奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ワインの表現は時につれ、変化してゆきます。それは「このブドウ品種はこの香り」というものがいつまでも変わらずにあるかといえばそうではありません。言葉はその意味を次第に変えてゆくもので、新たな言い回しが生まれたり、変化したりしてゆきます。またワインのスタイルは、気象や技術、造り手の意志、飲み手の嗜好が変われば、それに伴ってゆくものだからです。
ロワールのソーヴィニヨンブランは、「ハーブの香り」が特徴といわれ、サンセールはそれが顕著に表れる、つまりソーヴィニヨンの見本となってきました。
昨今のサンセールには「ハーブの香り」は感じられなくなり、より果実が熟した印象となっています。それは造り手たちがよりブドウの成熟を意識するようになったからです。現在では多くの造り手が、「ハーブの香りはサンセールの特徴ではない」と言います。ただ「ハーブの名残り」ともいえる爽やかな香りも感じられます。
そういったサンセールの香りを「カシスのつぼみ」(Bourgeon de Cassis)と表現します。「ハーブの香り」という言葉が栽培、技術の進歩により、進化したのです。 でも「カシスのつぼみ???」、難解ですね。そうですね、カクテルのキール(Kir)に似ています。カシスが白ワインで薄まった、そんな香りです。
パスカル・ジョリヴェのサンセールは、チャーミングな果実香と花の香りが印象的な、アロマティックな白ワインで、カシスのつぼみがキレイに表れています。味わいは爽やかでミネラル感を含んだ酸味がストレートに口中で伸びてゆきます。魚介のセヴィーチェやサーモンのタルタル、虹鱒のムニエルと楽しめそうです。
パスカル・ジョリヴェを訪問する機会があったら、「カシスのつぼみの香りですね」と言ってあげてください。「そうなんだ、サンセールはそれが特徴なんだよ」って喜んでくれるでしょう。
「カシスのつぼみ」を感じるワイン
サンセール・ル・シェーヌ・マルシャン/ パスカル・ジョリヴェ(フランス ロワール)
4,200 円 (4,536円 税込)
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