【今日のワイン】独創的なピエモンテ産赤ワイン「バルベラ・ダルバ・スペリオーレ ブリッコ・ボスキス ヴィーニャ・デル・ククロ」
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皆様はじめまして、神戸三田店の藤原と申します。厳寒の折、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。冷え込みが激しく、「兵庫のチベット」、「関西のシベリア」とも呼ばれている神戸三田では吐く息までが凍らん勢いです。
さて、エノテカのスタッフが毎回魅力的なワインを紹介しているこのコーナー、私はイタリアの赤ワインにテーマを絞ってご紹介したく思います。
私が今回ご紹介したいのは、イタリア、ピエモンテ州のワイン「バルベラ・ダルバ・スペリオーレ ブリッコ・ボスキス ヴィーニャ・デル・ククロ」です。
ピエモンテといえば「イタリアワインの王」の呼び名も高いバローロや、女王と称されるバルバレスコが特に有名ですが、今日はこの非常に独創的でピエモンテらしいバルベラ・ダルバをご紹介させていただこうと思います。
このワインを作るカヴァロットは、かつては伝統派にカテゴライズされていた造り手で、いわゆる有機農法が特徴です。また、現在でもスラヴォニアン・オークの大樽を使用する伝統派の生産者でもあります。
多くの有機農法ではブドウが病害虫に侵された時、許可されている自然由来の農薬を用い、快復したブドウをワインにする場合が多いのですが、このカヴァロットは病気になってしまったブドウを全部引っこ抜いてしまったという話が知られています。
また、農薬は使いたくないが、植物につくダニは駆除したいというジレンマの中、肉食性のダニを畑に放つことで植食性のダニを駆除するなど、ナチュラリストであることがカヴァロットの個性と言えるでしょう。
この有機農法にこだわりを持つカヴァロットは、バローロの産地として非常に優れているブリッコ・ボスキスの丘にあるヴィーニャ・デル・ククロという畑で少量のバルベラを生産しています。
そのバルベラで造られるのが、「バルベラ・ダルバ・スペリオーレ ブリッコ・ボスキス ヴィーニャ・デル・ククロ」。単一畑のバルベラであり、いわばブルゴーニュのワインでいうところのプルミエ・クリュのような畑で造られるワインです。
味わいには丁字や花のニュアンス カシス、プラム、バルサミコのような薫り高い風味を感じます。はっきりと感じる酸、生命力に満ち溢れており、非常に力強くもクリアな果実味。そして長く優雅な余韻。
時間とともに赤系果実の要素が強く感じられるようになっていき、熟成のポテンシャルがあります。一般的なバルベラに感じられるようなフレッシュなスタイルというよりは、深みのある別格の存在感を感じます。
ピエモンテという産地はイタリアという国の中でもいち早くクリュの概念が根付いた土地でもあります。
そうした背景や風土と、生産者の非凡なこだわり、優良な畑と区画。そのすべてが合わさったからこそこのような独創的なバルベラ・ダルバという存在がある。長い時間をかけて醸成されていった様々な要素が一つに集約され、このワインの存在に至ったことに大きな感動をおぼえています。
本来ならばトマトソースなどの料理が好相性なバルベラですが、このワインの持つ奥深い要素は、この時期ならば鹿や鴨などのジビエと合わせるのもよさそうです。
あるいはキノコ料理なども非常におすすめです。アンズタケやトランペットマッシュルームのような味わいのはっきりしたキノコのバルサミコソテー、しめじのポタージュなど、山の食材との相性がよいところも、アルプス山脈の麓に広がるピエモンテらしさを感じますね。
こういった山のワインを飲んでいると山育ちの私は激しい郷愁に駆られます。実家までは車で1時間なのでいつでも帰れるのですが……。
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