サルヴァトーレ・フェラガモのワイナリー「イル・ボッロ」の最高責任者が来日!

イタリアを代表するファッションブランド「サルヴァトーレ フェラガモ」。同ファミリーは、イタリア・トスカーナにて「イル・ボッロ」というワイナリーを手掛けています。フェラガモの美学と品質にこだわる姿勢が受け継がれた「イル・ボッロ」のワインは、ワイン専門誌でも高い評価を得ています。

先日、イル・ボッロの最高責任者であるサルヴァトーレ・フェラガモ氏が来日し、ワインショップ・エノテカ渋谷ヒカリエShinQs店にてテイスティングイベントが開催されました。その模様をレポートします。

品質至上主義を貫くワイナリー

「イル・ボッロ」は、イタリア・トスカーナ州のイル・ボッロ村に位置するワイナリー。同村はキャンティ地区近くにある中世の雰囲気を残す街で、高級リゾート地としても人気です。

「1933年、私の父であるフェルッチオ・フェラガモがこの場所をこの村と周辺敷地を丸ごと購入しました。広さは、東京ドーム180個分ほどでしょうか。」とフェラガモ氏。

広大なこの地にはもともとワイナリーが存在しており、18世紀頃にはすでにワインが造られていたそう。1999年の頃からフェラガモ家がニコロ・ダフィット氏の監修のもとでワイン造りを本格的にスタートさせ、リリース以降数多くのワイン専門誌で高い評価を獲得したことでその名が広く知られるようになりました。

「ブドウはもちろん、野菜やハチミツ、小麦など、そこで食べられるものを全て自分たちで造っています。もちろん、全てオーガニック認証を受けています。」同ワイナリーは、2012年よりビオロジック農法を採用し、その範囲を拡大し続けています。

化学肥料や殺虫剤には一切こだわらず土壌が持っているポテンシャルを引き出したブドウ栽培を信念に、ファッションブランドに負けない品質至上主義を貫いているところも特徴の一つでしょう。

「ワインを通じて、私たちのライフスタイルを感じてもらえたら嬉しい。」と語るフェラガモ氏。贅を尽くすためのワイン造りではなく、土地の良さを最大限生かす品質に重きをおく真摯なワイン造り。一流ブランドらしい“ものづくり”への姿勢を伺い知ることができました。

珠玉のワインをテイスティング

イル・ボッロ村の魅力を生かした「イル・ボッロ」のワインは、繊細かつ複雑味を感じさせるエレガントな味わいが魅力です。

ここからは、イベントで提供されたワインをフェラガモ氏のコメントとともに紹介します。

唯一の白ワイン、ラメッレ

「『イル・ボッロ』唯一の白ワインで、使用品種はシャルドネ100%。以前、日本を訪れた時に飲ませていただいたシャブリに感銘を受けたことがきっかけとなり、この白ワインを造ろうと考えました。」とフェラガモ氏。

同ワインに使用されているシャルドネは、石灰岩を多く含む堆積土壌の畑で収穫されたもの。古代、湖だった土地にイル・ボッロ村があったとされており、その貝の豊富なミネラルを含む土壌組成であることから貝がラベルにデザインされています。

「爽やかな柑橘系の香りとミネラル感、クリスピーな風味が特徴。樽を使用せず、ステンレスタンクのみで仕上げました。」とのことで、トスカーナでは珍しいシャルドネ100%の白ワインですが、華やかなアロマと繊細さ、複雑味を感じる1本です。

冬にも楽しんでほしい!ロゼワイン

「トスカーナの定番品種サンジョヴェーゼ100%で造られるイル・ボッロで唯一のロゼワインです。」と説明されたロゼワインは、美しいピンク色の外観、白い花やイチゴ、白桃など華やかな香りが特徴的なでした。

「一般的な赤ワインに使用するサンジョヴェーゼより早めに収穫することで、フレッシュさやきれいな酸を残すことができます。樽は一切使用せず、ステンレスタンクのみで醸造させました。」とフェラガモ氏は語ります。

