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ブドウ畑の1年を覗いてみよう

籾山香奈子
籾山香奈子
ワインを学ぶ
公開日:2021.5.26
更新日:2021.10.19

炎天下の夏も、凍てつくような寒さの冬も、1年を通じてブドウ畑での手仕事が絶えることはありません。

休む間もなく続く畑仕事から、畑の芸術品ともいえる高品質なワインが生み出されているのです。

畑では一体いつ、どんな作業が行われているのでしょうか。フランス、イタリアをはじめとする北半球のブドウ畑の1年をご紹介します。

一つ一つの作業を追うことで、ワイン生産者の絶え間ない努力に思いを馳せてみませんか。

※南半球は約半年周期が変わります。

目次

休眠期(12~3月)

休眠期は、ブドウ樹の樹液が止まり眠りについている活動休止期です。この時期も、休む暇なく作業は行われています。

この時期、特に重要な作業と言えるのが、「剪定」です。剪定とは前年までの枝を切り、適切な芽数に揃えることを言います。

ブドウの樹は、前年に葉や実をつけた枝にある芽から翌年の枝が伸びますが、この時芽数が多いと枝が出すぎ、樹に負荷がかかったり、バランスを崩してしまったりして、結果的にブドウの品質が落ちてしまうということも。それらを予防するために行われるのが、この剪定なのです。

またこの時期は、冷涼な地域では凍害のリスクを回避するために、樹を雪や土に埋めたり、藁まき等の作業が必要となり、冬の時期も生産者たちの作業が止まることはありません。

萌芽、初期の新梢と葉の成長(3~4月)

4月に入り日本では桜が咲く頃になると、ブドウの新芽が出てくる「萌芽」の時期に。

この時期、ブドウ作りの脅威となっているのが「霜による被害=霜害」です。霜害とは、春になりブドウの芽が伸びた後に最低気温がマイナスになってしまい、若芽が凍って壊死してしまうことで、近年地球温暖化の影響により萌芽がこれまで以上に早まっており、霜害の脅威と戦っています。

霜害の被害に合うと、収穫量が減少してしまったり、ワインの品質へ大きな影響を与えています。

そのため霜害対策として、ワイナリーでは天気予報を確認しながら、畑の中で無数のろうそくを燃やしたり、焚き火のようにワラを燃やす方法など、様々な対策を講じられています。

ブドウ畑で火が焚かれている様子

開化と結実(5~6月)

5月になり展葉期を迎えると、ブドウの樹は一気に成長の速度を速めます。芽からは新梢と呼ばれる今シーズンの葉や実をつける枝がどんどん成長していきます。

新梢が出始めたらまずその生育状態と速度を観察し、剪定時に想定した場所や数以外の芽や枝を切り落とし、新梢を仕立てで想定した方向に伸びるように位置を調整します。これを「新梢誘引」と言い、どんどん伸びる新梢をワイヤーなどで固定し、まんべんなく日光が当たるように日々調整しながら配置をしていくのです。

そして6月頃には白~薄黄色に近い色の花を咲かせ、この花がきちんと受粉するとブドウの実ができます。

この時期に雨や風、低温が続くと、花が咲いても受粉がうまくいかずに実が落ちてしまう「花ぶるい」という状態になり、結果として収量が落ちたり同じ果房の中でも果実によりばらつきが生じてしまいます。

ヴェレゾン~成熟期(7~9月)

6月頃に開花し結実した実は、照り付ける太陽のもと肥大し成熟していきます。

その頃から赤ワイン用品種では実の着色が始まります。この着色のことを「ヴェレゾン」と言います。

そして結実後の房がそろうと、収穫量の見積もりが出来るようになり、樹や房を確認しながら収量の調整に入っていきます。

この収量調整を「摘房(=グリーンハーベスト)」といいます。具体的には、新梢の葉の枚数、房の数と大きさのバランスを見て余剰な房を切り落とす作業となります。

グリーンハーベストを実施するかどうかは生産者によりますが、一房当たりにより多くの栄養を与えるために実施されることが多く、日光のあたり方を調整したり、カビなどの衛生的事情での発育不良を防ぐためにも行われます。

ブドウの粒の表面には、ワックスのような成分がありある程度の病気から守れるようになっていますが、それでも雨などで過剰に水分がつくと病気のリスクが高まる為、産地によっては房や葉に雨除けを実施することも。

また、果実が成熟していくと、昆虫や鳥類をはじめとした生き物によって実を食べられてしまうこともあるので、その対策も必要となり生産者にとって多忙な日々が続きます。

収穫期(9~11月)

果実が完熟したらいよいよ収穫です。

品種にもよりますが、ワイン用のブドウ品種の多くが9~10月頃に完熟し、収穫を迎えます。

収穫のタイミングは、ぶどうの品種や生産者のこだわりによって様々ですが、日々品種の果汁の糖度、酸の量、種に含まれるタンニンの状態、アロマや色付きの状態、健康状態などの様々なポイントを確認しながら決定されます。

収穫方法には手摘みと機械収穫があり、ともに利点がありますが、高品質ワインの多くは手摘みされています。手摘みの場合は、ワイナリーによりますが、十名を越える人々の手により一房一房の状態を見ながら丁寧に収穫されます。

こうしてたくさんの手間暇をかけて収穫まで至ったブドウは、ワイナリーに運ばれ仕込みへと入っていくのです。

まとめ

ブドウ畑では、収穫が終わった後に葉は紅葉し、やがて静けさを伴う休眠期へと戻っていきます。

素晴らしいワインを生み出すために、ブドウ畑ではこのサイクルが休むことなく続けられているのです。

1本のワインにはこれだけの畑仕事がなされていると思うと、目の前にあるワインに対してより愛おしい気持ちになるような気がしませんか。ワインを飲みながら、そのワインの背景に思いを馳せてみてくださいね。

籾山香奈子
籾山香奈子

JSA認定ソムリエ 秋田県出身。大のシャンパーニュ好き。 成城学園前店、GINZA SIX店での勤務を経て、現在はエノテカ編集部の一員としてライティングを担当している。

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