今年も「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー 試飲会」が開催されました。
その模様と2018年ボルドーの出来についてお伝えします!
ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドーとは?
ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(以下UGCB)とは、ボルドーの格付けシャトーを中心とした、135の優良シャトーが参加している生産者協会。
彼らは毎年世界各国を飛び回り、最新ヴィンテージのボルドーワインをプロモーションしています。
そんなUGCBの約100シャトーが東京での試飲会に出展!今年は2018年のテイスティングが行われました。
コロナ禍以前はシャトーの方たちも来日しての開催だったUGCB試飲会。今年も来日は叶わず、ワインの試飲のみという少し寂しい試飲会となりました。
偉大な年となった2018年
さて、2018年のボルドー地方の気候をおさらいしましょう。2018年は気候変動の影響を色濃く感じる年でした。
春先に続いた長雨の影響で6月にべと病が蔓延。特にオーガニック農法を行っているシャトーでは農薬が使用できないため、この時期に多くのブドウを失いました。
しかしその後は一変。夏から収穫期にかけては温暖な気候と好天に恵まれ、ブドウの凝縮度が上がったのです。
結果的に低収量にはなったものの、品質の高いブドウが収穫できました。
決して容易とは言えない気候条件となりましたが、最新鋭の技術とボルドーならではの人智、恵まれたテロワールが掛け合わされた結果、2018年は多くのシャトーにとって、2009年や2015年を彷彿とさせるグレートヴィンテージとなったのです。
その出来はいかに?
実際に約100シャトーのテイスティングを行ったところ、全体的に引き締まった印象を受けた2018年。特に左岸はシャトーによる違いを強く感じました。
中でも群を抜いていたのはシャトー・クレール・ミロンとシャトー・ダルマイヤック。
格付け1級シャトー・ムートン・ロスチャイルドの兄弟シャトーとしても有名ですが、その品質はさすがの一言。ムートンを兄にもつだけあります。
果実の凝縮感や酸、タンニンのバランスが素晴らしい出来栄えでした。
そして、なんと言っても2018年の狙いは右岸です。夏の好天が続いても粘土質土壌が豊富な畑が多い右岸では土壌の保水力が高いため、ブドウが十分に熟しました。
右岸の巨匠クリスチャン・ムエックス氏が自身の50年間のキャリアの中で“ベストヴィンテージ”と語ったほどです。
実際にテイスティングをしてそのクオリティを実感。ポムロルならペトリュスに隣接した畑として知られるシャトー・ガザン、サンテミリオンならあのシャネルが所有するシャトー・カノンなど、一流シャトーの質の高さが伺えました。
果実味が凝縮したまろやかなメルロに癒されました。
まとめ
気候変動の影響を強く受けた2018年。だからこそテロワールやシャトーの個性が反映されている年とも言えます。
春先の長雨やべと病の蔓延などがありながらも生産者が口をそろえて“グレートヴィンテージ”と言えるのは、シャトーの技術の賜物です。
そんなシャトーのワインへの情熱に想いを馳せながらワインを楽しんでみても良いですね。
2018年ボルドーワイン一覧