「餃子とシャンパーニュ」Bouteille(ブテイユ):山本修さん

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公開日 : 2017.5.20
更新日 : 2023.7.12
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エノテカのワインバイヤーが、ワイン界で活躍する人々をインタビューしてとことん語り合う企画「ワインバイヤーズトーク」。プロフェッショナルならではの視点で、料理とのマリアージュや最新のワイントレンドに切り込んでいきます。

第4回目となる今回は、湯島のビストロ「Bouteille ブテイユ」が舞台。バイヤーと旧知の仲という山本シェフが、わがままなリクエストに応えて餃子から牛カツまで、とにかくワインに合うジャンルレスな料理を披露してくださいました。ワイン大好き!を自認するシェフが生み出す自由なマリアージュをどうぞお楽しみください♪

目次

コルトン・シャルルマーニュに衝撃を受けてワインの世界に

バイヤー:

本日はどうぞよろしくお願いします。山本シェフとは数年来の付き合いで、こちらのBouteilleには何度もお邪魔して、数えきれないほどのワインを飲みました。山本さんはシェフとしてはなかなかおもしろい経歴をお持ちですよね。

山本シェフ:

もともとは普通の会社員だったんですが、一念発起してオーストラリアに渡り数年間レストランを中心に働いていました。日本に戻ってからはイタリアンで8年、その後は実はエノテカの丸の内ラウンジのレストラン(現在は閉店)で2年ほど働いて、2010年に独立してこのお店をオープンしました。イタリアンでシェフを務めていた頃に飲んだルイ・ラトゥールのコルトン・シャルルマーニュの美味しさにトンカチで頭を殴られたみたいな衝撃を受けて、ワインを勉強したい!と思ったのがワインの道に進んだきっかけです。

バイヤー:

ブテイユの面白いところは、ワインを選んでから料理を決めるところですよね。

山本シェフ:

普通は逆で、料理を選んでワイン、ですけどね。私自身がとにかくワインを美味しく飲むためにレストランを始めたほどなので。” Bouteille ” とはフランス語でワインボトルの意味で、ボトル1本のワインをじっくりと楽しんでいただきたいという想いからレストランの名前にしました。マリアージュ・コース(5,000円)は、選んでいただいたワインに合わせてメニューを組み立てるので、ワイン好きの方にはおすすめですよ。もちろん、お料理を自由に選びたいという方にはアラカルトのメニューもあります。

バイヤー: 山本さんがおっしゃるように普段はフレンチがベースのお店なんですが、今日はかなり無理をお願いして、なんとシャンパーニュに合わせて餃子まで作ってもらいました(笑)。しかも、事前に試作を繰り返して、本日は万全の準備で臨んでいただいています。

シャルドネ主体のエレガントなシャンパーニュ

バイヤー:

本日ご用意したのは、あのシャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するオーナーファミリーの1人、フィリップ・セレイス氏が会長を務めるシャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド。コート・デ・ブラン産の上質なシャルドネを60%使用するエレガンス際立つ1本です。華奢で酸の伸びがいいタイプだから、アペリティフや前菜にぴったりな1本です。

シャンパーニュにはテッパン!フルーツを使ったパスタ

パルマ産プロシュートと青りんごのカッペリーニ レモン風味

山本シェフ:

まずはじめに、フルーツを使った冷製パスタを用意しました。普段は洋ナシで造るのですが、今は洋ナシが旬ではないので、青りんご(王林)を入れました。こちらはシャンパーニュにはテッパンのパスタです。

バイヤー:

シャンパーニュにパスタ?と思われるかもしれませんが、細いカッペリーニと生ハムの塩気、フルーツの甘み・酸味が一緒になった軽めの前菜仕立はシャンパーニュによく合いますね!シャルドネベースの繊細な味わいが特徴のシャンパーニュがなせる業ですね。

世界で一番シャンパーニュに合う餃子

ホワイトアスパラガスと小エビの水餃子 コンテチーズがけ

山本シェフ:

本日のシャンパーニュに合わせて用意したのが、何種類もの試作を経て完成した渾身の餃子です。実は豚挽肉でも作ってみたんですが、最終的に一番シャンパーニュと合ったのはエビと鶏挽肉の組み合わせでした。今回はさらに旬のホワイトアスパラガスを贅沢に使って食感をプラスしています。

バイヤー:

ピノメインのシャンパーニュと違って、爽やかでやさしいストラクチャーが特徴的だからこそ、エビと鶏肉のやさしい組み合わせが抜群に合うんですね~。豚肉だとこうはいかない。それと、ホワイトアスパラの爽やかな風味と触感が抜群においしいです。この餃子、シャンパーニュに世界一合う餃子として認定します!

