「牛カツと赤ワイン」Bouteille(ブテイユ):山本修さん

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公開日 : 2017.7.6
更新日 : 2023.7.12
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エノテカのワインバイヤーがワイン界で活躍する人々をインタビューしてとことん語り合う企画「ワインバイヤーズトーク」。プロフェッショナルならではの視点で、料理とのマリアージュや最新のワイントレンドに切り込んでいきます。 第5回目となる今回は、前回に続いて上野のビストロ「ブテイユ」が舞台。バイヤーが旧知の仲という山本シェフが、わがままなリクエストに応えて餃子から牛カツまで、とにかくワインに合うジャンルレスな料理を披露してくださいました。ワイン大好き!を自認するシェフが生み出す自由なマリアージュをどうぞお楽しみください♪

バイヤー:

前回の餃子記事、発想が面白かったのでかなりの反響がありましたよ!過去最高のPV数!ありがとうございました。繊細なシャンパーニュに合わせたエビの水餃子、絶品でした。 今回はトスカーナ産のとっておき赤ワインを用意したので、どんな創作料理がいただけるか楽しみです。

目次

フェラガモのワイン

こちらは、イタリア・トスカーナ地方より、あのサルヴァトーレ・フェラガモ ファミリーが手がけるワイナリー、イル・ボッロのフラッグシップであるボルドースタイルの赤ワイン、イル・ボッロです。セパージュはメルロ50%、カベルネ・ソーヴィニヨン35%、シラー10%、プティ・ヴェルド5%というスーパータスカンです。

イル・ボッロはフェラガモファミリーがトスカーナで購入した田園リゾートなんですが、その壮大な敷地内にワイナリーがあってそこで造られているワインです。僕は昨年9月に訪問して宿泊もしたのですが、内装はシンプルで清潔感があり長旅の疲れを癒してくれました。特に驚いたのはバスルームで、我が家のリビングよりも広かったです(笑)。

厚切りレア牛カツとオリジナルソース

厚切りレア牛カツ ブルーベリーといちごのバルサミコソース

山本シェフ:

こちらのイル・ボッロの特徴は「まるい果実味とスパイス」。メルロ由来のたっぷりした果実味に加えて、シラー由来のスパイスの要素がたくさんあるので、料理には様々なスパイスを利かせてみました。まずは自慢の厚切りレア牛カツをどうぞ。

バイヤー:

おお!レアな断面が最高に美味しそうですね。吉祥寺の某有名店にひけをとらない!このソース、ワインにぴたりと合っていますが、ただのソースじゃないですよね?

山本シェフ: はい、これが苦労の末誕生したオリジナルの「ブルーベリーといちごのバルサミコソース」です。今回「ご家庭にある材料で簡単に作ることができる料理」が条件だったので、牛カツには市販の中濃ソースも加えようと思いましたが、それだけだとスパイシーさ、塩辛さがワインに勝ってしまうんですよね。そこで思いついたのがジャム。このソースのベースは煮詰めたバルサミコ酢ですが、これにジャム(いちごとブルーベリー)を加えてオリジナルのソースを作りました。余談ですが、先週の日曜日に事前に試食会をした時、このソースにはジャムが必要だ!と思い立ち参加していた友人をスーパーに買い出しに行かせました。だから別名”思い立ったが吉日ソース”(笑)

バイヤー: ジャムを入れるとは驚きですが、牛カツを食べてイル・ボッロを飲むとワインの果実味がより豊かに感じられますね。しかもこのワインはメルロやカベルネ、シラーといった複数のブドウをブレンドしているので赤系と黒系ベリー両方の香りがある。だからいちごとブルーベリーのジャムをブレンドするとは。さすが芸が細かい! それにワインのきめ細かいタンニンが、レアなカツのしっとりした美味しさを引き立ててまさに同調のマリアージュですね。

豚スペアリブの簡単煮込み

豚スペアリブの赤ワイン煮込み

山本シェフ:

続いて用意したのが、豚スペアリブの赤ワイン煮込みです。こちらは、全ての材料を鍋に入れて煮込むだけの“超”簡単料理です。

バイヤー:

スパイスが効いていて深みのある味わいですね。普段はもう少し甘い味付けのスペアリブを食べることが多いので、このホットでエスニックな刺激的スペアリブは目からうろこです!

山本シェフ: チリソースやナツメグといったスパイスを効かせています。シラーというブドウ品種が入っているワインは意外と料理に合わせやすいんですよね。料理に少しスパイスを効かせると合わせやすくなります。

バイヤー: ところで、自宅で赤ワイン煮込みを作るときにどんなワインを使えばいいか悩むんですが、たとえばおすすめのブドウ品種は国はありますか?濃いワインのほうが美味しくできるのでしょうか。

山本シェフ:

フランスでもイタリアでも、土地の郷土料理には、その土地で造られるワインが使われますよね。例えば、ブルゴーニュ地方のコック・オー・ヴァン(鶏の赤ワイン煮込み)には、ブルゴーニュワインを使います。なぜならあっちの人ってその土地のワインしか飲まないんですよね。言い方を変えると、ブルゴーニュワインしか飲まないから、ブルゴーニュワインで煮込んだ結果、必然的にマリアージュしてるんですよね~。

日本に置き換えると、ワイン煮込みに合わせるワインを考えてはどうでしょうか。今日はブルゴーニュが飲みたいと思えば、ブルゴーニュとはいかなくても、ちょっと軽めで酸をもつ、色も薄めなワインで煮込む。今日はボルドーだなと思えば、安いボルドーを使っても。ちなみに今回はイル・ボッロと果実味、色などが同調する、同じイタリアのモンテプルチアーノ・ダブルッツォを使用しました。他にはサンジョヴェーゼもどんな料理にも合わせ易くて便利ですよ!

