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第50回 苦難のあと

石田博
石田博
石田博氏のテイスティングノート
公開日:2020.9.1
更新日:2020.9.1
奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスに、ミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?!ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明!
あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ワインの世界でも絶望の淵に立たされるような苦難が繰り返し起きています。
アメリカのブドウ苗に付着して、ヨーロッパにやってきたフィロキセラは各国へ次々と蔓延し、ブドウ畑を一掃しました。しかしこの途方もない苦難を境にワインは新たなるフェーズへと発展を遂げます。ブドウを植え替える際にその土地、その畑、その区画に適した品種を植えることで劇的に品質が向上したのです。
また、造り手たちの移住もワイン業界の発展に寄与します。リオハはボルドーの造り手により品質向上したことはよく知られています。その他にもヨーロッパから世界へ渡り、新たなる産地の開拓者となった例は数多くあります。
オーストリアでは1985年にジエチレングリコール混入という大スキャンダルが起きました。これは人災ですから、しばらくすれば収束すると思いきや、それから10年以上もオーストリアワインの風評被害が続きました。
これを機にオーストリアワインは品質志向へと大きく舵をきります。
収量過多による成熟度の低さを補うために、果てにはジエチレングリコールを入れて甘みやコクを与えていたと言われていました。下手な甘口は造れなくなり、十分な成熟度のブドウから辛口のワインを生産するようになったのです。オーガニックも進み、よりピュアなワイン造りが進みました。
今日、オーストリアのワインは非常に高い熟度のブドウから大変高品質なワインが全生産地域から生まれています。
1996年ブルゴーニュは誰もがグレートヴィンテージを疑わなかった、そんな収穫を迎えました。
PREMOX=Premature Oxidation 尚早な酸化、と言いましょうか。まだ若いうちから、酸化が急速に進んでしまう現象です。10年は優に熟成するワインが3〜4年後に茶色を帯び、生気を失くしてしまっているのです。グレートヴィンテージは一転、買ってはいけないヴィンテージとなりました。
原因はコルクの品質低下、バトナージュ、低亜硫酸、新樽熟成による好気的なワイン造りといわれています。
その矛先はドメーヌ・コント・ラフォンにも向けられます。ドミニク・ラフォンは「コルクが原因と考えられるが、ワインは決して酸化しているわけではない」と弁明しました。

苦難のあとに生まれたワイン

レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォンのヴィレ・クレッセ 2018は、クリーンかつ成熟度が高く、フレッシュです。パイナップルやネクタリン、スイカヅラに生アーモンドと熟度の高いブルゴーニュ シャルドネの個性が見事に表現されています。石灰岩のようなミネラル感もあります。精巧、緻密な造りを感じさせます。
味わいはソフトでメロウ、かつドライな口当たり、果肉感があり、噛めるような食感がマコンらしさを表現しています。同時に溌剌とした酸味が全体をリフレッシュします。現代的なスタイルのマコン白です。
ブルゴーニュ白といえば木樽と好気的熟成でした。PREMOXを機に嫌気的なワイン造りが見直され、フレッシュ感のある、クリーンなワインが多くなり、シャルドネはパイナップルのようなアロマティックな個性を示すようになりました。新たな魅力が開花したといえるでしょう。

今回紹介したワインはこちら

マコンの地で世界最高峰の白ワインと讃えられるコント・ラフォンのスピリットを受け継いだワインを造る、レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン。
このヴィレ・クレッセの丘陵に広がるブドウ畑は、マコンの中でA.O.C.ヴィレ・クレッセとして単独のアペラシオンに格上げされ、高く評価されています。
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石田博
石田博

合同会社 Soupless 代表、レストラン ローブ ソムリエ、社団法人 日本ソムリエ協会 副会長 1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト2016年6月より目黒雅叙園顧問。同年6月30日にレストラン ローブを開業。

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