山本シェフ:

ありがとうございます。7時間に及ぶ試作の甲斐がありました・・・(笑)。ホワイトアスパラはなかなか手に入れるのが難しいので、他の野菜でも代用できますよ。実はコンテをかけるというアイデアは偶然から生まれまして。店にたまたま常連の森田さんから頂いたコンテがあって、餃子が完成した後に「そうだ!コンテをかけたらもっと美味しくなるんじゃないか」と思ってかけてみたところ、これが大正解でした。

バイヤー:

森田さんに感謝ですね(笑)。今巷で餃子×シャンパーニュが流行っているけど、ただ餃子をシャンパーニュに合わせるっていうのはちょっと乱暴ですよね。餃子の具や調理方法、それにシャンパーニュのセパージュだって少し変わるだけで相性が全然違う。もっと丁寧に合わせないとね。

山本シェフ:

そうですね、今回も最初は焼き餃子だったのですが、2回目の試作で水餃子にしたほうがしっくりきました。シャンパーニュの味わいが繊細なので、香ばしい風味が強い焼き餃子よりも水餃子のほうがマッチするうえ、エビの綺麗なオレンジ色が皮から透けて見えて、ビジュアル的にもこっちのほうがいいですね。

旬の魚介を使ったアクアパッツァ

山本シェフ:

立派なアユが手に入ったので、アクアパッツァに仕立てました。最初は肝を取ろうか迷ったのですが、芳醇な風味がシャンパーニュの味を引き立てるのではと思いあえてそのままソテーしました。

バイヤー:

これは間違いなく美味しい!普通アクアパッツァはトマトを入れるけど、今回は入れなくて正解でしたね。

山本シェフ:

バイヤーさんのアドバイスで、繊細な味を壊さないようトマトを抜いてみたらこれがシャンパーニュにドンぴしゃでした。

バイヤー:

それにこのフワフワのアユを食べながらシャンパーニュを飲むと、口の中で繊細な泡が身をほぐしていくメルト感がとっても心地よいですよ!

今回はイタリアンに始まって中華の餃子、そしてイタリアンに戻りながらシャンパーニュの新たな楽しみ方を教えていただきました。ありがとうございます。スーパーで手に入れる食材をとリクエストして考案していただいたレシピも本当に簡単で、さっそく自宅で試したくなりますね~。本日は本当にありがとうございました!ちなみに、ブテイユはれっきとしたフレンチビストロです。通常は餃子をオーダーしても出てきませんので、くれぐれもご注意を。(笑)

次回は、山本シェフにイタリア・トスカーナの赤ワインに合わせる料理を披露していただきます。6月初旬アップ予定ですので、どうぞお楽しみに。

【レシピ】

ホワイトアスパラガスと小エビの水餃子 コンテチーズがけ

■材料

・小エビ(バナメイ、インドネシアなど)15匹くらい

・鶏挽肉 100g

・ホワイトアスパラ 中2本

・餃子の皮(大きいサイズ)20枚

・卵黄1コ分、万能ネギ、塩、ホワイトペッパー、コラトゥーラ(魚醤)、コンテチーズ、パセリorパクチー、オリーブオイル

■作り方

①ホワイトアスパラを1cm弱のコンカッセに切り、30秒塩茹でにする。

②ボールに細かく切った小エビ、鶏挽肉、卵黄1コ分、①のアスパラ、万能ネギの小口切り、塩、こしょう、コラトゥーラ(魚醤)を入れ、よく混ぜる。

③②を餃子の皮でしっかり包む。

④③を2分間茹で上げ、皿に盛ってコンテチーズをたっぷりかけ、好みでパセリやパクチー、オリーブオイルをまわしかける。

【レシピ】

鮎のアクアパッツァ

■材料

・鮎 2尾

・貝類(ムール貝、あさり、ベビーホタテetc)MixしてOK。全部で15~20コくらい

・A (ケッパー 小さじ2、ブラックオリーブスライス 大さじ2、グリーンオリーブ 7~10コ、にんにくみじん切り 2かけ分、タイム1枝、パセリみじん切り 適量)

・白ワイン 200cc

・水、塩、ホワイトペッパー、パセリみじん切り、オリーブオイル 30+20cc

■作り方

①鮎は包丁でウロコを軽く取り、身の一番厚い部分に切れ目を入れる。(内臓は取らない。)塩、こしょうを振る。

②大きめのテフロンフライパンにオリーブオイルを引き、鮎をソテーする。(盛りつけの際上面になる側を下に)。しっかりと焼き色が付いたらひっくり返し、1分くらいソテーする。

③オリーブオイル20ccを足し入れ、Aと貝類を一気に加えて、ニンニクが焦げない程度に炒める。

④白ワインを入れ、強火でアルコールを飛ばす。

⑤水、塩、ホワイトペッパーで調整し、皿に流し入れパセリのみじん切りを振る。

山本 修(やまもと おさむ)

Wine Bar&Restaurant Bouteille オーナーシェフ。1974年生まれ。会社員を辞めてオーストラリアに渡り複数のレストランで働いた後、イタリアンのシェフを8年間勤める。ワイン好きが高じて、エノテカ丸の内の旧ラウンジでワイン&フレンチ修行。2010年独立し、ウォークインセラー付きのビストロ「Wine Bar&Restaurant Bouteille」を湯島にオープン。ミシュランガイド ビブグルマンに3年連続掲載。現在もブルゴーニュを中心に、フランス各地のワイン産地を巡っている。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。

ワインバー&レストラン ブテイユ(Wine Bar&Restaurant Bouteille )

東京都台東区上野1-3-2 上野パストラルビル1F

tel.03-6240-1630

営:ランチ火.金.土のみの営業 11:30~14:00(L.O)

ディナー月~土17:30~23:00(L.O)休:日・祝

今回ご紹介したワイン

シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブリュット

/ シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド

(フランス シャンパーニュ)

6,600 円 (7,128 円 税込)のところ

会員様限定15%OFF 5,610 円 (6,058 円 税込)

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