ソムリエ / ワインエキスパート2次試験対策 赤ワイン編

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公開日 : 2020.9.16
更新日 : 2023.7.12
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漫画の主人公のようにズバリと当てるテイスターになれたらどんなに良いでしょう。そうはいかなくとも「赤ワインの判別なら任せて」なんていつかは言ってみたいものです。

今回は赤ワインのテイスティングのコツをお伝えします。

白ワイン編はこちら
目次

コメントは下から攻める

受験生を観察していると、試験開始と同時にワインを観察しながらマークシートを塗りつぶしている姿をよく見かけます。

試飲、用語選択、解答作成を限られた時間内で行わなければならず、かなり忙しいのがこの試験の特徴です。そのためすぐに言葉を選びに行く人が多いのでしょう。

しかし選択するのに必死になりすぎて、ワインの本質と向き合うのを忘れていませんか。

解答を作る前にまず1度テイスティングしてみてください。ここで結論(産地・品種)の方向性を導き出しておくと良いでしょう。

このときズバリ決めきれなくても、軽め/重め、新/旧世界、もしくはボルドー系/ローヌ系品種とある程度の方向性でも良いと思います。そうすれば自ずと選ぶべき用語が決まってくるからです。

配点を知ろう

ソムリエ協会主催の勉強会では「試飲は品種のあてっこゲームではない」と強調されてきました。たしかに試験は外観、香り、味わい、評価、サービス、結論で構成されており、産地・品種以外の要素も得点につながります。

しかし、下の表をご覧になってください。2017年から配点が発表されるようになり、2019年度は産地・品種が合計で9点も占めるようになったのです。



2018年の配点2018年
1マーク当たり
2019年の配点2019年
1マーク当たり
外観24%1点19%1点
香り33%1点26%1点
味わい20%1点17%1点
4その他10%1点9%1点
5収穫年3%1点5%2点
6産地3%1点7%4点
7品種3%1点12%5点
8ワイン以外4%2点3%4点

ガメイならフランス、ネッビオーロならイタリアという風に産地と品種はセットになっているのが一般的なので、結論を間違えると9点失点することになります。

コメントはどの受験生も同じようなものをつくるもの。そのため大差がつかないと思って良いでしょう。

そうなると結論を間違えるとかなり苦戦を強いられることが想像できます。特に試験である以上、誰も分からないような品種は正解しなくても差は開きませんが、他の受験生が当てるような品種は手堅く抑える必要があります。

押さえておきたい三つの品種

この試験で手堅く抑えたいのが、カベルネ、シラー(シラーズ)、ピノ・ノワールです。三つといっても産地との組み合わせを考えれば、アイテムは10種類にも及ぶため、十分な時間をとって練習しておく必要があります。

シラー/シラーズフランス、オーストラリア
カベルネ・ソーヴィニョンフランス(ボルドー)、アメリカ(カリフォルニア)、


チリ、オーストラリア

ピノ・ノワールフランス、アメリカ、


オーストラリア、ニュージーランド

外観のポイント

本番のコメントシートには六つの観察項目(清澄度、輝き、色調、濃淡、粘性、外観の印象)が並びます。中でも重要なのが「色調」「濃淡」です。

一般的に果皮の厚い品種は濃く、薄い品種は淡く見えるでしょう。またブドウが育った環境も分析することができます。紫外線量が多く、乾いた産地では極端に濃く見える傾向にあります。

外観は最初に書いたコメントは変えないのも試験のテクニックです。理由は飲めば飲むほど液面が低くなり淡く見えるもの。ついつい欲張りになって試験終了間際に、外観もしくは結論まで変更して失点する人がときどきいるようです。

香りのポイント

白ワイン同様、フォームを意識して「果実⇒花⇒植物⇒スパイス⇒木樽」と探していきましょう。

このとき果実に注目です。番号が増えるにしたがって赤系果実⇒青系果実⇒黒系果実と並んでいます。この順で、酸っぱい果物から甘いものにならんでおり、ブドウの成熟度を表しているのです。

慣れるまでは色が淡いワインは赤系果実、濃いワインは黒系果実と選ぶのも良いでしょう。

味わいのポイント

赤ワインのキーとなるのが「タンニン」です。特に品種ごとに渋みの程度があります。渋みは口の中に入れているときよりも、飲み込んだ後に歯茎や粘膜が乾かされるような感覚で知ることができます。

本番の選択肢には、白ワインの酸味同様にボリュームではなく形容詞が並んでいるので気を付けてください。

「ヴィロードのような」「シルキーな」「溶け込んだ」は熟成した赤ワインに使う言葉です。試験では一般的に若いワインが出題されるために、本番の試験ではあまり選択されたことはないようです。

ドライテイスティングのススメ

ワインを飲まなくてもある程度テイスティングの練習はできます。ワインがあるつもりでコメントをつくる練習をすることを「ドライテイスティング」と言います。

「ピノ・ノワールが出題されたらこんな風にコメントする」など事前に準備し叩き込んでおきましょう。ドライテイスティングは時間も場所も選びません。シャワーを浴びているときに諳んじるのも立派な練習です。

少し厳しいですが、本番で「どんな言葉を選ぼうかな」と迷っているようでは合格できません。用語を研究しておく必要もあるでしょう。

「郷に入っては郷に従え」。試験ごとにテイスティング用語には「作法」があります。この試験において必読書となるのが「テイスティングは脳でする」(中本聡文/石田博)です。この本を何度も読んで言葉の理解を深めましょう。

まとめ

「天才は才能か努力か」。この疑問に答える言葉がMichael DoodanMWの「Good Taster are made, not borne」です。

「良いテイスターになりたい」「試験に合格したい」と思っていても行動が伴っていなければ願いは成就しません。私は1次突破した受講生にまず「毎日練習するよう」に伝えています。

過去にはカベルネとシラーズを苦手にしていて、毎日テイスティングしてから出勤している受験生もいました。

大人は仕事や家庭があり、学生と違い継続的に練習するのは非常に大変なことです。しかし生活のどこかに練習をルーチンとして組み込み、コツコツ続けることが合格のキーとも言えるでしょう。

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