36ヴィンテージぶりの世代交代で、目指すのは“ブルゴーニュの頂点”。「ドメーヌ・デ・ランブレイ」

1980年から2016年まで、ドメーヌ・デ・ランブレイのワインを36ヴィンテージも手がけ、その名声を高めたブルゴーニュのレジェンド、ティエリー・ブルーアン氏と、新たなエステート・マネージャーであるボリス・シャンピィ氏が11月上旬に揃って来日。

お二人にドメーヌのこれまでとこれからについて語っていただきました!

前マネージャーと現マネージャー

(左)前醸造責任者で現在もコンサルタントを務めるティエリー・ブルーアン氏と(右)現エステート・マネージャーのボリス・シャンピィ氏

600年以上の歴史を誇る伝説の畑

世界最高峰の赤ワインを生み出す銘醸地、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ。

中でも、ジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーの間に位置するモレ・サン・ドニに本拠地を置くドメーヌ・デ・ランブレイは、一級から特級へ格上げされた数少ないグラン・クリュ、クロ・デ・ランブレイを所有するドメーヌ。 グラン・クリュのクロ・デ・ランブレイは現在、ドメーヌ・デ・ランブレイを含む2人の所有者がいますが、ドメーヌ・デ・ランブレイは実にその99%以上を所有しており、モノポール(単独所有)といっても過言ではありません。

1365年のシトー会修道院の記録証書にもその名前が残るほど歴史を持つこの畑は、標高250mの高地に位置し、モレ・サン・ドニのグラン・クリュの中で最も急斜面でブドウ栽培に理想的な場所に広がっています。“コート・ド・ニュイの宝石”とも呼ばれる素晴らしいテロワールゆえ、400年以上もの間修道院によって守られてきた屈指のグラン・クリュです。

ドメーヌを復活させたレジェンド

イベントにてお話しする様子

ワインショップ・エノテカGINZA SIX店のイベントで挨拶をするティエリー・ブルーアン氏(右)

クロ・デ・ランブレイはその後分割によって長い間不遇の時代が続きましたが、畑の買い戻しやオーナーの変更があり、1980年にティエリー・ブルーアン氏が醸造責任者に就任。その後は目覚ましい品質向上を遂げ、1981年にはAOC法施行後初めて、一級から特級へ昇格を果たします。これは、ブルゴーニュの長い歴史の中でも史上初の快挙でした。

ティエリー氏はINAO(国立原産地名称研究所)の技術部門で働いていた栽培と醸造のスペシャリスト。その知識と技術、そして最高のワインを造るという情熱によって、クロ・デ・ランブレイの復活に貢献しました。

以後、36ヴィンテージものクロ・デ・ランレイを手がけ、ワインメーカーも憧れるレジェンドとなったティエリー氏ですが、2016年ヴィンテージを最後に引退。現在の肩書きはコンサルタントで、2017年のクロ・デ・ランブレイはボリス氏と共に手がけましたが、2018年以降はワイン造りには直接関わらず、役員として「ボリスが財政的に問題なくやっているかなどをチェックするよ!」とのことです。

引退後、個人的にやりたいことはありますか?との質問には、

「ちょっと休みたいよ!もう70歳だからね。(笑)」との答え。

とはおっしゃいつつ、現オーナーのLVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、フランスはもとより世界中にワイナリーを所有しているため、カリフォルニアで畑の指導をしたり、今後購入する予定の畑に関するアドバイスを求められたりすることもあるそうで(どこの畑かはまだ内緒だそうです)、レジェンドが休む暇は当分なさそうです。

LVMHグループのオーナーも期待を寄せる才能

質問に答える様子

そして、このレジェンド、ティエリー氏の後任として選ばれたのがボリス・シャンピィ氏。新たなエステート・マネージャー選びは厳正に行われ、多くの候補者の中からオーナーが選出した女性を含む10名を面接し、最終的に残った3名の中からボリス氏が選ばれたそうです。

