奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ワインの表現に「女性的な」、「男性的な」というのがあります。古くからのメール表現で30年前に出会った 表現の一つでした。ボルドーを女性的、ブルゴーニュを男性的といいます。初めて知った時は、妙に感心した覚えがありますが、なにを表してるのかよく分かりませんでした。お客様などから、「逆じゃありませんか?」とよく聞かれました。たしかにボルドーは濃縮感があり、渋みが強い。飲みやすいとは言えません。対してブルゴーニュは丸みのある広がり、やさしい渋み。こちらのほうが女性的といいたくなります。
ボルドーは熟成とともに、よりなめらかな舌触りとなり、タンニンも溶け込んで、しなやかに長く余韻を伸ばしてゆきます。そのフォルムをスリムで脚の長い貴婦人に見立てた、と教わりました。ブルゴーニュは豊かな広がりを豊かなボディということで男性的と。なるほど、といいたいところですが、男性にも、女性にもいろんな体型、いろんな個性があり、何をもって「女らしい」「男らしい」というのかは、時代により変わります。聞き手によって捉え方が違ってしまう、曖昧な表現だとは思います。
さて、前回は、コメントに加えることでより立体的な味わいを表現できる「テクスチュア」についてフォーカスしました。今回は、もう一歩踏み込んだ「官能表現」について、取り上げたいと思います。官能とは、「感覚器官を通じて得られる快さ」という意味ですが、テイスティングにおいては、ワインの特徴をより豊かに表現するためには有効な表現として用いられます。性的な意味を含む用語が多くありますし、直訳するとかなり性的な意味合いになりますが、ワインのコメントとしては抵抗なく使っている方が多いようです。そういう意味ではなんとなく使ってしまうと中身のない表現になってしまい、ただ卑猥なだけになる懸念もありますから、「どういうワインに、この語彙を使う」とより明確に説明ができないといけません。
モンテス パー プル・エンジェル2014は、深みのある大変濃いダークチェリーレッド。濃縮感が強く、フレッシュ感もしっかりとあります。クランチーなブラックベリー、丁子などのスパイス、チャコールやインクの香りが奥行きを与えています。ほのかなミントの香りも効果的に清涼感を引き立てています。味わいはクリーミーで、その凝縮感からつるんと滑るような、かつ噛めるようなテクスチュアが特徴的です。タンニンは豊富ですが、そのなめらかなボディに溶け込んでいます。
私はこのワインをLusciousと表したいと思います。Lusciousを直訳すると、「甘い、おいしい、甘美な、ロマンチックな、官能的な、」となります。まさに官能表現です。同時に女性のセクシーを表す意味も持っています。ワインについては、主にテクスチュアの語彙で、スムース、リッチ、ジューシーなテクスチュア、香り(特にフルーツ)が豊かで、甘みと酸味のバランスが取れていて、締まりのある印象のボディ、となります。ただ「女性的な」より、詳細な表現を盛り込むことができますし、このワインに相応しい表現だと思います。
「官能表現」を感じるワイン
パープル・エンジェル / モンテス(チリ コルチャグア・ヴァレー)2014 赤
6,800円 (7,344 円 税込)
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プレミアムチリワインの先駆者、モンテスがチリで大成功を収めたブドウ品種、カルメネールを使って手がける1本 。
手摘みしたブドウを1粒1粒丁寧に選果し、フレンチオークで18カ月間熟成。
アメリカのオバマ元大統領がチリを訪問した際の公式晩餐会で提供されたワインとしても一躍話題となりました。
プレミアムチリワインの先駆者、モンテスがチリで大成功を収めたブドウ品種、カルメネールを使って手がける1本 。
手摘みしたブドウを1粒1粒丁寧に選果し、フレンチオークで18カ月間熟成。
アメリカのオバマ元大統領がチリを訪問した際の公式晩餐会で提供されたワインとしても一躍話題となりました。