香しい沈丁花や桃李のつぼみ、雲雀のさえずりなどにも暖かい季節の訪れを感じる頃となりました。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
私は車のタイヤをノーマルタイヤに履き替えたことに春の訪れを感じています。
今日はサンジョヴェーゼのお話をさせてください。イタリアを代表する品種であり、テーブルワインから高級ワインまで様々なワインになる可能性を秘めた、多様性のある品種です。
サンジョヴェーゼは非常に突然変異しやすいブドウで、クローン(※)も多く存在し、その性質も様々です。生産的なクローンや、果皮が分厚いものなど、一口に「サンジョヴェーゼとはこんな品種!」とは言えなくなっています。
今回ご紹介する「トロンコーネ」は、サンジョヴェーゼ・グロッソで造られたワインです。サンジョヴェーゼ種の中でも粒が大きく果皮が分厚いもので、晩熟であるために長期熟成も可能です。
※:同じ株に起源をもつもの。一般的には同じブドウの樹から枝だけを切り落とし、挿し木などをして繁殖させたものを指します。
生産者であるレ・ラニャイエはブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産者として非常に輝かしい評価を受けています。
現当主のリッカルド・カンピノーティ氏は、2002年から29歳の若さでワイン造りを始め、2005年ヴィンテージは評論雑誌で高得点を獲得。2021年にはワイン&スピリッツ誌にてトップ100ワイナリーに選出されるなど、世界から注目を集めています。
この「トロンコーネ」が生み出される畑の標高は620m~655m。D.O.C.G.ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの標高規定である250m~600mの規定を超えた産地です。
日本三大夜景で有名な神戸のシンボルマーク、摩耶山の掬星台(約690m)とほぼ同等と考えると驚きですね。
標高が高いところでワインを作ることにはメリットがあります。スモッグや塵などが少ない高地は空気が綺麗で日当たり効率がよく、昼夜の寒暖差を生んでブドウは健全に生育します。
この「トロンコーネ」では、サンジョヴェーゼ種の特徴的な酸は綺麗に溶け込み、豊かな果実のニュアンスをバランスよく引き立てています。
また、このワインの真価は時間とともに変化することにあると思います。熟成のポテンシャルが高く、抜栓直後はかなり落ち着いたイメージ。
しばらく置いておくと柔らかく開き始め、濃密なプラムやカシスのようなアロマに加え、甘草、スロヴェニアンオークから来るヴァニラなどが勢いよく飛び出すように香ります。この香りの変化には非常に驚きました。
このワインの凝縮した果実味は、煮詰めたトマトソースとカツレツなどと合わせたいですね。また、ドライトマトをおつまみにしながら飲むと、これもすごくよく合いました。
サンジョヴェーゼが好きで日々様々なワインを試しているのですが、最近妻に体からイタリアの香りがしていると言われました。
詳しく聞いてみると、サンジョヴェーゼの香りという意味だったようです。臭いって意味じゃなくて本当によかったです。
今回紹介したワインはこちら
この商品はこちら