もうすぐクリスマス。日本ではツリーを飾ってチキンやケーキを食べる、そんなクリスマスが定番ですが、世界ではどんなクリスマスを過ごすのでしょうか?
今回はスペイン料理研究家の加瀬まなみさんにスペインのクリスマスについて解説していただきました!
【プロフィール】加瀬まなみさん
スペイン料理研究家
両親が在住しているスペインにてスペイン料理を学び、 スペイン料理を中心に料理研究家として活動。
メディア・イベント出演、出張シェフ、撮影監修、料理教室、レシピ開発のほか、All Aboutスペイングルメガイド、ippinキュレーターなど執筆活動も行う。
日本より長い?スペインのクリスマス
カトリック教国のスペインでは、クリスマスは宗教的な意味合いの強いイベントです。
11月になると街のメイン通りは華やかなイルミネーションで彩られ、商業施設などはBelen(ベレン)という伝統的なクリスマス飾りで賑わいます。
ベレンとは、東方三賢人がイエス誕生を祝うシーンを再現したミニチュア飾りのこと。東方三賢人は聖書に登場する人物で、スペインの子どもたちはこの三賢人を愛してやみません。
25日の夜は、家族が集まる大切な日。生ハムとチーズ、ピンチョス、ローストや煮込み料理をズラリと並べたテーブルを囲み、家族団らん静かな夜を過ごします。
日本ではクリスマス飾りが完全に片付いている大晦日ですが、スペインのクリスマスはまだまだ終わりません。なんと年明けの1月6日まで続きます。
クリスマスの静寂の夜とは打って変わって、陽気に過ごす大晦日。パーティーでひとしきり楽しんだ後、ブドウとカヴァ(スパークリングワイン)を持って広場に集まります。
そして迎える年越しの瞬間、12時を告げる鐘の音に合わせ、12粒のブドウを食べます。12粒は同時に新年の各月を表すそうで、ブドウを食べ切ると良い年になるんだとか。口いっぱいに頬張ると同時にカヴァを開け、そのまま朝まで飲んで踊って過ごします。
クリスマスのクライマックスは、1月5日の夜。この日は前述の三賢人がキリストにプレゼントを献上したとされる日で、三賢人のパレードがスペイン各地で華やかに行われます。
スペインでもサンタクロースは登場しますが、クリスマスプレゼントを運んでくれるのは、伝統的にはこの三賢人ということになっています。
クリスマスに飲む定番ワイン
やっぱりスパークリングワインでしょう?と思われたかもしれませんが、その通りです。
もちろん白ワイン、赤ワイン、シェリーなど好きなお酒を自由に飲みますが、カウントダウンのクライマックスシーンにはやっぱり泡。明るくハッピーにしてくれるカヴァが主役と言って良いでしょう。
カヴァは、シャンパーニュと同じトラディショナル方式(瓶内二次発酵製法)により、スペインで造られたスパークリングワインのこと。泡のきめ細かさや、熟成した味わいに加え、フレッシュな果実味の奥に感じられ力強さが魅力です。
「マカベオ」「チャレッロ」「パレリャーダ」というスペイン固有のブドウ品種を使うことで、カヴァならではの味わいを楽しめます。
フレッシュだけど飲み応えがあり、土地の風の香りを感じられるカヴァ。キリリと冷やせば前菜に、少し温度が上がってきたら、お肉料理やデザートまで、1本で通せちゃう万能さも魅力です。
スペインっ子が愛するクリスマスメニュー
ターキーのようにクリスマスならではの料理…というものは特になく、各地の伝統的な郷土料理や、時間のかかるローストや煮込み料理、生ハムをいつもよりグレードの高い物にするなど、それぞれの家で特別な料理を囲むという印象です。
そんなスペインのクリスマスにも、一つだけ特別な食べ物があります。
クリスマスの最終日、1月6日のLos Reyes Magosの日に食べる、ドーナツ型の大きなパン「ロスコン・デ・レジェス」です。
赤・緑のドライフルーツとアーモンドをたっぷりトッピングした、ほんのり甘い幸せのパン。
中には陶器の小さな人形が1つ隠されていて、切り分けた時、この人形が入っていた人はその年は幸運に恵まれると言われています。
日本でも作れる!スペインのクリスマスパン
本来はオレンジフラワーウォーターを使用しますが、日本で手に入れるのは難しいのでマーマレードジャムを活用。
発酵不要&ポリ袋で手軽に作れるよう、工程も大きくアレンジしました。
【材料】
A 強力粉 200g
A ドライイースト 小さじ2(6g)
A 砂糖 20g
A 塩 小さじ1/4
牛乳 140cc
バター 20g
マーマレードジャム 50g
オリーブオイル 大さじ1程度
トッピング(ドレンチェリー、オレンジの輪切り、アーモンドスライス) 適宜
【作り方】
1. ポリ袋にAをあわせ、袋の口を押えてフリフリ混ぜる。
2.耐熱容器に牛乳・バターを入れ、電子レンジ600wに1分かけて温める。
※加熱しすぎるとイーストの働きが悪くなるので注意。バターは完全に溶けてなくてもOKです。
3.1に加えて袋の上から手でこね、全体が馴染んだらマーマレードジャムを加え更にこねる。
4.袋の口を押えてふりながら生地をひとまとめにし、電子レンジ200wに1分かける。
※ポリ袋が耐熱ではない場合、耐熱ボウルに取り出し、ふんわりラップをしてレンジにかけます。
5.オリーブオイルを手につけ、生地をドーナツ型に成型。刷毛で表面にオリーブオイルを塗り、お好みのトッピングを飾る。
6.180℃に予熱したオーブンで30分ほど焼き、網の上で粗熱をとる。
合せるワインは、コクのある白ワイン、ドライタイプのロゼワイン…でもやっぱりカヴァが1番!
表面のカリっとした食感と、もっちりほど良い生地の甘み、ほのかなフルーツの風味とバターの風味が、みずみずしさと熟成感をあわせもつカヴァの元気な泡とほど良くマッチ。相乗効果で長い余韻へ導いてくれます。
海外への旅がなかなか叶わない今。ロスコン・デ・レジェスとカヴァとブドウを用意して、スペイン式のクリスマスで旅気分を味わってみませんか?