムニエルや、アジやイワシの香草パン粉焼きなど。肉料理なら、チキンのソテー、カツレツ、ハーブと白ワインで蒸し煮にした豚の塊肉もおすすめです。

野菜ならアスパラガス。サラダはもちろん、シンプルなグリルやアスパラガスのベーコン巻きなど、グリューナー・ヴェルトリーナーのワインとアスパラガスは抜群の相性です。

また、意外かもしれませんが、エビと野菜、ハーブをたっぷりとまいた生春巻きなどアジア料理とも相性が良いのでぜひお試しください。

グリューナー・ヴェルトリーナーのワインは和食にもよく合います。フレッシュでスッキリとしていながらも肉厚なボディがあり、酸味が主張しないグリューナー・ヴェルトリーナーのワインは、日本酒で言うところの淡麗辛口タイプで、酸味の際立ったワインが苦手な日本人にも受け入れやすいかもしれません。

刺身や魚の塩焼き、鶏肉の唐揚げの他、ポン酢で味付けした和物や薄味の煮物など、定番の家庭料理と合わせることができます。

グリューナー・ヴェルトリーナーの主な産地

オーストリアのブドウ畑

オーストリアでは、ワイン用ブドウ栽培面積の約3分の2を白ワイン品種が占めますが、その中でもグリューナー・ヴェルトリーナーは圧倒的な栽培面積となっています。

主な産地はオーストリア東北部に位置するニーダーエスタライヒ州。この州の栽培面積の47%がグリューナー・ヴェルトリーナーです。

オーストリアの気候は朝晩の気温差が大きい大陸性気候で、ドイツより温暖。ただ、ニーダーエスタライヒ州のワイン産地はドナウ川の西にあるアスプス山脈からドナウ川渓谷を通って吹き抜ける冷風や、北にあるチェコからの北風の影響を強く受けます。

州内に八つの限定的生産地域がありますが、グリューナー・ヴェルトリーナーの産地として特筆すべきはヴァッハウとカンプタールです。

ヴァッハウ

ドナウ川沿いにウィーンから65kmほど上流にあるヴァッハウは、ユネスコの世界遺産にも認定された美しいブドウ畑の景観で有名な産地です。ブドウ畑はドナウ渓谷に沿ってある険しい斜面に広がっており、狭い範囲ではありますが土壌も気候も変化に富んでいます。

西からはアルプスの冷風、東からはパノニア平原の暖気の影響を受け、西に行くほど涼しく、東に行くほど暖かくなり、ワインの味わいにもその影響が強く現れます。

ヴァッハウのブドウ栽培面積のおよそ半分がグリューナー・ヴェルトリーナーで、ドナウ渓谷の急斜面の畑の主に下方部で栽培されています。土壌は砂、粘土、レスが堆積しており、軽快で香り高い、典型的な味わいのグリューナー・ヴェルトリーナーのワインが生まれます。

カンプタール

カンプタールはオーストリア最大のワイン生産村であるランゲンロイスを擁し、約4000ヘクタールのブドウ畑が存在するオーストリア最大のワイン生産地域です。

主要品種はグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングで、グリューナー・ヴェルトリーナーは主にドナウ川に向かって南側のレス土壌とローム土壌の段々畑で栽培されています。

カンプタールは東のパノニア平原からの温風と北西からの冷風の影響を受ける点ではヴァッハウと同じですが、この地域で造られるグリューナー・ヴェルトリーナーのワインはリッチな果実味とボリューム感が特徴となります。

なお、2008年に発効したカンプタールDAC(※2)は、ミディアムボディのクラシックなスタイルと、濃厚でフルボディタイプの辛口であるレゼルヴェ・スタイルという二つのスタイルのグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングのワインが規定されています。エチケットに「カンプタール」とだけ書かれている場合は、このどちらかの品種で辛口を意味します。

※2 Districtus Austriae Controllatusの略。フランスのAOCやイタリアのDOCG / DOCのような、オーストリアの原産地呼称制度。

オーガニック先進国のグリューナー・ヴェルトリーナー

白ワイン

オーストリアは農地総面積の約20%がオーガニックというヨーロッパ最高比率のオーガニック農業国です。ワイン生産においては小規模な造り手が多く、近年は有機栽培のブドウを使って、より自然な醸造方法でワインを造る、志の高い新規生産者が増えています。

グリューナー・ヴェルトリーナーやリースリングのワインで有名な生産者のフレッド・ロイマーは、オーストリアにおけるビオディナミ農法の新世代のリーダー的存在で、2007年にビオディナミ農法の認証団体『リスペクト』を設立しました。

ドイツの『デメター』がワインだけでなく他の農作物も含むビオディナミ農法の認証団体であるのに対し、リスペクトはワインに特化したビオディナミ農法認証団体となっています。

まとめ

グリューナー・ヴェルトリーナーのような軽快なワインがフードフレンドリーなワインとして注目されている要因の一つとして、昨今の世界的な日本食ブームや健康志向に見られる食のライト化、オーガニック市場の広まりなどが挙げられるでしょう。ワインはやっぱり食事と一緒に楽しむお酒であることを再認識させられますね。

グリューナー・ヴェルトリーナーのワインは秋の食卓にもピッタリです!ぜひ一度お試しください。

参考文献 ・日本ソムリエ協会 教本 2020