南ローヌを代表するワイン「ジゴンダス」の魅力

南フランス・ローヌ地方南部の銘醸地、ジゴンダス。温暖な気候に恵まれた人口600人ほどの小さな街ジゴンダスで生まれるワインは、なんと言っても豊かな果実味が魅力です。

日本ではそれほど知名度は高くありませんが、濃厚で飲み応えがありながら、果実のやわらかな甘みが感じられる、赤ワイン初心者にもおすすめのワインです。

そこで今回はジゴンダスについて解説するとともに、同じくローヌ南部を代表するワインであるシャトーヌフ・デュ・パプと比較してみたいと思います。

ジゴンダスとは?

ダンテル・ド・モンミライユ山

ジゴンダスは南フランスのワイン産地ローヌ地方南部にあるダンテル・ド・モンミライユ山の麓に位置する村で、この村にのみ認められたA.O.C.です。

アルデッシュやヴォークリューズなどローヌ地方4県95市町村に認められている広域A.O.C.のコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから1971年に単独で独立しました。

A.O.C.ジゴンダスは赤とロゼが認められていますが、全生産量の9割以上が赤ワインとなっています。

ジゴンダスは地中海へ向かってローヌ地方を流れ下るローヌ川の左岸にあり、シャトーヌフ・デュ・パプからちょうど東へ20km、小さな山脈ダンテル・ド・モンミライユの北西に位置します。森林面積が1500haと広いのに対し、ブドウの栽培面積は1200haほどとなっており、生物多様性に富んだ自然と古い街並みが美しい産地です。

ワイン造りは紀元前1世紀にローマの軍人がこの地域にブドウ樹を植えたことに始まったとされており、2000年以上の長い歴史があります。

19世紀にはフランス全土を襲ったフィロキセラでジゴンダスのブドウ畑も荒廃し、ブドウにかわってオリーブが導入されました。しかし、1926年、1956年にオリーブが大きな霜の被害を受けたため、再びブドウが栽培されるようになりました。

ジゴンダスは赤・ロゼともにグルナッシュを中心に2、3種のブドウ品種をブレンドして造られます。収穫翌年の1月までの熟成が義務付けられており規定は短めですが、一般的には多くの生産者が1年程度熟成させてから出荷しています。

温暖な気候に由来するたっぷりとした果実味と凝縮感、バランスの良さ、滑らかなタンニンが特徴で、数年から数十年の長期熟成可能なワインもあります。

シャトーヌフ・デュ・パプとの違い

ローヌ南部を代表する二つのワイン、ジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプ。両者の距離は20キロほどと近いですが、テロワールは大きく異なります。詳しく見ていきましょう。

ブドウ品種

赤ワインと白ワインが認められているシャトーヌフ・デュ・パプは原料ブドウが13品種も認可されていることで有名ですね。通常はグルナッシュを主体に3〜4品種をブレンドして造られますが、そのブレンド比率に規定はありません。

一方、ジゴンダスはグルナッシュを50%以上、補助品種のシラーとムールヴェードルは合計15%以上使用することが義務付けられています。

規定では主要品種と補助品種の作付け比率が90%以上でなければいけません。なお、カリニャンとマルスランを除くA.O.C.コート・デュ・ローヌの付帯品種(※)の栽培も認められています。

※A.O.C.コート・デュ・ローヌの付帯品種ブールブーラン、カマレーゼ、ヴァカレーゼ、カラドック、カリニャン、サンソー、クレーレット、クレーレット・ロゼ、クーノワーズ、クーストン、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マルサンヌ、マルセラン、ミュスカルダン、ピクプール・ブラン、ピクプール・ノワール、ルーサンヌ、テレ・ノワール、ユニ・ブラン、ヴィオニエ。ローヌ地方以外ではほとんど栽培されていない品種が多く含まれています。

土壌

ローヌ川に近いシャトーヌフ・デュ・パプの土壌は、古代ローヌ川によって運ばれた玉石土壌、いわゆるギャレと呼ばれる土壌が多く見られます。

赤い粘土の上に拳ほどの大きさの石がゴロゴロところがった土壌で、通気性と水捌けに優れ、日中の太陽の熱を蓄えて夜間も土壌が保温されるため、凝縮したブドウが実ります。その他にも、白亜紀の石灰質層を覆う砂質の土壌、赤い粘土土壌などシャトーヌフ・デュ・パプの土壌は多岐にわたります。

ジゴンダスの畑はダンテル・ド・モンミライユの裾野に広がっています。ダンテル・ド・モンミライユは2億年前に海から押し出され、その後何万年にもおよぶジュラ紀と白亜紀の石灰岩と泥灰土、新生代の砂と砂岩の蓄積と浸食によって今日の地質に至っています。

よって、ジゴンダスの丘の斜面に段々に広がるブドウ畑は石灰岩の泥灰土の土壌となっています。ジゴンダスの土壌は、一般的に川の影響を大きく受けて形成されたローヌ地方の土壌とは異なるのです。

標高

なだらかな丘陵地帯がひろがるローヌ南部の中で、ジゴンダスのブドウ畑は標高140m〜400mと少し高めの斜面に広がっています。ローヌ南部一体は温暖な地中海性気候ですが、ジゴンダスは山から吹き下ろす風と、北からのミストラル(ローヌ渓谷から地中海に向かって吹き抜けるこの地方独特の強風)の影響でローヌ南部の他の地区よりも冷涼です。

実際、ジゴンダスの平均気温はシャトーヌフ・デュ・パプより1度ほど低く、収穫もシャトーヌフ・デュ・パプより2週間ほど遅くに行われています。

また、ジゴンダスのブドウ畑の大半が西北西を向いているため、畑の風通しもよく、夏の過度の暑さからブドウが守られています。そのため、ワインには繊細さと程良い酸味が生まれます。

 

温暖な気候のもと、ローヌ南部の主要品種グルナッシュを中心に造られるジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプ。

お互い果実味が豊富で飲み応えのあるワインとなりますが、より冷涼な気候で石灰岩が広がる土壌で生まれるジゴンダスの方が、程良い酸味と繊細さを兼ね備えたエレガントなワインとなるのです。

まとめ

ローヌ南部で生まれる二つのワイン、ジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプの違いをおわかりいただけたでしょうか?

日本では一般的にジゴンダスより知名度の高いシャトーヌフ・デュ・パプの方が価格は少し高めですが、優劣はありません。ワイン会等をする機会があれば、この二つのワインを飲み比べてみるのも面白いでしょう。

参考: 日本ソムリエ協会 教本 2020http://gigondas-vin.com (Maison GIGONDAS)