
私たちソムリエはテイスティングの際、香りで「第一アロマ」と呼ばれるジャンルの香りを注意深くとります。 第一アロマとは、「ブドウ品種特有の香り」のことで、その香りにより、ブドウ品種を予測、その個性を判断するのです。 前回、「カシスの蕾み」はソーヴィニヨンの香りとお話しました。それがまさに第一アロマなのです。
ソーヴィニヨンをはじめとする、その第一アロマがはっきりと表れるブドウ(ワイン)を、「アロマティック」と表します。 アロマティックなブドウというと、シュナン・ブラン、リースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ヴィオニエなどがあります。それぞれがどんな第一アロマを持っているかについては、追い追いこの連載で紹介していきます。
その反対、第一アロマがはっきりと表れないブドウを、「ニュートラル」と表します。 「個性があまりないのが、個性」ということです。おかしな表現ですよね。 このニュートラル、主には白ブドウ(つまり白ワイン)に多くみられます。ワイン用のブドウは生食用ブドウと違い、香りが少ない、その上、白ワインは果汁のみを発酵させて造るため( 香り成分のほとんどは果皮に含まれます)、香りは少なくなりやすい。つまり、「ニュートラル」になりやすいのです。
ニュートラルなブドウ品種の代表は、なんといってもシャルドネです。 ちょっと意外に思う方も多いかもしれません。 ブルゴーニュの素晴らしい白ワインには、芳醇で、複雑な香りを持ったものが多いですからね。 ブルゴーニュの白ワインの香りは樽内、及び瓶内熟成により身につけた香りなんです。 シャルドネ自体の香りは少ないのです。
ドメーヌ・ド・レーグルのシャルドネは、輝きのある濃いめのイエローにグリーンがみえます。 粘性が受けられ、アルコール分の豊かさが伺えます。 香りは、太陽燦々の土地のワインらしく、よく熟した印象で、パイナップル、ライラック、レモングラスと香り豊かですが、グラスを回して空気に触れさせてゆくと、全体に穏やかになり、やはり「ニュートラル」です。 味わいはなめらかで、厚みがあり、酸味は穏やかで、アルコールのヴォリューム感に包まれています。 アフターにアルコールの刺激が「熱さ」として感じられます。
カジキマグロのハーブ・グリルなどしっかりとした魚をシンプルに調理したもの、これからの時期は特に、エスニック料理と楽しめるでしょう。
「ニュートラル」を感じるワイン
ドメーヌ・ド・レーグル シャルドネ/ ジェラール・ベルトラン(フランス ラングドック・ルーション)
2,500 円 (2,700円 税込)
この商品はこちら≫