フリーランスという働き方は、仕事がある喜びと、常に何かに追われる慌ただしさが背中合わせだ。オンラインの打ち合わせと執筆で午前中が消え、午後は試作や翌日の撮影準備に追われる。手を動かし続けているうちに、未返信のメールだけが手元に溜まっていく。夜ごはんを済ませたら、もう一本打ち合わせ。
朝起きたと思ったら、もう夜が来ていることに驚いてしまう。プライベートと仕事の境目が溶け合っているのは、この生き方の自由で楽しいところであり、同時に逃げ場がないところでもある。
幸いタフなほうだし、仕事はやっぱり楽しいから、つらいということはない。それでも、どこかのタイミングで意識的にリセットしなければならないのも事実だ。
そのために最近取り入れたのが、寝る前の甘口白ワインだった。以前の自分にはなかった選択肢だが、寝る前に一杯だけ、甘いワインを飲む。これがあるのとないのとでは、一日の終わりの質が全然違う。
すべてのタスクを終えたら、小さなグラスに黄金色のワインを少しだけ注ぎ、口に含む。最近は日本酒の酒器に合わせるのが気に入っているのだが、その佇まいは美しく、量もちょうどいい。
お菓子を食べて空腹を満たすのとは違う、液体ならではの穏やかな充足感が身体の芯に染みていく。まろやかでとろけるような優しい甘みが、日中の高ぶった神経をゆっくりと緩めてくれる。
それは、単に酔うためではなく、一日を締めくくるための儀式のようなものだ。仕事の自分からただの自分へと戻っていくための大切なリセット。この数分間があるから、明日もまた新鮮な気持ちで仕事に向き合える。
わいん泥棒なレシピ:ドライいちじくの白あえ
甘口ワインのお供には、少し塩気のある淡泊な和え衣で仕上げた「ドライいちじくの白あえ」を。
いちじくの芳醇な香りとワインの華やかな甘みが重なり、双方の輪郭がより鮮明に引き立つ。
【材料 2人分】
ドライいちじく 3個
無塩ローストくるみ 2~3粒
A絹ごし豆腐 100g※水切り不要
A白練りごま 大さじ1
A塩 ひとつまみ
【作り方】
1.ボウルにAを入れ、スプーンなどでなめらかに混ぜ合わせる。
2.手で小さくちぎったドライいちじくを1に入れ、よく和える。冷蔵庫で1~2時間以上置いてドライいちじくに豆腐の水気を吸わせる。
3.くるみはフライパンで乾煎りする。
4.器に盛りつけ、3のくるみをトッピングして完成。
深夜にひっそりと楽しむ自分のための晩酌セットの完成。
蜂蜜や桃の缶詰を思わせる、とろりとしてまろやかな口当たりのレゼルヴ・ムートン・カデ・ソーテルヌは、ただ単調に甘いわけではなく、柑橘のピールのようなほろ苦さと爽やかさが潜んでいる。
その奥行きのある甘みが、豆腐と練りごまのコク、そしていちじくのナチュラルな甘さを優しく包み込む。白あえの塩気がワインの輪郭をくっきりと引き立て、噛みしめるごとにいちじくの食感とワインの果実味が重なる。ただ甘いだけではない味わいの複雑さに思わず唸る組み合わせ。
今回合わせたワインはこちら
レゼルヴ・ムートン・カデ・ソーテルヌ [ハーフボトル]
白
リッチ&コンプレックス
格付け第一級シャトーが手掛ける、ムートン・カデの上級シリーズ。ソーテルヌならではの甘美な風味と果実味を楽しめるデザートワイン。 詳細を見る
4.2
(33件)2023年
3,300 円
(税込)