奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

シャルドネは、もっとも優れた白ワイン品種です。モンラッシェやコルントン・シャルルマーニュはいうまでもなく、世界中で秀逸な長期熟成が可能な白ワインを量産できます。リースリングやソーヴィニヨン・ブランもその品質においては匹敵するものがありますが、順応性の高さにおいて、シャルドネは抜きん出ています。
そんな世界トップクラスのシャルドネに白ワインというと、どんな個性を思い浮かべるでしょうか? シャブリのような爽やかで、伸びやかな酸味を主体としたシャルドネもありますが、やはり、濃厚で、トロリとしたテクスチュアの味わいでしょう。香りにもバターやブリオッシュ、ときにモカクリームのような豊潤さが特徴です。「ゴージャス」という表現がぴったりかもしれません。 そして、ブルゴーニュといえば、ミネラルとアーモンドです。ブラインドテイスティングにおける私の判断基準はこの二つのフレーヴァーです。 シャルドネは、「ニュートラル」なブドウ品種です。つまり、ブドウ品種由来の香りが少ない。あの豊潤な香りは、木樽、マロラクティック発酵、熟成によるものなのです。ミネラルの香りは土壌などテロワールのよるもので、必ずしもあるものではありません。 以上の要素をそぎ落としてゆき、残るのが、「アーモンド」です。日本ではあまりなじみはありませんが、生のアーモンドです。ローストアーモンドの茶色い外皮のものではなく、真っ白なアーモンドの実を、テイスティング用語では、ビターアーモンドと表現をします。チョコレートなどに入っているローストアーモンドから、香ばしい香りを差し引いたものなのですが、フランスで木から落ちて間もない、アーモンドの実をむいてかじったときに、「この香りだ」と気がついたのです。事実、ブルゴーニュの生産者やフランス人のプロテイスターは、この「ビターアーモンド」を表現によく使います。
ネゴシアン・エルブール(ワインの生産まで手がける品質重視のネゴシアン)の草分け的存在の、オリヴィエ・ルフレーヴによる、ピュリニー・モンラッシェ2013は、鮮やかなイエローにゴールドの反射がみられます。香りははっきりとしていて、洋梨コンポート、ブリオッシュ、ビターアーモンド、石灰のようなミネラル、そしてバニラ、とピュリニーのテキストブックのような香りの構成です。味わいは、活き活きとして若々しく、酸味が際立ちますが、後半ではふわりと浮かび上がるような快適なフィニッシュとなります。 現在楽しむのなら、少し冷やしめで、棒棒鶏(辛味をおさえた)や、アナゴの白焼きや煮こごりなど幅広い料理と楽しめます。
「ビターアーモンド」を感じるワイン
ピュリニー・モンラッシェ/ オリヴィエ・ルフレーヴ(フランス ブルゴーニュ ピュリニー・モンラッシェ)
7,500 円 (8,100 円 税込)