締められないスパゲティー!?

山本シェフ:

最後の締めに、仔羊挽肉のトマトスパゲティーを用意しました。鷹の爪を効かせてスパイシーに仕上げてあります。今回は入れませんでしたが、お好みでパプリカパウダー、クミンシード、コリアンダーシードパウダー、オレガノなどを入れても羊と抜群に合います!飲むワインに合わせて試してみてはどうでしょう?

バイヤー:

スパイシーな料理が続きますが、これは仔羊のクセと唐辛子の辛さが絶妙ですね。日本だと羊は敬遠されがちですが、フルボディの赤ワインを合わせようとするとどうしても食材にはクセが欲しくなります。そしてシラーといえばコショウのイメージでしたが、唐辛子にも合いますね。締めなのに食欲が刺激されてワインが進んでちょっと困りますね(笑)。

山本シェフ:

お褒めの言葉、ありがとうございます。ではもう1本いきますか!

バイヤー:じゃあもう一回シャンパーニュに戻って、今度は焼き餃子お願いします!

ブテイユさん、いつもはまっとうなビストロなんですが、今回は無理をお願いして餃子から牛カツまで用意していただきました。重ねて言いますが、餃子も牛カツも通常メニューにはありませんのでご注意を。(笑) 山本シェフのワイン愛が詰まった創作メニュー、本当に美味しかったです。みなさんもぜひ自宅で試してみてくださいね。

【レシピ】

厚切りレアカツ ブルーベリーといちごのバルサミコソース

■材料

・牛肉(厚切りにする場合は柔らかい部位)300g。ヒレ、ロースがベスト。厚さ2㎝くらい。(モモ、ランプの場合は1cmくらい)

【ソース】

・A バルサミコ酢 200㏄、はちみつ30gを合わせ、中火から弱火で1/3の量になるまで煮詰める。

・ブルーベリージャム 40g、ストロベリージャム 40g、中濃ソース 10g、ブラックペッパー ミルで10振り。Aとボールでよく混ぜる。

■作り方

牛肉に薄力粉、卵を付けた後、ドライパン粉を付けてやや高温の油でさっと揚げる。2分くらい落ち着かせた後、断面をチェック。もう少し火を通したい場合は、オーブンやオーブントースターで調整。ソースを添えて完成。

豚スペアリブの赤ワイン煮込み

■材料

・スペアリブ 1㎏

・赤ワイン 1L

・ニンニクみじん切り 30g、ハインツチリソース1本(340g)、トマトケチャップ 60g、濃口しょうゆ 50㏄、水300㏄

・タイム 2枝、ローズマリー1枝、ローリエ3枚、ナツメグ少々、塩・コショウ、薄力粉適宜

■作り方

①スペアリブに塩・コショウし薄力粉をまぶす。オリーブオイルでソテーし、しっかり焦げ目焼き色を付ける。

②鍋にすべての材料を入れ①のスペアリブを投入し約3時間煮込んで完成!(最初は強火でOK、沸いたら弱火で。)

仔羊挽肉のトマトスパゲティー

■材料

・仔羊挽肉 100g

・スパゲッティーニ 100g

・オリーブオイル 30㏄、タカの爪 2本、ニンニク 30g、トマトソース200g、水 100㏄、昆布茶 7g、ブラックペッパー ミル10振り、パセリみじん切り

■作り方

①フライパンにオリーブオイル、タカの爪、ニンニクを入れ火にかける。(中火)

②ニンニクが色づきはじめたら、仔羊挽肉を入れ木ベラでよくほぐしながら炒めていく。

③挽肉が炒まったら、水、トマトソース、昆布茶を入れ、ブラックペッパーを入れる。ここで火を止め、塩コショウで味を調整。

④固めに茹でたパスタを入れ、フライパンで麺の固さを調整して完成。

山本 修(やまもと おさむ)

Wine Bar&Restaurant Bouteille オーナーシェフ。1974年生まれ。会社員を辞めてオーストラリアに渡り複数のレストランで働いた後、イタリアンのシェフを8年間勤める。ワイン好きが高じて、エノテカ丸の内の旧ラウンジでワイン&フレンチ修行。2010年独立し、ウォークインセラー付きのビストロ「Wine Bar&Restaurant Bouteille」を湯島にオープン。ミシュランガイド ビブグルマンに3年連続掲載。現在もブルゴーニュを中心に、フランス各地のワイン産地を巡っている。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。

ワインバー&レストラン ブテイユ(Wine Bar&Restaurant Bouteille )

東京都台東区上野1-3-2 上野パストラルビル1F

tel.03-6240-1630

営:ランチ火.金.土のみの営業 11:30~14:00(L.O)

ディナー月~土17:30~23:00(L.O)休:日・祝

今回ご紹介したワイン

イル・ボッロ

/ イル・ボッロ

(イタリア トスカーナ)

6,800 円 (7,344 円 税込)

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