日本を代表する白ワインで使用されるブドウ品種、甲州

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公開日 : 2018.9.20
更新日 : 2022.5.23
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甲州のボトル

日本を代表する固有品種「甲州」は、淡い外観にフレッシュフルーツのような香りで、スッキリとした味わいのワインを生みだす白ブドウ品種です。

山梨県を中心に栽培されており、前述した特徴のワインだけでなく、栽培方法・醸造方法によってさまざまなスタイルのワインを生み出します。

今回は、日本はもちろん、世界でも注目され始めている「甲州」について紹介します。

目次

甲州とは?

甲州ブドウ畑

甲州は、グリ系と呼ばれる薄い藤紫色の白ブドウ品種です。甲州は、生食用も兼ねていますが、多くはワイン醸造用に使用されています。

主にフレッシュで軽やかな味わいの辛口白ワインが造られますが、一般的な白ブドウに比べて果皮がやや厚いため、あえて果皮由来の成分をワインに多く移行させたものや、オレンジ色の外観をしたワインなども造られます。

ブドウ樹は、主にX字剪定による棚仕立てで栽培されていますが、一文字短梢仕立てや垣根仕立てなど、甲州が持ち合わせている可能性を見出すためにさまざまな工夫が続けられています。

甲州は、発祥の地と言われている山梨県の甲府盆地東部に栽培地が集中していますが、栃木県や山形県、西日本など、僅かながら全国的に栽培されています。

甲州の出自とは?

ブドウ畑

甲州は、日本固有のブドウ品種ですが、カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネ、リースリングなどと同様に、主にワイン用として使用されているヨーロッパ系の「ヴィティス・ヴィニフィラ」に属していることが、DNA解析で判明しています。

しかし、原産地や伝来方法などは来歴に確かな記録が残っていないため、それについてはさまざまな説が語られてきました。

甲州種の発見時期には山梨県甲州市勝沼地域の上岩崎と下岩崎を発祥とする2つの説がありますが、長年甲州のルーツは解明されることはありませんでした。

しかし2013年、独立行政法人酒類総合研究所の後藤奈美氏によるDNA解析により、甲州の「ヴィティス・ヴィニフィラ」に、中国の野生種「ヴィティス・ダヴィーデ」のDNAが少し含まれていることが判明します。

このDNA解析の結果を受け、甲州はカスピ海付近で誕生したヴィニフィラが中国を渡り、長い年月をかけて野生種との交雑を経て、日本に渡ってきたと考えられるようになりました。

甲州の特徴とは?

ブドウ

甲州は、晩生型のブドウと言われていますが、収穫時期は主に9月から10月後半と幅広く、収穫年の天候状況や生育状況、糖度や酸度などが考慮され収穫されています。

甲州は他のヨーロッパ系ブドウ品種と比較して糖度が上がりにくい品種なため、多くの生産者は補糖を行っています(糖分を補うことで発酵、ワインの仕上がりを良好にするため)。しかし、大手メーカーの栽培技術指導を含め、各生産者の工夫や努力などにより、近年では糖度が高く品質の高い甲州が収穫されています。

また、糖度を無理に上げず、アルコール度数の低いピュアな甲州ワインを造る生産者もおり、そのスタイルは多岐に渡っているため、多様性に富んだ味わいになっています。

多岐に渡るスタイル

白ブドウとワイングラス

甲州の大きな特徴は、「さまざまなスタイルのワインを生み出す」ところにあります。ここからは、甲州から造られるワインのスタイルをいくつか紹介しましょう。

シュール・リー

シュール・リーは、主にフランスのロワール地方(ミュスカデ)で採用されている製法(ほかシャンパーニュなど、さまざまな産地でも採用されている)であり、樽に沈殿する滓を取り除かず、その滓とワインを樽内で一定期間接触させる技法です。

甲州の辛口タイプの主流として取り入られており、ミディアムライトなボディ感のある、フレッシュな味わいのワインに仕上がります。

樽熟

小樽で甲州を熟成させるスタイルが「樽熟スタイル」です。生産者によって、樽で発酵させた後そのまま熟成させるスタイルや、ステンレスタンクで発酵後に樽に移して熟成させるスタイルなど、さまざまな方法が選択されています。

樽由来のバニラ香や燻香、複雑性のあるミディアムライトボディのワインに仕上がります。

スキンコンタクト

軽く前述しましたが、甲州は果皮が厚く、黒ブドウほどではありませんが、一般的な白ブドウに比べると果皮由来の成分が多く含まれています。

その特徴を生かすため、果皮と果汁を長く接触させるスキンコンタクトが採用されることもあります。

色素成分やポリフェノール類などが果汁に抽出されるため、オレンジがかった色合いになったり、引き締まった骨格、ほど良い苦みなどがある個性的なワインが仕上がります。

スパークリングワイン

近年、甲州を使用したスパークリングワインが多く造られるようになりました。フレッシュで軽快な味わいに発泡性が加わることにより、より飲み心地が良くなり、料理との相性が良くなります。

一部の大手メーカーがイタリアで主流のタンク内二次発酵を行っていますが、瓶内二次発酵で造られる本格的なスパークリングワインを造る生産者もおり、世界的にも高い評価を獲得しています。

そのほか、中甘口、極甘口など、甲州ブドウにはさまざまなタイプのワインがあるので、気になる方は試してみましょう。

甲州に相性の良い料理

白ワインと料理

甲州から造られるワインは、主にフレッシュな柑橘系の香りと軽やかで穏やかな酸、すっきりとした後味が特徴です。

また、製造法によって果皮の厚みを生かした、ほのかな苦みを感じさせるスタイルなどもありますが、総じて“繊細さ”が魅力と言えるでしょう。

そのため、繊細な味付けの京料理をはじめとした、和食との相性が良いとされています。

出汁と薄口醤油で味付けされた煮物、魚介類の刺身や寿司、塩焼きなど、一般的にワインとのマリアージュが難しい、と言われているものとの相性が良いため、日本人の食卓で活躍させやすいワインといえます。

甲州から造られる白ワインは、繊細な和食の香りや味わいを邪魔せず、きれいに整えてくれます。

ちなみに、和食だけでなく、野菜を中心に使用した中華やフレンチ、イタリアンなどの料理にも合いやすく、数あるワインの中でも、「万能なワイン」の部類に入ると考えられます。

おすすめの甲州のワイン

最後に、ぜひ一度お試しいただきたい甲州のワインをご紹介します。

こちらは山梨県勝沼町の標高の高い山路地帯で栽培された甲州種を100%使った白ワイン。

ステンレスタンクで発酵し熟成しているため、雑味が無く果実そのものの美味しさを味わえます。

甲州種ならではのクリーンな味わいと旨みをお楽しみください。

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まとめ

ちなみに、甲州はO.I.V.(Office International de la vigne et du vin 国際ブドウ・ワイン機構)に、2010年に品種登録されており、「甲州」の名をラベルに記載してEU内で販売することが可能になっています。

日本ではもちろん、世界にも羽ばたき始めた日本固有のブドウ品種「甲州」。

私たち日本人にとって最も身近な品種だからこそ、日常的に楽しまれてみてはいかがでしょうか。

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