グリューナー・ヴェルトリーナーから造られる白ワインの大きな特徴として、白コショウを思わせるようなスパイシーな香りや風味が感じられることが挙げられますが、これらは主に、この品種が持つアロマ化合物であるロタンドンに由来しています。 ロタンドンは、実際にコショウにも多量に含まれていると言われ、ワインの世界においては、2008年にオーストラリアの研究チームが、黒ブドウ品種のシラーから発見しました。 シラーもコショウの香りや風味をもつことが大きな特徴であり、ワインラヴァーの間でそれが広く知られています。 ロタンドンは、冷涼な気候帯のほうがより際立つと言われていることから、比較的涼しい気候帯に位置するオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナーの白ワインは、よりスパイシーなニュアンスが現れやすいと考えられます。

グリューナー・ヴェルトリーナーから造られる白ワインは、リンゴや洋梨、スイカズラや菩提樹の香り、ほのかなスパイスのニュアンス、フレッシュで爽やかな印象をもちながら、奥行きのあるミネラル感と心地良い苦味を感じ、比較的早い段階で飲むことが推奨されるタイプが主流と言えます。 しかし、生産されるタイプは幅広く、軽快なものから重厚なタイプ、甘口タイプも存在します。 その中でも特に、凝縮した風味と高い酸をもつ重厚なタイプや甘口タイプに関しては、長期の熟成が可能であり、熟成を経ていくことで次第にドライフルーツやホワイトマッシュルームを思わせる香りが加わり、より複雑なアロマへと変化していき、味わいの風味にもそれが感じられ、深みが増していきます。 もし可能であれば熟成したものとの比較テイスティングをしてみるのもおすすめです。

クリーンで洗練されたアロマと滋味深い味わいを持つことです。 フルーツと花、スパイスの香りの融合、凝縮した果実味と伸びやかな酸味、奥行きを与えるミネラル感が調和していて、食材の味わいを見事に引き立ててくれます。

オーストリアはドイツの南に位置し、大陸性気候で降水量が少なく、ドイツ同様に白ワインを主体に生産しています。 そのため、ワインのスタイルも似ていると思われますが、実際は異なり、比較的暖かいことから、やや厚みのあるワインが造られ、より辛口のスタイルが主流となっています。 代表的なブドウ品種はグリューナー・ヴェルトリーナーで、栽培比率は国全体の約30％を占めています。 オーストリアでは新酒を尊ぶ文化もあり、新酒のことをホイリゲと呼んでいますが、これはフランスのヌーヴォーと並んで広く知られています。 その他にも固有品種から高品質な赤ワインやスパークリングワインも生産されており、特に貴腐ワインは世界的な評価を得ています。 そしてヨーロッパの国々の中でも特にオーガニックワインの生産が多いことも特徴で、今ではEU諸国随一のオーガニック大国と言われています。

グリューナー・ヴェルトリーナーから造られる白ワインは、リンゴや洋梨、スイカズラや菩提樹の香り、ほのかなスパイスのニュアンス、フレッシュで爽やかな印象をもちながら、奥行きのあるミネラル感と心地よい苦味を感じる辛口タイプが主流で、フードフレンドリーなキャラクターを持ち、料理の味わいを引き立ててくれます。 オーストリアの代表的な料理とのペアリングであれば、ウィーン発祥の料理であるウィーナー・シュニッツェルがとてもよく合います。 こちらは仔牛をカツレツにしたお料理で、グリューナー・ヴェルトリーナーから造られる白ワインの豊かな果実味とほのかなスパイス感が、味わいを補完しつつ、ワインの豊かな酸味が衣とお肉の味わいに溶け込みながら、風味をさらに引き出してくれます。 料理にレモンを絞ることで、料理に爽やかさを与えると同時に、ワインの酸味と同調し、双方の風味をより豊かにしてくれます。 他にも、季節は限定されますが、ドイツやフランスでも有名な春の食材であるホワイトアスパラガスにもよく合います。 茹でたホワイトアスパラガスのテクスチャーにも同調しながら自然に寄り添い、繊細かつ豊かな風味をワインがさらに引き立ててくれます。 さらには、内陸地であるオーストリアは淡水魚が豊富で、グリューナー・ヴェルトリーナーとよく合わせられますが、日本では鮎の塩焼きと合わせるのがおすすめです。 魚の繊細な味わいに綺麗に溶け込み、鮎の独特の苦味にワインにも感じるほのかな苦味とスパイス感が同調します。柑橘を絞ることで、風味と酸味の調和性がより高まります。

オーストリアの銘醸地であるヴァッハウにて、長い歴史を持つ生産者が生み出す洗練された美しい白ワインで、グリューナー・ヴェルトリーナーの魅力が見事に表現された１本です。 こちらの白ワインは、ヴァッハウ渓谷沿いの畑で収穫された良質なブドウを使用し、とてもエレガントなスタイルに仕上がっています。 特にホワイトアスパラガスや鮎を使ったお料理とよく合いますが、焼き鳥の塩焼きに合わせるのもとてもおすすめです。

ウィーナー・ゲミシュター・サッツは、複数の品種を混植し、それを混醸して造るワインのことを言います。さまざまな品種の個性が渾然一体となって感じられ、独特の風味がありながらも、軽やかでフレッシュな白ワインに仕上がっています。 こちらは、音楽の都ウィーンの伝統的な造り手が生み出す、グリューナー・ヴェルトリーナーを主体にした１本。複数の品種の個性が活かされていて、色とりどりのお野菜やハム等を盛り付けたオードブルとよく合います。