「俳優兼ワインメーカー」二足のわらじを履くムルソーのスーパースター!ジャン・マルク・ルーロ氏が来日

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レポート
公開日 : 2018.11.22
更新日 : 2019.4.16
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11月初旬、ブルゴーニュワインラヴァー垂涎のスター生産者、ドメーヌ・ルーロより、当主のジャン・マルク・ルーロ氏が来日。ワイン造りと共に続けている俳優として出演した映画『おかえり、ブルゴーニュへ』のプロモーションを兼ねて過密なスケジュールをこなし、多くのファンを魅了しました。今回は、ルーロ氏へのインタビューやトークイベントを通じて見えたスターの素顔に迫ります。
ボトルを手にするジャン・マルク・ルーロ氏
ジャン・マルク・ルーロ氏アルゼンチンで始めた新プロジェクトを共に進める、ボデガ・チャクラのオーナーであり友人でもあるピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏の写真の前で。
目次

30歳過ぎにして老舗ドメーヌを継ぐ

トークショーの様子
ワインショップエノテカ GINZA SIX店にて(右は、ドメーヌ・デ・ランブレイのティエリー・ブルーアン氏)
ドメーヌ・ルーロは1830年から続く歴史あるムルソーのドメーヌ。ジャン・マルク・ルーロ氏の父の代から畑の拡張やドメーヌ元詰めを進め、現当主のルーロ氏はビオディナミを取り入れるなど改革に取り組み品質を上げ、トップドメーヌに数えられるようになりました。
その実力は高く評価され、イギリスの評論誌「ザ・ワインズ・オブ・バーガンディ」で、D.R.C、ドメーヌ・ルロワ、コント・ラフォンなどと共に3ツ星生産者にも選ばれており、ムルソーの巨匠コント・ラフォンやコシュ・デュリに続くムルソーを代表する造り手と言っても過言ではありません。
ジャン・マルク・ルーロ氏は、代々続くこのドメーヌを継ぐのが運命だと感じていたそうですが、父と共に2年ほどワイン造りをした後20歳を過ぎて、ワイン造りとは違うことがしてみたいと思い、パリのコンセルバトワールで演劇を学び俳優に。
その後10年ほどは舞台を中心に俳優業を続けていました。ところが、若くして父親が急死。30歳の頃に突然ドメーヌを継ぐことになりました。

もう一つの仕事は“バカンス”のようなもの

白ワインとグラス
突然の出来事に戸惑いもあったそうですが、32歳頃になってようやく自分の中で「こんなムルソーが造りたい」というイメージが湧いてきたそうです。それ以降、約30年間に渡って俳優とワイン造りという二足のわらじを履いているルーロ氏。
両立は大変ではないですか?との質問に対しては、
「自分にとっては両立の難しさはあまり感じていません。移動が多いことぐらいです。どちらかというと、良いところのほうが多いと思っています。もう一つの職業は、もう一つの職業にとって、異なる世界を知っているという意味でも“バカンス”のようなものであると感じています。」
と答えていただきました。

初めてヴィニュロンとして出演した映画

さて、今回の来日の目的は、ドメーヌ・ルーロのワインの紹介に加え、ジャン・マルク・ルーロ氏が出演する映画のプロモーションも兼ねていました。
それが11月17日(土)より公開されているフランスのセドリック・クラピッシュ監督による映画『おかえり、ブルゴーニュへ』です。
公式サイトはこちら >
トークショーの様子
トークショーの様子
また、今回は、クラブエノテカ会員の方を抽選でトークショー付きの試写会にご招待する特別イベントを開催。800名を超える応募の中から選ばれた60名の観客の皆さんに映画を鑑賞していただきました。
本作について、セドリック・クラピッシュ監督に「ルーロさんがいなければこの映画はできなかった」とまで言われたそうで、ルーロ氏は様々な場面に関わっています。例えば、古いセラーや、樽が並んでいる撮影は実際にドメーヌ・ルーロで行い、また、ブドウの味を確かめるシーンの演技指導などもルーロ氏が行ったとか。
「私は俳優として演じるということと同時に、ブルゴーニュの本当のワイン造りや生活を間違えることなくお伝えしたいという思いを持っていました。実際に、この映画はブルゴーニュの方々にとても好意的に受け入れてもらいました。私はこのような役割を果たせたことを誇りに感じています。」
ルーロ氏は当初本業でもあるヴィニュロンの役を演じることで俳優としてのイメージがついてしまうのでは、と心配していたそうですが、実際には素晴らしい経験だったようです。