最終面接では「フランス・ファッション界の帝王」と呼ばれるLVMHグループのオーナー、ベルナール・アルノー氏も登場。彼の質問は「ブルゴーニュ中で最も品質の高いワインを造る自信はあるか?」だったそうです。もちろんボリス氏の答えは「Oui!」だったに違いありませんが、ドン・ペリニョン、シャトー・ディケムやシュヴァル・ブランなど錚々たるワイナリーを所有する同グループがドメーヌ・デ・ランブレイ、そしてボリス氏に寄せる大きな期待が垣間見えるエピソードです。

ボリス・シャンピィ氏は、ボルドー大学を卒業した後、ジャン・ピエール・ムエックス社に入社、その後カリフォルニアのドミナス・エステートで10年働いた後、ブルゴーニュのルイ・ラトゥールでドメーヌ部門の醸造責任者を務めたという華々しいキャリアの持ち主。

そんなボリス氏に、なぜドメーヌ・デ・ランブレイで働こうと思ったのかを尋ねました。

「クロ・デ・ランブレイにはグラン・クリュのワインしかない。そして、最大の努力をして最高のワインを造ることに専念できるという点に惹かれました。以前働いていたカリフォルニアのドミナスでも、オーナーのクリスチャン・ムエックス氏から『予算の上限はない、最も素晴らしいワインを造って欲しい』と言われていました。ランブレイも同じです。

また、従業員が多く、職務が分かれているボルドーのシャトーなどと比べ、ランブレイでは栽培や醸造、ストックや財務管理、プロモーションからジャーナリストの対応まで、全てを自分でやらなければなりません。そこにもやりがいを感じています。

そして何より、ブルゴーニュには非常に長い歴史があり、先人たちが懸命にワイン造りを行い、時間をかけて探究を重ねていった結果のワインと技術が代々若い世代に引き継がれています。今こそブルゴーニュの時代だと思っています。」

今よりもっと品質を高めたい

お話する様子

約束されたテロワールとティエリー氏の不断の努力によって、すでにコート・ド・ニュイでもトップドメーヌとして知られるドメーヌ・デ・ランブレイですが、ボリス氏にとってはまだまだ品質を高めるために改善する余地はあるそうです。

「例えばティエリーは2012年にトレーサビリティーの改革を行いました。畑の仕事も同様で、日々改善を繰り返しています。最近は畑を掘り起こして地質調査を行い、クロ・デ・ランブレイは5種類(※)もの異なる地質の畑で構成されているということが判明しました。あるグラン・クリュでは2種しかないと聞いているので、地質の種類が多いということはより良いことだと思っています。

また、2020年から2021年にかけてはセラーや醸造設備の刷新も予定しており、コルクに関しては2016年から1個1個分析検査をして、ブショネの発生を根絶しています。」

(※)①ウミユリ石灰岩(畑全体の低い部分)、②砂岩質(0.5㎝位の小さな石で構成されている)③プレモー石灰質(プレモー・プリセ由来)、④小石(拳大の石で構成されている)⑤粘土石灰質)

ボリス氏の口からは具体的な改善プランが次々と飛び出し、その意気込みと実行力が伝わってきました。

ワインボトルとグラス

 

「確かにクロ・デ・ランブレイは素晴らしく恵まれた条件が揃ったドメーヌですが、例えば神に約束された土地と言われるシャンベルタンでさえ簡単に素晴らしいワインが生まれるとは限らないのです。

我々は易きに流れることなく、素晴らしいワインのために小さな改善を重ねる努力を続けていく必要があるのです。」

ボリス氏の力強い表情と言葉、そしてそれを傍らで見守るティエリー氏の安心した眼差しからも、ドメーヌがこれまで以上に盤石な体制であることがひしひしと伝わってきました。

ティエリー氏とボリス氏が2人で手がけた2017年、そしてボリス氏が1人で手がけたという2018年のリリースはまだ先ですが、すでに世界中の注目を集めている新ヴィンテージ、ワインラヴァーにとっては見逃せない銘柄になりそうです。

 

最新2015年、2016年ヴィンテージは今月末発売予定!

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