ワインに含まれるポリフェノールの効果は?

お気に入り追加

ディスカバー
公開日 : 2021.12.17
更新日 : 2023.7.12
シェアする
ワインに含まれるポリフェノールの効果は?

「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、健康でいるためには苦い薬を飲み続ける必要があるのでしょうか。


もし美味しくて、それでいて体に良い液体があるのであれば、誰もが「聖杯」と崇めるのかもしれません。

目次

全米が震撼したニュース

1991年、あるニュースに全米中が震撼しました。「ワインの飲酒が、ある意味健康に良い」という内容のもので、飲酒にどこか背徳感を抱えているアメリカ人にとっては青天の霹靂となったのです。


アメリカ人の死因第1位は心疾患です。その背景には動物性たんぱく質の摂取量の多さが指摘されており、アメリカ人にとって深刻な悩みでした。ところが同じように動物性たんぱく質を多く摂取しているフランス人は、心疾患による死亡率が少ないことが報告されたのです。


そして、その理由の一つとして指摘されたのが、ワインの飲酒習慣でした。特にフランス人は赤ワインを好んで飲んでいることから、赤ワインに含まれているポリフェノールが心疾患のリスクを下げているのではないかと報じられたのです。


美味しいワインが健康に良いなら、まさにこれは神技。報道後、視聴者が赤ワインを求めてスーパーマーケットに一斉に駆け込みました。

ポリフェノールとは

ワインに含まれるアルコールと水以外のほとんどがポリフェノールです。


代表的なものにはタンニン、アントシアニン、レスベラトロール、プロシアニジンなど、約5,000種類の植物性化合物があります。これらの成分はブドウの果梗、種、果皮に多く含まれています。


ときには「タンテュリエ」呼ばれ、果肉まで真っ赤なブドウがあり、ほぼポリフェノールという品種もあるのです。

ワインはポリフェノールを多く含む酒

とくに黒ブドウ品種は果皮にタンニンや色素を多く含んでいるため、醸造中に醸しの工程がある赤ワインはポリフェノールの塊ともいえるでしょう。


日本市場でよく飲まれる、ビール、焼酎、日本酒、ウィスキーなどのアルコールにはほとんどポリフェノールが含まれていないことを思うと、健康意識の高い消費者にとってまさに夢のような酒なのです。

ポリフェノールの効果

ハーバード大学公衆衛生大学院の教授であるエリック・リム博士は、ポリフェノールのうちの一つプロシアニジンが血管内のコレステロールプラークを抑制する働きがあることを明らかにしています。


これが心臓に良いと言われる理由の一つです。この他にも、リスベラトロールが血栓症予防や、抗がん作用、老人性痴呆症予防になることも報告されています。

全米中が夢中になった品種

1991年のニュース以降、全米で人気沸騰となったのがメルロです。理由の一つは、メルロは小粒で果皮が厚い品種のためポリフェノールを多く含むこと。


二つ目はポリフェノール含有量が多いと、ときには口当たりが荒々しくなり親しみづらいものですが、その点、メルロはなめらかなタンニンが特徴で、普段ワインを飲まない消費者にとっても口にしやすかったからです。


そして三つ目は品種の発音のしやすさです。アメリカ市場においてはキャッチーな商品名であることは重要で、その点、短く覚えやすいメルロに白羽の矢が立ちました。


この三つの条件が揃ったメルロに全米中が虜になったのです。

ポリフェノールが多い品種

メルロ以外にも果皮の厚い品種に、カベルネ・ソーヴィニョンやネッビオーロが挙げられるでしょう。ネッビオーロに至ってはピノ・ノワールの約6倍のポリフェノールを含みます。


スーパーで見かける身近なワイン以外にも、専門店で見かける通好みの品種を紹介します。


一つ目はタナです。品種名そのものが「タンニン」に由来していることからも、いかにも渋そうです。フランス南西部のマディランというワインに使われている他、ウルグアイを代表する品種の一つにもなっています。


二つ目は、サグランティーノです。ウンブリア州の土着品種で、「サグラ(聖なる)」という言葉からもわかるようにキリスト教の聖餐式で用いられていました。飛び上がるほど渋いワインで祈りをささげていたなら、きっと願いも聞かれそうです。


それ以外にも、カリフォルニアのプティット・シラーや、ウルグアイや中国で栽培されているマルスランも挙げられるでしょう。

推奨摂取量は?

気になるのがその摂取量です。どれだけ飲めばその効果が期待できるのでしょう。米国国立がん研究所によると、男性は1日にグラス2杯まで、女性はグラス1杯までと推奨しています。


ここで問題となるのが、一般的に1杯でもワインを口にすると、2杯、3杯とおかわりしたくなることです。


そうなるとアルコール摂取量も当然増えるわけで、ポリフェノールを摂取という狙いとは裏腹に、肝硬変やアルコール依存症など数えきれないほどのリスクが発生してしまうため注意が必要です。

まとめ

心に留めておきたいのは、ワインは薬代わりにならないということ。何よりもポリフェノールを多く含む食品はワインだけではありません。


例えば、リンゴ、豆類、チョコレート、お茶、ザクロなどにも身近な食品にもポリフェノールが含まれています。


ワインは適量を心がけて飲んでこそ、本当の「聖杯」となるのかもしれません。

参考文献:Wine Folly(https://winefolly.com/tips/what-types-of-red-wines-are-good-for-you/)

    この記事をシェア

    公式SNS・APP

    最新情報やワインの読み物を 毎週お届けします

    line お友達登録

    お買い物に便利! アプリ限定クーポンも随時配信

    公式アプリ

    ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。
    妊娠中及び授乳中の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。

    ほどよく、楽しく、良いお酒。のんだあとはリサイクル。

    エノテカ株式会社はアサヒグループです。