強い陽射しと乾いた風、風光明媚なリゾート地としても有名な南フランス。
この度、エノテカ社員が南フランス研修で仕入れた現地情報をテーマ別にご紹介いたします。
TRAMONTANE(トラモンターヌ)
南フランスでは近くに連なる山脈から乾いた冷たい風が吹くことでも知られており、地域ごとにその呼び名が異なります。
最も有名なのはローヌ河谷に北から吹き付ける強風で、ミストラルと呼ばれています。同じ強風でもラングドック・ルーション地方では、北西から吹く強風をトラモンターヌと呼ぶそうです。
雨が降っても乾いた風がすぐに土壌を乾燥させ、病害虫からワイン樹を守ってくれるため、 これら地域では有機栽培が盛んに取り入れられています。
畑の特徴
シャトーヌフ・デュ・パプやクローズ・エルミタージュでは、グレープフルーツほどもある大きな石が転がった畑がそこかしこにあります。
実際に畑に足を運ぶと想像以上に足をとられ、強い陽射しの中このような土壌の上で行われるワイン栽培の苦労を肌で感じることができます。
南フランスの旬の食材
南フランスを訪れた5月はアスパラガスが旬の時期、特にこの地域の特産で、茹でたアスパラガスやポタージュ、ソースなど様々な料理に使われています。
新しい挑戦 アンフォラが流行中?
今回訪れたワイナリーの中には、アンフォラによる醸造に取り組んでいるワイナリーが数か所ありました。すでにボトリングされているワインも試飲させていただきました。
スペイン・プリオラートのワインに影響を受けて、スペインから購入したアンフォラで造ったワインは2,000本の限定生産。現地で消費されてしまうようなごく少量の生産量でした。
新しいキュヴェに挑戦
こちらの強面な男性は、ドメーヌ・デ・ボスケのジュリアン・ブレッシェ氏。彼も新しい取り組みとして2つのキュヴェを2016ヴィンテージよりリリース。
1つは新しい区画から400本しか生産していないという100%シラーのジゴンダス・レ・ルット、もう1つはバリック樽ひと樽分だけ生産したというシャトーヌフ・デュ・パプのル・カステラス。
現地に訪れないと飲めないような少量生産で、ワイナリーにとっても実験的な取り組みと言えます。
他にも従来から造っているグルナッシュ100%やムールヴェードル100%といった単一品種、単一区画のキュヴェを造っており、このようなワイナリーはジゴンダズではドメーヌ・デ・ボスケのみだという。
どれも品種や区画の個性がはっきり表現された素晴らしい出来のワインです。
ワイナリー常設のテイステイングルームに入ると、サングラスをかけていた時の印象とは対照的に優しい人柄が伝わってきました。
2015年から引き継いだピエール・ロスタン氏
冒頭でご紹介した写真はドメーヌ・ロスタンのロゴモチーフにもなっている蔵を撮影したものです。下から見上げるように撮影すると分かるように、かなりの急斜面に畑があります。
蔵はコート・ブロンドーと呼ばれる区画の中にあり、昔は畑仕事の休憩で作業者が休憩をとるのにも使用していたと言います。強い陽射しに加え、砂利質の土壌に足をとられると斜面から転げ落ちそうなほど角度が急な斜面です。
2015年ヴィンテージからはルネ・ロスタン氏に代わって息子のピエール・ロスタン氏が造っています。語り口が穏やかで物静かな職人のような印象です。勢いよく話されるお父様のルネ・ロスタン氏とは対照的でしたが、お二人とも共通して日本の文化について矢継ぎ早に質問されるなど、好奇心の旺盛な方々です。
南フランスのワインは太陽をたくさん浴びてブドウが充分に成熟し、バランスがとれた凝縮感のある味わいが特徴的です。地域ごとに気候や土壌、畑の特性も異なります。
シャトーヌフ・デュ・パプでは十数種類ものブドウをブレンドします。ひと言では括れない南フランス、ぜひいろんなワイナリーを飲み比べてご自身の好みのワインを見つけていただければ幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございます。