タウラージだけじゃない!カンパーニア州で造られるワインの魅力

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公開日 : 2019.11.7
更新日 : 2022.5.23
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カンパーニア州 風景

ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市ナポリを州都とするカンパーニア州は、豊かな土地と温暖な気候に恵まれ、古くからワイン造りが行われてきました。

古代ギリシャ人が植民し、13世紀以降はナポリ王国として栄えたこの地では、どんなワインが造られているでしょうか?今回は南イタリアの中心でもあるカンパーニア州のワインについて紹介します。

目次

カンパーニアってどんなところ?

カンパーニア 地図

イタリア半島の南西部、ティレニア海に面して位置するカンパーニア州は、北に首都ローマのあるラツィオ州、東はプーリア州、東南はバジリカータ州に接しています。面積は13,595㎢とイタリアでは中規模ですが、人口は583万人と多くイタリアで最も人口密度が高い州です。

美港で有名な州都ナポリを中心に、カンパーニア州には遺跡や文化遺産も多く、ヴェスヴィオ火山、美しいアマルフィの海岸、青の洞窟で有名なカプリ島などの景勝地。そして何より、燦々と降り注ぐ太陽の光、陽気な人々、イタリアらしい食文化にふれようと、訪れる観光客は後を絶ちません。

カンパーニア州は、温暖な気候と豊かな火山性土壌に恵まれた環境のため、古くからワイン造りが行われてきました。広く海に開けた州ですが、ブドウの主な産地は海沿いではなく山を越えた内陸部にあり、栽培されている品種は古代ギリシャから伝わる古い品種がほとんどです。

ナポリから東へ45キロほど進んだ内陸のイルピニア地方(アヴェッリーノ県)では、3つのD.O.C.G.(注1)ワイン、タウラージ、グレーコ・ディ・トゥーフォ、フィァーノ・ディ・アヴェッリーノが造られており、いずれも南イタリアを代表する高品質なワインとして有名です。

なお、カンパーニア州で造られる赤ワインと白ワインの生産量はほぼ同じ割合で、観光客が多いため州内のワイン消費量が生産量を上回っています。

(注1)イタリアの原産地呼称法に基づき、ブドウの収量、ワインの収量、アルコール度などが厳しく制約され、さらに出荷に際して国の検査を必要とするワインにあたえられる、イタリアワイン最高位の格付け「統制保証原産地呼称」の略

「南のバローロ」と呼ばれるタウラージ

赤ワイン

タウラージは、1993年、南イタリアで初めてD.O.C.G.に認められた赤ワインです。生産地は内陸部のアヴェッリーノ県の標高400〜700mの火山性土壌丘陵地帯で、古代ギリシャからもたらされたブドウ品種アリアニコから造られます。

一般的にアリアニコは日照時間が長く乾燥した土地での栽培が適しており、特に火山性の土壌を好む品種。発芽が早くて晩熟なため、ゆっくりと熟成することでポリフェノールとタンニンをたっぷり含んだブドウとなります。また、それにより仕上がるワインも色調が濃く、濃厚で力強い味わいです。

タウラージの原料となるアリアニコの畑は、標高400m以上の高いエリアに指定されています。昼夜と夏冬の寒暖差が大きいため、ブドウはゆっくりと成熟し、しっかりとした酸も生まれます。そのため、タウラージは力強いだけでなく、非常にエレガントで上品な酸も兼ね備えた複雑でバランスのとれた味わいになるのです。そして、そのしっかりとした酸と品種由来の豊富なポリフェノールのおかげで、10〜30年ほどの長期熟成も可能となるのです。

ワイン造りに理想的な環境であるカンパーニア州は、その恵まれすぎた環境がゆえに、質よりも量を重視し、品質が停滞していた時期が長くありました。タウラージに使用されるアリアニコ種も然りで、濃い色と味わいが抽出できるためバルクワインとして他州から重宝されていたのです。また、戦後のワイン市場は国際品種ブームでイタリアでも各地で土着品種から国際品種への植え替えが進みました。

しかし、マストロベラルディーノなどの一部の生産者は市場に踊らされることなく、土着品種を守り、その可能性を信じてワインを造り続けました。その結果、2000年頃からカンパーニアのワインの品質は飛躍的に向上し、より高品質なタウラージが生産されるようになったのです。

おすすめワイン

その他のワイン

白ワイン

 タウラージの他、カンパーニア州のD.O.C.G.ワイン2種、グレーコ・ディ・トゥーフォとフィアーノ・ディ・アヴェッリーノを紹介します。

グレーコ・ディ・トゥーフォ

タウラージ同様アヴェッリーノ県で広く栽培されている白ブドウ品種グレーコから造られる白ワインです。

グレーコも古代ギリシャから伝えられたブドウで、この土地のトゥーフォと呼ばれる火山灰土壌で栽培されています。グレーコ・ディ・トゥーフォの原料となるグレーコは果皮が厚く、酸とミネラルに富んだ力強い白ワインを生みます。

外観は濃いめの麦わら色で、後味に心地よい苦みが残る辛口の白ワインと、辛口のスプマンテがあります。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ

カンパーニア州をはじめとして南イタリアで栽培されている白ブドウ品種フィアーノから造られる辛口白ワインです。

アヴェッリーノ周辺のフィアーノの畑は丘陵地帯で、標高500mに達するところもあり、比較的冷涼な環境で栽培されています。

やや濃いめの麦わら色で華やかな香りを持つ優美な白ワインで、グレコ・ディ・トゥーフォ同様、辛口のスプマンテも造られています。

おすすめワイン

まとめ

タウラージをはじめとする、カンパーニア州のワインについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?馴染みのない土着品種から造られるワインですが、一度飲んでみたらその魅力に気づくはずです。

パスタやピッツアの発祥地でもあるカンパーニア州。身近なイタリア料理と合わせてカンパーニア州のワインを楽しんでみるのはいかがでしょうか。

参考文献 ・日本ソムリエ協会 教本 2018

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