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vol.3 食事のテーマを決める

石田博
石田博
石田博のペアリングレッスン
公開日:2020.8.4
更新日:2020.8.4
素晴らしいペアリングというのは、ひと組だけではありません。様々な組み合わせがあり得るわけです。
① セオリー:料理とワインが共通する、または似通った風味をもつ組み合わせ
② テロワール:ワイン産地の郷土料理、その土地でよく食べられている料理
③ クリエーション:相反する風味をもった組み合わせ
と、大きく3パターンあり、いわば無限の組み合わせが可能なのです。
そこで食事のテーマを決めることで、ペアリングも考え易くなりますし、食卓を囲む人たちにも明解となり、より一層楽しめます。おもてなしの基本でもありますよね。
食材、ワイン、節句や祭事はテーマにしやすいです。「ズワイ蟹が旬だから」、「とっておきのワインを」、「土用の丑の日だから」、「イースターに因んで」というのは自然に考えられます。
それを食事のテーマとして設定し、料理、ワインを考えてゆくとよいです。さらに踏み込んで、 土地、歴史、音楽や芸術もテーマにできます。「大好きなあの街を」、「ナポレオンに因んだ」、「ヴェルディに因んだ」、「セザンヌゆかりの」といった具合です。知的な食卓も時にはよいでしょう。
今月のワインはフランス ロワール地方のドメーヌ・ヴァシュロン サンセール2019です。
わずかにグリーンおびたイエローで、シルバーの反射がきれいです。外観からワインの凝縮感というか、テンションを感じます。
香りは純潔な印象、成熟度が高く、アロマティックですが、落ち着きも感じます。パッションフルーツ、グアヴァ、スイカなどフルーツの香りに富んでいます。ヴェルヴェーヌ、ライラックの香りが爽快感と華やかさを、火打ち石やヨード、ツゲの香りが奥行きを与えます。サンセールの特徴を見事に詳細に表現しています。
味わいはスムースなエントリー、メロウで果肉感のある食感、クリスプではつらつとした酸味がボディを引き締め、ピリリとした苦味とともに長い余韻をつくります。
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さあ、このワインでテーマを考えてみましょう。

テーマ① ロワール

サンセールが位置するロワールの郷土料理や名産品といった、もっともオーソドックスなテーマ設定です。

メニュー例)
・“グジェール” ベーコンとチーズのシュー
・トマトのファルシ
・シェーヴルチーズ(クロッタン)のサラダ
・サーモン・オゼイユ
・鶏肉と野菜のココット

グジェールは日本のフレンチでもよく出されているポピュラーなアミューズです。
“トマトの葉”の香りとよく表現されるサンセールはトマトとよく合います。甘みたっぷりの柔らかいものより、酸味があって身のしっかりしたものがよいです。フレッシュチーズをアサツキと合わせて詰めます。菜種オイルをかけると一層ロワールらしくなります。ロワール周辺には広大な菜の花畑があり、菜種オイルが名産なのです。
シェーヴルチーズのサラダも鉄板です。軽く温めて薄くスライスしたバケットに乗せ、サラダに添えます。
サーモン・オゼイユは、フランス料理の名店中の名店、「トロワグロ」のスペシャリテで、世界でもっとも有名な(コピーされた)魚料理といえるでしょう。「トロワグロ」はサンセールのはるか上流のロアンヌの街に位置していることからロワールの料理とも認識されています。
薄くスライスしたサーモンを半生に焼きに、酸葉(オゼイユ)を添えたクリームソースといういたってシンプルな料理です。酸葉はなかなか手に入りませんから、タデ科ということで蓼酢を代用しても話題として面白いと思います(鮎も“きゅうりの香り”と言いますから、ソーヴィニヨンとはよく合います)。
ロワールは“庭園”と称されるように野菜が豊富です。アスパラガス、インゲン、絹さや…、サンセールでは“シュクリーヌ・デュ・ベリー”と呼ばれるバターナッツ・スカッシュ(カボチャ)が名産です。そういった野菜とともに鶏肉とココットで白ワインの蒸し焼きに。ロワール堪能の食事になることでしょう。

テーマ② 魚介

メニュー例)
・ウニのカナッペ
・魚介のセヴィーチェ
・スモークサーモン
・アイナメ、太刀魚、ズッキーニの天ぷら
・ニジマスのソテー バターソース

旬の美味しいものをテーマにしつつもサンセールと楽しめる献立一例を紹介します。ソーヴィニヨン・ブランと合わせるポイントは柑橘です。この柑橘と旬の魚介料理を合わせることで、素晴らしいペアリングコースができます。
ウニにライムを絞るとソーヴィニヨン・ブランと本当に美味しく、サンセールにさらに寄せるならパンにフレッシュチーズを塗るとよいです。
魚介のセヴィーチェは柑橘の酸味が心地よい前菜です。海老、帆立、白身魚(レンコダイ、マナガツオ)などをアーリレッドとともに。
スモークサーモンは教科書通りなのですが、やはり本当によく合います。ここもレモンは欠かせません。旬の魚と野菜の天ぷらには、天つゆではなく、塩とやはりスダチで。
ロワールはバターのメッカでもあります。本場ではブロッシェと呼ばれる川魚が定番ですが(正確には白バターソースといいます)、日本であればニジマスやイワナがよいでしょう。先日、蝦夷イワナというイワナを頂きましたが、身が厚く、ふんわりと柔らかく、バターソースと大変よく合っていました。バターソースにレモンを効かせることでサンセールとも寄り添います。
 
さて、今回はテーマを決めて献立やワインを決めるという、少しアングルを変えたペアリングを紹介しました。ワインと料理をひと組ずつ検討してゆくより、楽しく考えることができると思います。
次回からはよりアカデミックなペアリングレッスンをお届けします。どうぞよろしくお願いします。
石田博
石田博

合同会社 Soupless 代表、レストラン ローブ ソムリエ、社団法人 日本ソムリエ協会 副会長 1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト2016年6月より目黒雅叙園顧問。同年6月30日にレストラン ローブを開業。

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