ソムリエ / エキスパート試験 対策講座 イタリア編

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公開日 : 2022.4.1
更新日 : 2023.7.12
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ソムリエ / エキスパート試験 対策講座 イタリア編

「Chi ben comincia e a meta dell'opera(始めが良ければ、仕事は半分終えたようなもの)」とは、イタリアのことわざです。


ソムリエ / エキスパート試験ではイタリアは前半で学ぶ範囲であり、もしこの範囲を制覇したならば、合格に向かって大幅に前進したとも言えるでしょう。


実際、CBT試験においては8問前後出題され、フランスに次ぐ重要範囲でもあるのです。


今回はそんなイタリアの勉強法をお伝えします。

20州の暗記からスタート

イタリアのブドウ畑

イタリアは世界第1位のワイン生産量を誇る国です。


凄まじいのは20州全てでワインが産出されていること。まずはこの州の暗記から始めましょう。覚えるときには、北部、中部、南部とブロックに分けて暗記すること。


また、山、川、海といったランドマークとセットで覚えることがポイントです。

ランドマークとセットで覚えるワケ

海を望むブドウ畑

なぜランドマークとセットにして覚えるのか。理由はのちに20州の特徴やD.O.C.G.を覚えるときに有利になるからです。


温暖な地中海性気候が中心のイタリアは、豊かな日照量と乾燥が特徴です。ブドウにとってはまさに天国とも言える気候である反面、気を緩めると大量生産型の安価なワインに傾いてしまいます。


一方で優良産地は、たいてい暑さが緩和されるような環境に位置しています。その一つが海沿いに畑が位置することです。海風が大地を冷却するばかりか、適度な湿度をもたらしてくれます。


そしてもう一つが、山です。標高が高くなるごとに、おのずと気温は下がります。例えば、トスカーナ州などはこの山と海のせめぎ合いが特徴です。


有名D.O.C.G.を地図で確認すると、このどちらかの条件に当てはまっていることがすぐにわかるでしょう。

品種を覚えよう

黒ブドウ

イタリアの特徴の一つに土着品種の多さが挙げられます。


飲み尽くすことができないほどの圧倒的な数の多さが魅力とも言える反面、試験となると気が重たくなるものです。


ここでおすすめしたいのはネーミングの由来を知ること。実はほとんどの品種が何らかのエピソードをもっているのです。


一見遠回りのように思えますが、ネーミングの秘密を知ると案外すっきり覚えられます。下記に有名なネーミングを紹介します。

ブドウの見た目から

ブドウの名前由来
Pignolo(ピニョーロ)
英語「Pine cone(松ぼっくり)」と同義。房の形が松かさに似ているため。
Coda di Volpe(コーダ・ディ・ヴォルペ)
狐のしっぽの意。狐のしっぽのように房が長いことから。
Ribolla Gialla(リボッラ・ジャッラ)
Gialla(黄色)の意。房が黄色を帯びていることから。
Vedecchio(ヴェッキオ)
Verde(緑)の意。房が緑色をしているから。

栽培上の特徴から

ブドウの名前由来
Catarratto(カタラット)
英語「Water fall(滝のような)」と同義。収量が上がりやすいことから。実際、イタリアでの白ブドウ栽培面積第3位。
Picolito(ピコリット)
Piccolo(小さい)の意。ひと房に数粒しか実がつかないことから。

人の名前、ストーリー、歴史的な背景から

ブドウの名前由来
Prié(プリエ)
英語「Pray(祈る)」と同義。教会のミサ用に使われたから。
Pecorino(ペコリーノ)
羊の意。羊飼いが羊の世話をしながらこのブドウを食べたからという諸説がある。(房の形が羊に似ているからという説もあり)

D.O.C.G.を征する

イタリアワインの天王山といえばD.O.C.G.の暗記です。覚える際には、三つのポイントがあります。


①D.O.C.G.を見て何州のものかわかる、②D.O.C.G.を見てワインタイプ(赤白ロゼ、辛口/甘口など)がわかる、③認可されている主要品種がわかることです。


中には、日本市場で見たこともないようなものもあり、及び腰になっていませんか。


しかしおおまかなD.O.C.G.ネーミングルールを知っていれば、実際はずいぶん暗記量を減らすことができます。

①土地の名前

②品種 + di(dellaなど) + 土地

③製法 + di(dellaなど) + 土地

②の例には、Barbera d‘AstiやGreco di Tufoが挙げられるでしょう。この場合は、すでにD.O.C.G.に品種名が含まれているので、どんな品種から造られているか、どのような生産可能色が認められているか、試験では出題されることは滅多にないでしょう。


③のタイプもラッキーです。例えば、Recioto della ValpolicellaとAmarone della Valpolicellaはフルネームで覚える必要はなく、Valpolicellaとヴェネトを結び付けておけば一気に暗記することができます。

子供から学ぶ暗記法

「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、好きなものはどんどん暗記できてしまうのです。小さい子が電車やキャラクターなどを驚くほど暗記しているのが良い例です。


このことが脳科学的に示されているのをご存じでしょうか。脳には海馬という器官があります。これはいわゆるパソコンのキャッシュで、情報をふるい分ける働きをしています。


「必要情報だ」と判断すれば、大脳に情報を送り込み長期記憶にし、「必要でない」と判断すれば記憶にとどまらず、いわゆる短期記憶になります。


そしてこの海馬が活発になる条件が明らかになったのです。それはθ(シータ)波という脳波が出ているときです。このθ波は自分が好きなものに接しているときに盛んに放出されることもわかりました。


逆に対象に興味を失ったり、マンネリ化したり、義務のときはθ波が出づらくなる点も興味深いどころです。

好きが合格を呼び寄せる

イタリアの風景

食、音楽、芸術、ファッション、スポーツ、車とあらゆる面で、わたしたちの日常生活はイタリアからインスピレーションを受けています。


何か自分の好きな面から取っ掛かりをもって学ぶことができるのがイタリアという国の魅力です。


例えばサッカー好きなら、三浦知良選手はリグーリア、中田英寿選手はウンブリア、中村俊輔選手はカラブリア…という風にサッカーだけでも20州覚えられてしまいそうです。

まとめ

他にも「来年、イタリアに旅行に行こう!」とガイドブック片手に勉強するのも、ときにはショップに行ってD.O.C.G.ワインのラベルが読めるようになったかを確認するのも楽しい時間です。


一瞬遠回りにも思えそうなことが、合格への近回りである、イタリアでそのような逆説をたくさん体験できる範囲なのです。

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