“地の果て”アルゼンチンでのワイン造り

ボデガ・チャクラのオーナー、ピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏
ボデガ・チャクラのオーナー、ピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏
二足のわらじを両立しているだけでもすごいことですが(しかもワインの評価も人気もスター級!) 、ルーロ氏は最近ではワイン造りにおいて全く新しいプロジェクトをスタートさせました。それが、アルゼンチンのボデガ・チャクラと共同で造るシャルドネ。
ボデガ・チャクラは、イタリアワインの至宝と呼ばれるサッシカイアの一時代を築いたオーナー、ニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏の甥である、ピエロ氏が2003年にアルゼンチンの南端、パタゴニアで始めたワイナリー。ビオディナミ栽培したピノ・ノワールを中心にワインをリリースし、近年ではワイン・アドヴォケイト誌において「ボデガ・チャクラが造るピノ・ノワールは南米第1位である」と大絶賛されるほどにまでなりました。
白ワインとグラス
2年前からスタートさせたのがこちらのプロジェクト。ピエロ氏とはニューヨークのインポーターを通じて知り合った10年来の友人だそうで、ピエロ氏から「ずっとピノ・ノワールを造ってきたが、今度はシャルドネを造りたい」との相談を受けたのがきっかけだそうです。
実際にパタゴニアに足を運んだルーロ氏は、近年のブルゴーニュ農業のモノカルチャーとは対局にある、体全体で感じられる大自然とその中で育まれるブドウ、農産物、野生の動物たち、という多様な農業に感銘を受けたそうです。
ルーロ氏はこのシャルドネについて、
「ムルソーと同じワインを造りたいとは思っていません。パタゴニアのテロワールや、スタイルは誰もまだ確立できていないとも思います。だから楽しい。テロワールを語るワインにする、それが目標です。」
と、このプロジェクトにかける想いを素直に語ってくれました。2017年が初リリースで生産量も非常に少ないですが、これから生産を増やす予定もあるとか。今後が楽しみです。
ルーロさん
レールに敷かれたものではない、俳優というもう一つの人生を歩みたい。そしてワイン造りにおいても新天地でチャレンジしたい。そんな自分の正直な気持ちに従う一方で、ファミリーが代々続けてきたワイン造りを完璧に引き継ぎ、さらに品質を上げる。
ルーロ氏は「二つの職業を持つのは良いことばかり」とさらりと話しましたが、どちらも両立させることは並大抵のことではありません。大変な努力を続けてきたからこその今があるのでしょう。ルーロ氏の穏やかな笑顔と、きらりと光る強い眼差しに、スーパースターの姿が垣間見えました。
人気がありすぎてドメーヌ・ルーロのワインはなかなか買えないという方も多いかと思いますが、各所で絶賛されている映画『おかえり、ブルゴーニュへ』は只今公開中!ルーロ氏監修のもと、ブルゴーニュのワイン造りを丹念に描いた映画は全てのワインラヴァー必見です!ぜひ皆さんもご覧になってみてはいかがでしょうか。
 
映画での一コマ
『おかえり、ブルゴーニュへ』のワンシーン。ルーロ氏は映画の中でドメーヌを守る管理人を演じました。
(C) 2016 – CE QUI ME MEUT – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA 11月17日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
公式HP:burgundy-movie.jp 映倫:PG12
 
 
映画について詳しくはこちら > ドメーヌ・ルーロの特集はこちら >
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