ブルネッロの頂点「ポッジョ・ディ・ソット」新オーナーが幻の1本を携えて来日!

クラウディオ・ティーパ氏(右)と奥様のマリアさん

イタリアワイン好きなら知らない人はいないであろう、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのトップ生産者、ポッジョ・ディ・ソット。この度、2011年よりオーナーを務めるクラウディオ・ティーパ氏が来日し、ワイナリーとワイン造りについて熱い想いを語っていただきました。

ブルネッロの頂点を極めるワイナリー

ポッジョ・ディ・ソットは、ピエロ・パルムッチ氏によって1989年設立。醸造責任者を務めたのは、「カーゼ・バッセ」「モンテヴェルティネ」などを手がけたイタリアワイン随一の醸造家、故ジュリオ・ガンベッリ氏でした。

ワイナリーとしての歴史は浅いものの、そのエレガントなブルネッロは瞬く間に高く評価され、2001年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノがイタリアソムリエ協会発行のワインガイド「ドゥエミラヴィーニ」でイタリアの赤ワインとしてNo.1 を獲得、さらに2005年ヴィンテージは人気漫画『神の雫』の「第九の使徒」に選ばれるなど今日まで輝かしい経歴を誇っています。

原動力はワインへの「愛」

若かりし頃からワインを“水代わりに”飲んでいたという筋金入りのワインラヴァー、ティーパ氏

伝説の2人によって一時代を築き上げたポッジョ・ディ・ソット。そのソットが買収されたというニュースはイタリアワインファンを震撼させましたが、高齢であった前オーナーが売りに出していた畑とワイナリーを購入したのがこちらのクラウディオ・ティーパ氏。

ティーパ氏はトスカーナにソットを含む4つのワイナリーを所有し、DOCモンテクッコの「カステッロ・ディ・コッレ・マッサーリ」で『ガンベロ・ロッソ』の「2014年最優秀生産者」に選出、そしてDOCボルゲリではサッシカイアに次いで歴史のある「グラッタマッコ」を所有する、名門ワインファミリーのトップでもあります。

そんなティーパ氏に、ワイナリー買収の条件を聞いたところ、即座に、

「シンプルです。それは愛です!」

と、予想外の答えが。

ソットのオーナーであり、その熱烈なファンでもあるティーパ氏。ブレンド前のバレルテイスティングにも必ず参加するそうです。

実はティーパ氏は、空港のセキュリティシステムなどを手がける会社を経営しながら、ブルゴーニュのワイン大学に通っていたほどの大のワインラヴァー。ポッジョ・ディ・ソットのワインはずっと昔から大好きで、買収することになる前から何度もワイナリーに足を運んでいたそうです。交渉には6年もかかりましたが、一途なポッジョ・ディ・ソットへの「愛」が、その夢を実現させたのですね。(実際には大金も必要ですが・・)

ですからティーパ氏が「2人(パルムッチ氏とジュリオ・ガンベッリ氏)が築いたソットのスタイルはパーフェクトだから何も変えない!」と宣言するのもうなずけます。

「ゴースト」と呼ばれた、幻の1樽

今回はポッジョ・ディ・ソットの複数ヴィンテージをテイスティングしましたが、特に印象的だったのが2014年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。実はこの2014年のブルネッロ、異例づくめのヴィンテージなのです。

2014年のイタリアは冷涼な気候が続き、多くの生産者がブルネッロの生産を見送り、そのブドウをロッソ・ディ・モンタルチーノに回しました。しかしソットでは、最も良い1樽の出来があまりにも素晴らしかったため、ティーパ氏が「どう育つか様子を見てみよう。だめだったら私の自家消費用ワインにするから。」と言い、セラーで熟成させることにしました。

ワイナリーではブルネッロになるかどうかわからない、ひっそりとセラーに保管されているこの1樽のことを「ゴースト・バレル」と呼んでいたとか。

そしてこの幻の1樽は、非常にエレガントなスタイルのため、熟成期間は通常4年のところ3年にしてリリースされました。

 

イタリアでは多くのバイヤーが、なぜブルネッロを造ったのかと訝しみながらも、実際にテイスティングすると「これはマジカルイヤーだ!」とその品質に驚いていたそうです。その品質の高さを裏付けるように、最新のイタリアワインガイド『ガンベロ・ロッソ2020年』でもこちらの2014年は、最高賞であるトレ・ビッキエリを獲得しています。

ワインはブルネッロとは思えない、まるでブルゴーニュのピノ・ノワールを思わせる透明感のあるルビー色。レッドチェリー、イチヂク、バイオレットにスパイスやハーブのアロマ。タンニンはシルキーで継ぎ目なく、清涼感のあるみずみずしくピュアな旨味だけが残ります。ティーパ氏曰く“ソットの忘れがたい味わいが良く出ている”ヴィンテージだとか。

たった1樽だけ造られたこちらの2014年。

生産量は4,000本とあまりにも少量だったため、輸出された国はなんと日本だけ。稀少なボトルは、イタリア国内用とティーパ氏個人用、そして日本への輸出用に分けられました。日本にだけ輸出を決めた理由は「日本の人達はソットをリスペクトしてくれるから」だそう。驚くほど繊細でエレガント、そして旨味の純度が高い2014年は、例年以上に日本人好みのヴィンテージとも言えそうです。

ワインへの愛に溢れるティーパ氏が日本のワインラヴァーに贈る「幻の」ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2014年。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。