「夏場もいいですが、冬もおすすめです。」と言うようにフレッシュでクリスピーな味わいに、料理の邪魔をしない繊細な仕上がりはこれからの季節にもピッタリです。

同じ畑で収穫された真逆のスタイル

同ワイナリーのフラッグシップワイン、イル・ボッロのセカンド的存在の赤ワインがこのポリッセナ。

「このワインと次に飲んでいただくペトルーナで、おもしろい飲み比べを体験していただきます。二つのワインはヴァルダルノ・ディ・ソプラにある同じ畑で収穫されたサンジョヴェーゼを使用しているのですが、スタイルが全く違うのです。」とフェラガモ氏。

まず先に提供されたポリッセナは、クローン選別された3種類のサンジョヴェーゼを一般的な赤ワインの製造方法で醸造。木樽による熟成香をつけすぎないために、2、3年目の古樽を使用し瓶内で6ヶ月熟成させたという、こだわりの1本。

「軽過ぎず重過ぎず、果実のアロマが前面にありながら木のニュアンスがそれを支えているバランスのよいワイン。果実味や樽由来の香りや木のニュアンスなど、ワインの要素が横並びになった味わいと表現できるでしょう。」

口当たりのなめらかさに赤系果実の風味、しっかりとした酸にほどよいタンニンが特徴的でサンジョヴェーゼらしい味わいを楽しむことができました。

次に提供されたのはポリッセナと同じ畑で収穫されたサンジョヴェーゼを使用しているという赤ワイン、ペトルーナ。同じブドウで造られながらも、香りや味わいの違いに驚かされます。

「その昔、木樽がなかった頃は赤い土で作った『アンフォラ』という素焼きの壷でワインを熟成させていました。このワインは、そのアンフォラで熟成させています。」とフェラガモ氏。古い製法をあえて今の時代に活用した斬新な発想と品質へのこだわりが感じられるアプローチに感銘を受けます。香りはブルゴーニュのピノ・ノワールを思わせる赤系果実。

この2本の飲み比べを経て、彼の伝えたい哲学を体感することができました。

フラッグシップワイン「イル・ボッロ」

フェラガモファミリーの美学と哲学が注ぎ込まれたフラッグシップワイン、イル・ボッロ。今回、同一ワインの2015年と2011年を飲み比べすることができました。

「イル・ボッロは三つのブドウをブレンドして造られています。ブレンド比率は、メルロが50%でカベルネ・ソーヴィニヨン35%、シラーが15%。非常にパワフルな味わいながら、タンニンはとてもスムースです。」

モダンなスーパータスカンとして評価の高い同ワインは、品質至上主義のイル・ボッロの哲学を全て注ぎ込んだ最高峰のワイン。

「新樽で18ヶ月熟成させてからリリース。2015年は近年まれに見るビッグヴィンテージとなり、明るい紫がかった色合いに美しい輝き、フレッシュなアロマ、ダークチェリーの香りが前面に表れた素晴らしいワインに仕上がりました。」とフェラガモ氏。

複雑な香り、スパイシーな風味、熟成感のあるまろやかな風味。まだまだ熟成のポテンシャルを持ち合わせている、素晴らしい仕上がりでした。

最後に提供されたワインが、イル・ボッロの2011年。茶褐色の外観が特徴的で、前述した2015年とは外観から大きな違いを感じさせます。

「今回、ヴィンテージの違うこのワインを飲み比べできてとても嬉しく思っています。どういった違いがあるのか、ぜひ体験してみてください。」とフェラガモ氏。

黒系果実というよりは、ドライアプリコットのような茶色っぽい果実のニュアンス。酸味に丸みがあり、タンニンもシルキーでエレガントな味わい。「イル・ボッロ」が目指す味わいの真髄を感じることができました。

「ちなみに、今回のイル・ボッロは、マグナムサイズで提供しています。大きなサイズだと酸素に触れる状況が少なくなり、きれいにゆっくりと熟成していくのです。おそらく750mlの同ワインの方が、熟成が進んでいることでしょう。」個人的にもマグナムサイズが好きだと語るフェラガモ氏。

マグナムサイズを1本用意し、複数の知人や友人たちとシェアして楽しんでほしいと伝えていたところも印象的でした。

おわりに

「この場で私たちのワインを紹介できることを、本当に嬉しく思っている。」と語っていたフェラガモ氏。イベント参加者一人ひとりとじっくりと会話し、笑顔で対応している姿が素敵でした。

ファッションという分野で大きな成功を収めているフェラガモ家ですが、その哲学と美学はワイン造りに間違いなく注ぎ込まれています。