先日、銀座レカンにて日本酒とワイン、二つのドメーヌを持つ世界で唯一の蔵「九平次」のディナーイベントを開催しました。
15代目当主の久野九平治氏をゲストにお招きし、銀座レカングループの飲料統括マネージャーであり九平次アンバサダーの近藤佑哉氏との熱いお話も楽しめるディナーイベントとなりました。
「10年前、銀座レカンでこうやってディナーイベントができるなんて思いもしませんでした」と語った久野氏。
彼のこれまでの努力が一つの夢を実現させたのです。
一つの夢が現実に
1965年、愛知県名古屋市の酒蔵に生まれた久野氏。幼い頃から日本酒に関わって過ごしてきましたが「日本酒のイメージって良くない…?」と思うこともあったと言います。
だからこそ、そんなイメージを払拭したいという想いが彼の原動力となりました。
そんな想いから挑戦したのが、フランスでの日本酒普及活動。
その際フランスで出会うソムリエやシェフから聞かれることは「お米はどう作っているの?自分たちで作っているの?」と、お米に関する質問ばかりだったそうです。
日本酒はワインでいう“ネゴシアンスタイル”が一般的で、農家が作ったお米を酒蔵が買い取り日本酒に仕立て上げるため、このような質問を投げられた久野氏は、次第にお米を自分たちで作っていないことへの後ろめたさを感じるようになったと言います。
その後2010年より、兵庫県黒田庄町の地で山田錦の栽培をスタート。テロワールや収穫年の個性を反映させた日本酒造りの挑戦を始めたのです。
さらにフランスでの日本酒普及活動は、久野氏の新たな挑戦心に火を付けました。
それがワイン造り。
「フランス人に日本酒を理解してもらうにはフランスのお酒を理解しないといけない、ワインを知りたいという想いが動かしました」と、ブルゴーニュ地方モレ・サン・ドニの地にDOMAINE KUHEIJIを創業します。
ですが、そう簡単にはいきませんでした。
「日本でもフランスでも“石の上にも3年”なんです。お米を自分の手で育てたい!と思ってもすぐには難しかった……。
ブドウ畑もそうです。それが愚直にワインと向き合っていることを周囲の人は見ていて、ブルゴーニュに移って3年、やっと畑を手にすることができたんです」と当時を振り返りました。
日本酒造りを共にしてきた伊藤啓孝氏がブルゴーニュに渡ってから苦節7年。ようやく念願のワインを初リリースしました。
こうして日本酒とワイン、二つのドメーヌを持つ世界で唯一の蔵となった九平次。
ワインに取り組み始めた時に思い描いていた “コースを全てKUHEIJIで“という夢が、ついにこのディナーイベントで叶いました。
本邦初公開のクレマン!
そんな夢のディナーイベントの乾杯に選ばれたのがクレマン・ド・ブルゴーニュ。なんとこの日のためにフランスから取り寄せたという1本です。
お客様へ初披露ということもあり、乾杯から会場がどよめく一幕となりました。
お食事を引き立てるようにピノ・ノワール主体で酸味は控えめに仕上げたというクレマン・ド・ブルゴーニュ。
コースの最初に飲む泡ものからKUHEIJIのフィロソフィーを感じてもらいたいという想いが込められた悲願の1本とのことです。
こちらのクレマン・ド・ブルゴーニュの日本での発売は今夏を予定しています。
フレンチと日本酒のペアリング
今回のディナーイベントでは日本を代表する老舗フレンチレストラン「銀座レカン」の料理長、栗田雄平氏と銀座レカングループの飲料統括マネージャーであり九平次アンバサダーの近藤佑哉氏、そして久野氏がこの日限りの特別なコースを考案。
一皿ずつ九平次の日本酒、そしてワインの2種のお酒とのペアリングを楽しめました。
日本酒とワイン、全く異なるお酒に感じられますが、どこか共通点も感じ、同じ料理と絶妙にペアリングするのは初めての経験となりました。
一人の醸造家の手掛けるもので統一したペアリングを堪能。
特に驚いたのが「蝦夷鮑と豚足 ふきのとうのアンクルート 鮑の旨味を含んだ赤ワインソース」とのペアリングです。コトー・ブルキニョンとは抜群の相性で、黒田庄 田高 2020とは驚きのペアリングに。
鮑の旨味の広がりと日本酒のボリューム感が堪らない組み合わせで、想像をはるかに超える美味しさでした。
イベント中には近藤氏が日本酒をデキャンタ―ジュするという珍しい場面も。
「造り手と飲み手の間にはソムリエさんが必要なんです」と久野氏が語るように、日本酒のポテンシャルを最大限飲み手に伝える工夫が垣間見えました。
“当たり前”を剥がしたい
最後に久野氏がとある先輩に伝授してもらったという言葉を教えてくれました。
「英語でDiscoverは発見という意味ですよね?今日もたくさんの発見をしてもらえたら嬉しいのですが、このDiscoverという英語、Disで区切ってみてください。
Disは否定形、ディするなどと最近はよく言いますよね?Coverを取ることが発見なんです。
Coverは言い換えると“当たり前”ということだと思います。
日本人にとって日本酒やお米って当たり前すぎる存在なのかもしれません。だからこそこの当たり前を1枚でも剥がして新たなことに気付いてほしいんです」と語気を強めました。
そして最後に「今日が皆さんにとって日本酒やワインへのCoverを剥がせるイベントになっていたら嬉しいです」と述べると、会場に拍手が響き渡りました。
こうして終始和やかな雰囲気で進んだ歴史的なディナーイベントは幕を閉じました。
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