奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ワインやソムリエについて、あまり知識のない方から、「ワインって、いろんな香りの表現をしますよね」とよく言われます。「”森の下草の香り”とかいうんですよね」と付け加える方が意外と多くて内心驚いています。 ほとんどワインを飲まない方から、”森の下草”なんて聞いてしまうと、「よくそんな難しい言葉をピンポイントで覚えているな」とむしろ感心してしまいます。 なぜなら”森の下草”は認定試験を受験する人、また合格した人でも、そうそうコメントとして使うことはないからです。
どんな香りで、ワインがどういう状態のときに使うかを正確に理解するのは、かなりのワイン習熟度があっても困難なのです。 ワインの香りが示すものは、原料ブドウとその成熟度、生まれた土地・環境、栽培や醸造、そしてワインの熟成度です。 ワインの香りは、最初はフルーツや花などフレッシュで、華やかな印象が強いのですが、熟成と共に深みのある、複雑な香りが強まっていきます。
ワインは熟成すればよいというものではありません。 熟成はイコール酸化でもあります。熟成が急激に進んだり、過剰なものは”酸化したワイン”となってしまうのです。 人間と一緒で、ゆっくりと、熟成の進行にブレーキをかけながら、歳を取ったワインが放つ熟成の香りが醍醐味なのです。
さて”森の下草”とはどんな香りでしょう。森に入っていったとイメージしてください。 空気は少し湿った感じがします。足元には木の葉や枯葉が積み重なっています。 樹皮も湿っていて、朽ちたところもあります。 ブルーベリーやブラックベリーなど木の実が成っています。地面におちて潰れた木の実もあります。 足元の木の葉をはらってみると、湿った土に、キノコにシダ、カビっぽい香りが立ち昇ります。 虫の死骸も見つけられます。少し焦げ臭さも鼻をつきます。
着いてきてくれましたか? すいません、妄想が得意なもので、少し解りにくかったかもしれません。私の妄想癖はさておき、そんな森の中で感じられる香りのミックスが、”森の下草”と呼ばれるものなんです。 この”森の下草”の香りが熟成の香りの集大成のひとつとして、高い評価を示しています。 なぜかというと、若いうちにたくさんの香りがあって、それらがゆっくりと熟成した場合に現れるからです。 もともとシンプルであったり、熟成が早いスピードで進んだワインには感じられず、酸化の香りとなってしまうからです。この酸化になった場合の香りについてはまたお話しします。
もともと、フランス国内の特別なお客様向けに造っていたワインで日本への輸出が始まったのは、つい最近のこと。しかしながら、1610年の歴史書には既に記述のある由緒正しいシャトーです。現在はボルドーの大手ネゴシアンを運営するカスティジャ家がソーテルヌのドワジー・ヴェドリーヌとともに所有・運営しています。
「森の下草」を感じるワイン
シャトー・ド・ビロ(フランス ボルドー)
2,500 円 (2,700 円 税込)
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