現当主のアンドレ氏は、元々数学者を目指して大学に進みましたが、方向転換をしてボーヌのワイン学校に進学。同級生の中には、現在ムルソー最高のワイナリーと称されるドメーヌ・デ・コント・ラフォンの醸造責任者、ドミニク・ラフォン氏がいました。
その縁もありアンドレ氏はドミニク・ラフォン氏の父、ルネ・ラフォン氏の元で3年間醸造を経験し、ブルゴーニュの繊細な造りや樽醸造について学びました。この経験が、ミネラル豊富で繊細、そしてテロワールによって表情の異なるワインを生み出す造りに繋がることとなりました。
従来のアルザスワインは、発酵・熟成にステンレスタンクや長年使用された大樽を使用。発酵は低めの温度で行い、さらにマロラクティック発酵は行われません。しかしアンドレ氏は、ブドウ品種やテロワールによってピエス(228リットル入りの小樽)による発酵・熟成、マロラクティック発酵等の手法を用いるというブルゴーニュワインの醸造技術を活かし、アルザスワインに新風を吹き込みました。
また、コント・ラフォンの畑がビオディナミに切り替えてからみるみる健康になったのを目の当たりにし、自らも1998年より全区画で自然環境に配慮したビオディナミ農法を実施。化学薬剤を全く使わないビオディナミ農法には、自然の免疫力を備えた健康なブドウ樹が必要となる為、苗の穂木は質の良い古いブドウ樹を畑の中から選んで使用。肥料は、カモミールなどのハーブの出来るだけフレッシュなものを煎じて使用します。また、ビオディナミ農法では生きた土壌こそがテロワールを表現すると考えられており、ブドウの栽培にとって理想的な土壌は15種類以上の様々な草が育つことと言われています。実際にオステルタグの土壌には多数の植物が生えており、土壌の健康さが表れています。徹底したビオディナミを貫き生みだされるワインは、テロワールやヴィンテージの特徴が最大限に発揮されており、フランスの辛口評価誌「Les Meilleurs vins de France 2011版」にて、最高評価の3つ星を獲得するなど、近年その実力を高く評価されています。
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