第22回 séduisant(魅惑的な)

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公開日 : 2018.3.25
更新日 : 2023.7.12
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奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

1 séduisant(魅惑的な)

ソムリエなどプロも、ワイン愛好家も、ブルゴーニュが本当に好きです。日本人は特にそうといえるでしょう。そんなブルゴーニュを的確にコメントするのは決して簡単ではありません。ブルゴーニュファンの皆さんはどのように表現して、目の前のワイングラスの注がれたブルゴーニュの美味しさ、悦びを伝えられるか、考えてみてください。勉強会などで、テイスティングコメントを聞いていると、大体こんな感じです。「色はあまり濃くないルビー。香りはラズベリーと少しお花、、、果実が中心です。味わいは軽め、酸味がしっかり、渋みもあまり強くありません…」あれあれ?皆さんが知っている、大好きなブルゴーニュの良さが、十分伝わらないですよね。ブルゴーニュの難しさはここにあります。言葉で具体的に表現しようとすると、どうしても陳腐なものになってしまうのです。

以前、ロマネコンティのオーナーにロマネコンティの特筆すべき味わいは、との問いに、「はなやかさと軽やかさ」といったコメントをきいたことがあります。それなりに含蓄も感じられるのですが、他のワインにもそのまま使えそうな言葉でもありますよね。フランス語の表現で、〝séduisant〞 という言葉があります。「魅惑的な」という直訳になります。この言葉を聞いて、「なるほど!」と思った方もいないと思います。テイスティングの表現は、香りと味わいを合わせて行うと立体感が出て、よりきめ細かに表すことができます。ブルゴーニュは特にそうです。さらに重要なのがテクスチュア、触感です。ブルゴーニュのすばらしい赤ワインは、「妖艶」ともいえる、フワリと浮かび上がる、芳しさが特徴です。この「妖艶さ」に、ワインラヴァーは心を奪われるのでしょう。特に日本人は香りに強く影響される特性があると、いわれます。なおのこと、魅了されるのでしょうね。その妖艶に浮かび上がる香り、しなやかで、緻密な舌ざわり、つまり「ビロードのような」テクスチュア、これらを組み合わせた表現が、〝séduisant〞 と認識しています。

ヴォルネイ・プルミエ・クリュ・クロ・デ・ザングレ 2011年 ニコラ・ロシニョールは、オレンジがかったルビー色で深みがあります。香りは華やかで、広がりがしっかりと感じられます。よく熟したグリオットチェリー、牡丹といった香りに、紅茶、少しむれた土、森のキノコといった複雑な印象も湧き上がってきます。味わいはほどよい強さのアタック、ふくよか、かつやわらかな広がりがあります。酸味がキメ細かさを与え、紅茶や土っぽい香りが口中に広がります。渋みも緻密で、ふわりと軽やかに浮かび上がるようなフィニッシュです。やさしく包まれ、魅了されたと思いきや、気がつくと、「ふわ」と薄れてゆく、まさに「魅惑的」です。ほろほろ鳥のロースト、森のキノコ添え、深みのある鶏肉とジュは最高のハーモニーをみせるでしょう。ぜひ恋人、夫婦で、しっとりと味わっていただきたきたい「勝負ワイン」です(笑)。

séduisant(魅惑的な)を感じるワイン

ヴォルネイ プルミエ・クリュ クロ・デ・ザングレ/ ニコラ・ロシニョール(フランス ブルゴーニュ ヴォルネイ)

10,000 円 (10,800 円 税込)

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