大切な人との特別な食事での1杯も、疲れた1日の終わりに飲む1杯も、ワインはその時の気持ちに寄り添い、心を豊かにそして落ち着かせてくれる存在です。
また1杯のワインがいつもの日常にちょっとだけ彩りを与えてくれます。
そんなワインのある暮らしを覗いてみませんか?エノテカスタッフの生活に馴染んだワインのある暮らしをお伝えします。
著:佐藤 珠穂
ワインショップ・エノテカ 自由が丘店スタッフ。 20歳の誕生日に、父が生まれ年のシャトー・グリュオ・ラローズを開けてくれたことがワインに興味を持ったきっかけ。料理が好きで、休日は手のかかる料理やパン、お菓子を作ってはワインと一緒に楽しんでいる。
実家から数駅のところに、家族ぐるみでお世話になっているイタリアンレストランがあります。店内はシックでモダンながらも、座り心地の良いソファ席があり、気を張らずにくつろぐことができます。
かれこれ15年はお世話になっているこの店のお気に入りメニューが “ボローニャ風ラザーニャ”です。とろけるような食感のホワイトソースが特徴で、ふとした時に思い出したら最後。頭から離れなくなって、ついお店に足を運んでしまいます。
このくらい美味しいラザニアを自宅でも食べることができたらと思い、何度か挑戦してみたのですが、なかなか納得のいく仕上がりになりません。見た目は完璧なのですが、肝心な味わいは「何か」が足りないんです。どうしたらもっと美味しくなるのかな……。
諦めきれずにラザニア作りの試行錯誤を続ける中で、自宅ならではの楽しみ方を見つけました。それは、ラザニアに合わせるワイン選びです。
毎回異なるワインと合わせていると、思いがけないペアリングを発見することでき、それがとにかく楽しいんです。
まずはイタリア定番の赤ワイン、キャンティを合わせてみました。牛ひき肉の旨みやトマトの酸味に、キャンティの豊かな果実味がマッチするのですが、大好きなホワイトソースが陰に隠れてしまいます。
続いては、樽感のあるシャルドネをチョイス。ホワイトソースとワイン、双方の濃厚な口当たりがマッチして美味しかったものの、まだ完璧とは言えません。
自他ともに認める凝り性ぶりを発揮し、これら以外にも色々なワインを合わせてみた結果、ついにあるワインにたどり着きました……!それがアルネイスを使った白ワインです。
ブドウ由来のナッツのようなアロマと焼き目のついたチーズの香ばしい香りがよく合い、テーブルに並べただけで食欲が掻き立てられます。肝心の味わいは、アルネイスの酸味が穏やかでコクのある果実味がホワイトソースをしっかりと引き立ててくれました。まさに、フォークもワインも止まらない最高の組み合わせ!
こんな風に完璧と言えるペアリングを見つけたときの達成感はたまりません。
これからもたくさんのベストペアリングに出会えるよう、色々な組み合わせを試してみたいと思っています。
これが私のワインのある暮らしです。