第48回 Pungent 〜ロゼ、次なるフェーズ

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公開日 : 2020.5.1
更新日 : 2023.7.12
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奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスに、ミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?!ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明!

あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。

ロゼワインというと、南仏(Côtes de Provence)に代表されるアペリティフとして楽しむ軽快タイプから、オフドライ(AnjouやMateusなどの)に仕上げられることが多いチャーミングなタイプがほとんどでした(過去形にはしきれませんが、、、)。

2006年、ボルドーの醸造家がプロヴァンスでつくった高級なロゼは衝撃ともいえるものでした。ロゼといえば安くて当たり前だった固定観念ともいえる常識を破りました。軽快か、チャーミングという二つのタイプしかなかったロゼ(プロヴァンスのBelletやPaletteのように長期熟成が可能なロゼは以前より存在はしていましたが)に新たな可能性と広がりを与えたといえるでしょう。

ロゼの世界的大流行は、「カジュアルに楽しめる」とアペロ、ピクニックやグランピングといったアミューズメントの浸透ともに若者を中心に拡大していったわけですが、ロゼは今、次のフェーズに入っていると認識をしています。「赤と白の中間的な存在」ではなく、赤や白と同じく、産地、品種、醸造・熟成により様々な個性を持ったワインがあり、それぞれが確立されているからです。

グルナッシュ、サンソーといった地中海系品種のロゼは、ハーブ、スパイスの芳香が特徴でピリッとした後味があります。ピノ・ノワールを使った洗練されたロゼをニューワールドで見つけることができます。ピノ・グリはロゼとしてもさらなる可能性が感じられます。イタリアのフリウリで伝統的に造られているマセレーションを行ったピノ・グリージョのロゼ(ラマート Ramato)のスタイルはニューワールドでも取り入れられています。また、南イタリアのボンビーノ、ギリシャのクシノマヴロ、チリのパイスなど個性豊かな土着品種を使ったロゼも見逃せません。

このように「とりあえずロゼ、、」から、「どのロゼを、、」という選び方は益々進んでゆくことでしょう。「ロゼ、今流行ってるんですよね?」はいまや無粋な質問といえますね。

Pungentを感じるワイン

ロゼの聖地、プロヴァンスで最も高いプレステージを誇るバンドールBandolは赤ワインのイメージが強いと思うのですが、意外にもロゼの生産量が60%を超えています。

ドメーヌ・オットのシャトー・ロマサン バンドール・ロゼ・クール・ド・グレン2018年は、ほのかにベージュ・オレンジおびたペタルピンクというニュアンスに富んだおだやかな色調をしています。香りは緻密さとディテールがあり、純潔な印象です。さくらんぼの砂糖漬け、ラヴェンダー、ローズマリー、月桂樹の葉、アニス、松脂と地中海の風味が詰まっています。

味わいはドライでスムースなエントリーに、口中を流れてゆくような食感、しなやかながら酸味が全体をクリスプにまとめつつ、余韻にはピリッとした(Pungent)苦渋みのフィニッシュとなります。パンジェントは、直訳では辛みで、唐辛子のような風味を指します。ソーヴィニヨン・ブランによく用いられますが、このバンドール・ロゼにもパンジェントな余韻を感じることができます。

スパイスをつかったケイジャン、メキシカンのようなエスニック、アジアンと楽しめまし、地中海料理をスペシャリティとしたガストロのテーブルで真価を発揮するでしょう。

今回紹介したワインはこちら

“キング・オブ・ロゼ”と称されるプロヴァンス屈指のワイナリー、ドメーヌ・オット。こちらはその代名詞とも言えるキュヴェです。

ムールヴェードルを中心に三つのブドウをブレンドし、厳選されたブドウの一番搾りジュースだけを丁寧に醸造。デリケートで洗練された、まさに“キング・オブ・ロゼ”です。

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