みなさまこんにちは。神戸三田店の藤原です。
各地で長く自粛を余儀なくされていた夏祭りも、この夏は開催となったところが多いようです。
私の地元では西日本最大の民謡の祭典があり、毎年この時期になると、蒸し暑さと人々の喧騒が合わさったような瞬間に過去の記憶が呼び起され、晩夏の郷愁とともに祭囃子が聞こえてくるような錯覚に陥ります。
夏祭りの人いきれの中で飲むお酒も好きなのですが、私は夏祭りが終わったあと、余韻に浸りながら涼しい室内で飲むワインが好きです。
そういうわけで今回、「夏祭の余韻をより楽しむためのイタリア赤ワイン」をテーマにチョイスしたのが「ボッリジアーノ」です。
ボッリジアーノはサルヴァトーレ・フェラガモ・ファミリーがトスカーナで手掛けるワインで、ヴァルダルノ・ディ・ソプラという産地で造られています。
18世紀にはキャンティなどと同様に、世界最古の原産地呼称として認められておりましたが、その後しばらく知る人ぞ知る産地になっていました。
2011年にDOCとして復活してからは有機栽培が盛んな地域となっており、ボッリジアーノもビオ・ロジック農法で栽培されています。
早速抜栓して参ります。
メルロ40%、シラー35%、サンジョヴェーゼ25%というセパージュですが、想像より色合いは淡く、プラムやラズベリーなどの香りや甘草、バラなどのニュアンスからはサンジョヴェーゼの印象を強く感じます。
口に含むとメルロ特有の渋皮の要素を感じる味わい。抜栓直後は硬質な雰囲気がありますが、20分ほどで開いてきました。
サンジョヴェーゼのベリーやスミレ、バラの香りにメルロのふくよかな果実味と、シラー由来のスパイスやミントなどハーブの要素がより感じられるようになっていき、非常に香りのはっきりしたワインに変化します。
少し冷えていれば口当たりがよく瑞々しい印象が楽しめます。この部分が夏でも美味しく飲めると思っている部分ですが、温度が高ければより香りが強く楽しめるため、冷えていても常温でも楽しめると考えています。
祭の最中ならキンキンに冷えているパワフルでフルーティな赤ワインもよいと思います。
しかし祭が終わったあとの余韻を楽しむのであれば、時間や温度とともに変化するようなある種繊細なワインを「ああ、今年も夏祭りが終わったな……」という寂寞とともに味わうのも「をかし」だとこのワインを飲みながら感じました。
今回のテーマは「夏祭の余韻をより楽しむためのイタリア赤ワイン」だったので、合わせる料理も夏祭りにありそうなもの……ということで、自宅のグリルで色々焼いてみました。
その中でもフランクフルトとは相性がよかったのですが、これがハーブの効いているサルシッチャだったらもっとよかったかもしれません。焼き鳥はすごく好相性でした。ちょっと山椒が効いているとほのかなスパイスの印象と噛み合いますね。
いつもの余談なのですが、地元の祭のまばらな花火がすごく好きです。
花火の上がる感覚が長く、一発ずつの余韻を噛みしめるような心地がしてそこに侘びを感じてお酒が進みます。侘茶ならぬ侘びワインです。
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