バローロの最高峰に名を連ねる造り手、ジャコモ・コンテルノを指揮するロベルト・コンテルノ氏。近年彼は、エレガントな味わいのワインを生み出す産地ガッティナーラにて現在も経営されている中で最古のワイナリーであるネルヴィを購入。こうして誕生したネルヴィ・コンテルノは、イタリア国内外で熱い注目を集めています。

ロベルト・コンテルノ氏といえば、バローロの最高峰ワイナリーに名を連ねる、ジャコモ・コンテルノを指揮する偉大な造り手。数々の著名な生産者がひしめくバローロの地において、伝説的な存在として讃えられています。

中でもコンテルノの伝説の起源となったトップ・キュヴェ、バローロ・リゼルヴァ・モンフォルティーノは群を抜いた品質の高さを誇っており、ワイン・アドヴォケイトにおいて幾度も100点満点を獲得。ワイン評論家から高い支持を集め、世界中の愛好家の憧れとなっています。

そんな偉大なバローロを仕立てるロベルト・コンテルノ氏は、北部ピエモンテで有名なワイン生産地であるガッティナーラ最古のワイナリー、ネルヴィの株式の90％を2018年に購入。ネルヴィ・コンテルノとして新たなプロジェクトを立ち上げ、国内外で大きな注目を集めています。

ネルヴィは、1906年にルイージ・ネルヴィ氏によって創業されたワイナリー。フランスの権威ある評価誌ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランスのブルゴーニュとピエモンテの比較テイスティングにおいては、ブルロット、ジャコモ・コンテルノのバローロに次ぐ3位にランクイン。「北部ピエモンテのワインが達成できる深遠なフィネスを示している」と評されました。

そして、ネルヴィをさらに高い品質レベルへ持っていくために、かねてより当時のオーナーと親交のあったロベルト・コンテルノ氏がワインメイキングを担当。それを契機にこの歴史あるワイナリーを託され、ジャコモ・コンテルノの傘下としてロベルト氏が指揮をとることとなったのです。

ネルヴィ・コンテルノが位置するガッティナーラとは、バローロよりも長い歴史をもつ、長期熟成型の赤ワインを生み出す銘醸地。また、この地域において「スパンナ」と呼ばれるネッビオーロ種90％以上で造られるワインの呼称です。

ピエモンテ州のDOP（DOCG）の中で、バローロやバルバレスコ（1981年）に次いで1990年に認定された歴史をもち、造られるワインは法定熟成期間35カ月間（そのうち樽熟成は24カ月）と定められています。バローロの法定熟成期間は38カ月間（そのうち樽熟成は18カ月）のため、その違いはそれほど大きくありません。

一方で、前述のラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランスでは、ネッビオーロとピノ・ノワールを比較した際、全く異なる個性を持っているとしたうえで、「北部ピエモンテのワイン（ガッティナーラなど）は南部のランゲのワイン（バローロやバルバレスコ）と比べるとよりフレッシュで繊細な味わいであり、ピノ・ノワールやガメイに近い味わいと言える」と記述しています。

このようにガッティナーラは、バローロ、バルバレスコなどのイタリアワイン好きはもちろん、ブルゴーニュラヴァーにもぜひ飲んで頂きたい注目のワインと言えるでしょう。

標高約300～400ｍに位置しているガッティナーラの畑は、水はけのよい火山性土壌に加え、ミネラルを豊富に含む点で特徴的です。ネルヴィ・コンテルノは南向きの斜面に約28haのブドウ畑を所有。日当たりの良い急斜面は日照時間が長く、夜は比較的冷涼になる気候の下で、平均樹齢40年のネッビオーロを栽培しています。

ネルヴィ・コンテルノが現在仕立てているのはガッティナーラの他、良年にのみリリースされる畑名のモルシーノとヴァルフェラーナ、そしてネッビオーロを使用したロゼワインであるイル・ロザート。区画ごとにそれぞれの個性を持った味わいが楽しめるのが魅力です。

ロベルト氏は費用を惜しまず、新しく近代的な醸造施設を建設しました。栽培や醸造はバローロのジャコモ・コンテルノと同じような方法で行われています。基本的にブドウは手摘みで収穫した後、優しく除梗、破砕。赤ワインにおいて、マセラシオン（醸し）と発酵は、3～4週間かけて温度管理をしながら行います。その後、オーク樽にてマロラクティック発酵し、キュヴェにより異なる容量の樽を使用して最低30カ月以上熟成。ゆっくりと澱抜きした後、瓶詰めをしてようやくリリースを迎えるのです。

バローロの最高峰に名を連ねる生産者、ロベルト氏の新しい挑戦から目が離せません。