フランス・ボルドー地方に「シャネル」が所有する、シャトー・ローザン・セグラとシャトー・カノンから、エクスポート・マネージャーのジャン・バジル・ロラン氏を迎え入れ、タイユヴァン東京にて開催されたテイスティングイベントの内容をお伝えします。
目次
緊張の中イベントスタート
実はタイユヴァン東京で、ワイナリーからゲストを招いてのイベントは今回が初めて。スタッフも緊張の中、まずはジャン・バジル・ロラン氏に両シャトーの概要を説明していただきました。
シャトー・ローザン・セグラとシャトー・カノンはどちらも長い歴史を持つシャトーですが、シャネルの傘下になったのはそれぞれ1994年と1996年のこと。
同じボルドーとはいえ右岸と左岸にあるので、畑に植えられているブドウも生産チームも異なりますが、どちらもフレッシュさやエレガンス、バランスを大切にするという、同じ「シャネルの哲学」で造られているそうです。
栽培面では、フレキシブルさを残すために認証こそ取っていませんが、どちらのシャトーも有機栽培を実践しています。
ローザン・セグラでは、2010年から徐々にビオ栽培を実践し、2017年には全70haの畑100%で導入。ラトゥールがビオディナミを始めたのが2009年なので、ボルドーではかなり早い時期ですね。
一方で、サンテミリオンの街中にあるカノンの畑の一部は、クロ(石塀)で囲まれており、トラクターが入ることが出来ないため、ビオディナミが流行るずっと以前の18世紀から馬で耕作しているそうです。
長期熟成のポテンシャルを感じる2011年
今回のテイスティングは、ローザン・セグラのセカンドワインのセグラ 2012年と、シャトー・ローザン・セグラ 2011年からスタートしました。
「セグラ」の名前の由来は、シャトーを開いたローザン家の子孫と結婚した女性で、シャトーにとって重要な人物であるセグラ男爵夫人だそうです。
ファーストラベルと同じ哲学で造っていながら、よりフルーティ&アプローチャブルなスタイルに仕上げるためにブレンド比率はメルロが多めになっており、いつ飲んでも美味しい、親しみやすい味わいでした。
対照的に、2011年シャトー・ローザン・セグラは乾燥したヴィンテージの影響を感じる分厚いタンニンがあり、香りも味わいもやや閉じ気味でしたが、長期熟成のポテンシャルを感じることができました。
ジャン・バジル・ロラン氏によると、2011年ヴィンテージは、2009年、2010年と続いたグレートヴィンテージの後なので難しいヴィンテージと考えられがちですが、悪い年ではなく、しっかりとブドウが成熟し骨格のある年になったそうです。
2009年はカリスマデザイナーが手掛ける特別ラベル
続いて、提供されたのは2009年と1998年のローザン・セグラです。
なんと、この2009年ヴィンテージの印象的なラベルは、シャトー設立350周年を記念した特別ラベルで、シャネルやフェンディなどを手掛ける超有名デザイナー、カール・ラガーフェルド氏によるデザインだそうです!!
ワインは偉大な2009年らしくパワフルで果実味いっぱいの味わいで今飲んでも良し、熟成させても良し。ラベルの稀少性もあるため、”買うなら今”の1本でしょう。
一方、「意外性」という意味で参加者から驚きの声が上がったのは、1998年ヴィンテージです。1998年の左岸のカベルネ・ソーヴィニヨンは、一般的に偉大な年というイメージはありませんが、ローザン・セグラは驚くほど美しい熟成をしていました。
それもそのはず、提供されたワインは全てシャトーのセラーで寝かせていたボトルを、ジャン・バジル・ロラン氏が今回のイベントのために特別に用意したもの。
つまり、ボトリングされてからイベントのために出荷されるまで、20年間一切動いていない完璧なコンディションのワインだったからです。
セップ茸との相性に驚愕
最高のマリアージュとなったセップ茸の一品
そんな1998年ヴィンテージに参加者一同が驚きの声を上げていると、タイユヴァン東京から嬉しいサプライズがありました!なんと、この季節しか食べることのできないセップ茸(ポルチーニ茸)の一品がサービス。
ジャン・バジル・ロラン氏は「熟成したローザン・セグラには、セップ茸や松茸のようなエレガントな味わいのキノコが良く合うよ」と教えてくれました。
筆者も試してみましたが、熟成した1998年ヴィンテージの持つトリュフのような香りと、重過ぎずエレガントで上品な味わいが、セップ茸と完璧にマッチ。心地良い余韻が非常に長く続き、思わず夢中になってしまいました。
シャトー・カノンでも感じるシャネルの哲学
参加者と直接お話するジャン・バジル・ロラン氏
通常のシャトーイベントだと、ここまで終わってもおかしくありませんが、今回は同一オーナーということで、贅沢にもシャトー・カノンの2008年と2001年も用意されていました。
「プルーンの香りはあるけれど、過熟したメルロにありがちなドライプルーンやジャムの香りとは違う」とのことでしたが、どちらのワインもエレガントで塩気のある味わい。右岸でも「シャネルの哲学」を感じることができました。
シャトー・カノンの畑は、サンテミリオン最高峰のシャトー、オーゾンヌやベレール・モナンジュなどと同じ石灰質土壌の台地に位置するため、石灰質由来のミネラリティ・塩気が感じられるのが特徴だそうです。
そのテロワールのポテンシャルは、つい先日(※イベント後)発表されたワイン評論家ジェームス・サックリング氏の2018年トップ100ワインで、2015年シャトー・カノンが見事第1位を獲得し証明されたように、サンテミリオン最高のシャトーのうちの一つであることは間違いなさそうです。
まとめ
イベントを通して感じられたのは、どちらのシャトーも“美しさは女性の「武器」であり、装いは「知恵」であり、謙虚さは「エレガント」である。”というシャネルの言葉を思い起こさせる、エレガンスを尊重したワインだということでした。
そして、1855年の格付け当時は1級シャトーに次ぎ、格付け第2級筆頭シャトーだったローザン・セグラは、シャネルのオートクチュールによって、今再びその地位に返り咲いたといっても過言ではない品質でした!ジャン・バジル・ロラン氏、本当にありがとうございました!
今回イベントが行われたレ・カーヴ・ド・タイユヴァン東京
- TEL:03-3548-0858 / FAX:03-3548-0859
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- E-mail:lescaves.tokyo@taillevent.com
- 公式Instagram:@lescavesdetailleventtokyo
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- 営業時間:ワインショップ 10:30~22:00
- カフェ&バー 11:00~22:00 (LO 21:30)
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