どうしてオーガニックワインが世界で流行しているのか?

赤ワイン

ご存知の通り、ワインはブドウから造られるお酒です。日本酒やビールのように原材料に水を含まないため、原料となるブドウの出来栄えがワインの品質にダイレクトに反映するということは想像に難くないと思います。

では、その原料となるブドウがどのように育てられたのか気になったことはありませんか?

昨今、世界中で環境問題や持続可能な開発目標(SDGs)に関心が広がる中、ワインの世界でもオーガニックは大きなムーブメントとなっています。

そこで今回はオーガニックワインについて考えたいと思います。

オーガニックワインとは?

ブドウ

オーガニックワインとは、化学的に合成された肥料や除草剤、殺菌剤、 殺虫剤、防カビ剤などの農薬を使わず、自然に近い環境で栽培されたブドウから造られたワインのことを言います。

近年、世界的にワイン造りは減農薬・有機栽培へとシフトしており、厳しい基準をクリアしたオーガニックワインが世界各地のワイン産地で続々と生まれています。

一般的に、大手メーカーが大量に生産するテーブルワイン類は、ブドウの栽培においても醸造においても合理化されており、毎年安定した味わいでリリースされ、私たち消費者はリーズナブルな価格で購入することができます。

一方、オーガニックワインは、原料ブドウの栽培に非常に手間がかかる上に、気候条件等により年によっては不作で供給が安定しないため、価格も高めになります。それでも近年の健康志向の高まりなどから注目を集めているのです。

なぜオーガニックにするのか?

ブドウ

ヨーロッパの農業大国であるフランスは、1960年代から80年代にかけて大量に化学肥料や農薬が使われました。その結果、ブドウ栽培においては容易に大量のブドウを生産できるようになりましたが、個性が乏しく、エキス分の少ないブドウになってしまいました。

そして、そのようなブドウからワインを造ると画一的な味わいになってしまうことから、ワインに個性を持たせるために醸造時に人工的な手段を使わなければならなくなったのです。

化学肥料を与えると、ブドウの根は地表付近で栄養を吸収することができるので、地中深くまで根を張らなくなってしまいました。そのため、継続的に化学肥料を使用しなければならないという悪循環に陥ってしまったのです。

こういったことの反省から、ブドウの質を高めるために有機栽培など自然や環境に配慮した栽培法が広がっていきました。1990年以降のことです。

また、地球温暖化による環境問題への関心や世界的な健康思考の高まりも、フランスをはじめ世界のオーガニック市場の拡大を後押ししたと考えられます。

フランスやドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国で消費者のオーガニックに対する意識が高いのは、農薬が発がん性及び遺伝子情報、生殖機能に異変をもたらす可能性があるという実態を把握していることも理由として挙げられます。

ブドウ畑

このように世界の主要なワイン生産国でオーガニックワインが広がりを見せる理由は、生産者にとってはブドウの質を高めるためであり、消費者も農薬による健康被害を考慮しているからと考えられます。

これらの国々は地産地消の意識も高いことから、自ずと自国の農業政策に関心を持つのでしょう。

日本でも昨今、ワインに限らず、有機野菜などのオーガニック食品が浸透したようにも感じますが、日本の耕地面積に対する有機農業取組の割合は約0.2%しかありません。イタリアは14.5%、フランスは5.5%などヨーロッパの各国は高い数値であり、日本のオーガニックへの意識の低さが浮き彫りになっています。

私たちが普段口にするものが体にどれだけの影響を与えるのか…。もう少し考えてみてもいいかもしれません。

よく聞く“自然派ワイン”との違いは?

ブドウ畑

オーガニックワインとともに日本でよく耳にする “自然派ワイン(ナチュラルワイン)”。

フランス語の「自然なワイン」を意味する“Vin nature(ヴァン・ナチュール)”からきており、ブドウの栽培と醸造の両方で自然な造りを目指したワイン、具体的には有機栽培で育てられたブドウを原料として、できるだけ化学的、人工的な手を加えないで醸造されたワインのことを指します。

しかし、自然派ワインという言葉に具体的かつ明確な定義はありません。

なぜなら、例えばオーガニック認証一つとっても、国によって取り巻く環境が異なるため、共通のルールを設けることが非常に困難だからです。また、認証を取得するのには時間も費用もかかることから、自然な造り方をしたワインであっても、あえて認証を取得していない生産者も多くいます。

2012年、EU圏内で生産されるワインのラベルに「オーガニックワイン」の言葉を記載できる新基準が認可され、その基準はブドウの栽培ばかりでなく、ワインの醸造についても規定が設けられました。醸造技術やオーガニックワイン生産に認められる添加物の使用量など、様々な事柄が細かく規定されています。

EU同様のオーガニックワインの規程は既にアメリカやオーストラリア、南アフリカなど主要なワイン生産国でも設けられていることから、今日ではオーガニックワインも自然派ワインと捉えることができるでしょう。

オーガニックワインにはいくつかの認証制度があるので、覚えておくと購入する際に便利です。

認証マーク

左からAB認証マーク、ECOCERTマーク、EURO LEAFマーク

例えば、フランス政府の厳しい基準に沿って認証されるEUの有機認証機関Agriculture Biologique(通称「AB」認証)や、世界最大級のオーガニック製品認証団体「ECOCERT」(エコセール)、2010年から利用されはじめたEUで最も有名な有機認証機関「EURO LEAF」(ユーロリーフ)など、それぞれのマークがワインの裏ラベル等に表示されていればオーガニックワインと識別することができます。

まとめ

赤ワイン

近年、ワインの質は原料ブドウの質で決まるという考えのもと、ブドウの質を求めたオーガニックワインにとどまらず、持続可能なワイン造りを目指す生産者が増えました。

私たちがオーガニックワインを選ぶことが自身の健康だけでなく、地球環境を守ることにつながるのかもしれません。

これからは味わいや価格と同時に、オーガニックワインかどうかということもワイン選びの大きな指標となっていくでしょう。

参考資料農林水産省(2019)「有機農業をめぐる我が国の現状について」〈https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2019/attach/pdf/190726_01.pdf〉