ソムリエ / ワインエキスパート1次試験対策 心得編

ワイン好きなら一度はチャレンジしてみたいソムリエ / ワインエキスパート資格試験。その1次試験とはどのようなものなのでしょうか。

今回はその概要と心得をお伝えします。

暗記8割、理解2割

試験の出題範囲は教本のみで、なおかつ4つの選択肢から選ぶという一見シンプルなもの。それでも全国の合格率は約50%と決して高くないのは何故でしょうか。

理由は教本が800ページ以上あり、その暗記量が半端ないものだからです。

2018年度からはCBT(コンピュータ試験)になり、山が張れなくなったのも難しさの要因と言えるかもしれません。

「暗記8割、理解2割」とはよく言ったもので、いかに効率の良い暗記をするかが合格のキーを握っているのです。

記憶力は生まれつきで決まらない

まず大切なのは、「記憶の良し悪し」は生まれつきで決まらないということです。

確かに、周りを見渡せば、成績の良い人や、どんな試験でも難なく合格してしまう人はいるものです。

しかし、そういった人たちが生まれつき脳細胞の数が多いかというそういうわけでもありません。

ただ、いわゆる成績が良い人たちに共通して言えるのは、時間の使い方が上手く、効果的な復習をしていることです。逆を言えば、「勉強が苦手だ」と感じている人でも、それが出来れば成績の良い人になることができるのです。

好きなことはいくらでも覚えられる

子供を観察していると、驚くほどアニメのキャラクターなどを記憶していたりします。それは子供に特別な能力があるわけでなく、「好き」という情熱が自然と暗記という結果に繋がっているのです。実は脳科学的にもこのことが証明されているのをご存じでしょうか。

脳には「海馬」という器官あり、いわゆる記憶の司令塔として知られています。

情報はまず海馬に入り、必要情報は大脳皮質に送り込まれ長期記憶へと定着します。その逆に重要情報でない場合は、海馬で「ふるい」にかけられて記憶に残らないのです。つまり記憶力を高めたいなら、この海馬を鍛える必要があるのです。

最近では、この海馬が活発になるタイミングが報告されています。それはθ(シータ)波という脳波が出ているときで、とくに対象に興味を持っているときによく出ることが明らかにされているのです。

興味深いのは暗記の対象が義務だったり、マンネリ化してしまったりするとθ波が出づらくなることです。

好きだと自然と何度も見てしまう

もう一つ「好き」が大切な理由は、対象に興味があると自然と何度も見るからです。子供たちも好きなアニメキャラクターのカードを繰り返し見ているのです。そうすると海馬が必要情報と判断し、大脳皮質に情報を送り長期記憶になります。簡単に言うと、暗記の対象が好きならば、苦も無く「復習回数」を増やせるのです。

つまりいかに「ワインが好き」という気持ちを持ち続けるかが、1次合格のキーを握っています。

教科書だけでなく、ときには映画を観たり、関連本を読んだり、ショップへ足を運んで購入したり、ワインを飲んだりするなど意識的にされるといいでしょう。

とくに勉強を進めると、苦手な範囲は必ず出てくるものです。そのときに、この「好き」という気持ちを維持する工夫というのが、合格のキーとなってくると思います。

合格のタイムスケジュール

800ページ以上の教本を制覇するためには、それなりの準備期間が必要です。ワインスクールでは3月にスタートさせて約5か月で終わらせてしまうのが一般的です。

8月に試験を受けると仮定するなら、4月末ぐらいまでに、酒類飲料概論、フランス、イタリアを。6月の上旬ぐらいにその他ヨーロッパ。7月の下旬に新世界や残りの範囲を学び終えていれば、残りの1か月は総合復習に割り当てられるので余裕をもって試験に臨めるでしょう。

もちろん、それよりも余裕をもって準備できたら安心でしょう。

1日2時間は確保したい

それではどれくらい勉強すれば合格に到達できるでしょうか。例えば1週間のうちで、まとめて日曜日に10時間勉強するというのは、あまり良い例ではありません。

それよりも、「ゼロ勉」の日をなくし、毎日コツコツ勉強することが合格の秘訣です。1日2時間は勉強したいものです。

ここで「2時間も無理だよ」と投げ出さないでください。確かに学生と違って、大人は仕事、家事、子育て、社会との関わりの中で様々な責任を負っており、1日の中でまとまった2時間を取ることは大変なことです。むしろ、まとまった2時間を取れる人のほうが少ないかもしれません。

だからといって、資格取得を諦めないでほしいのです。朝出勤前に30分、ランチを早く切り上げて30分、電車の中で30分、寝る前に30分という具合に隙間時間を足し合わせればあっという間に2時間になると思いませんか。

隙間時間の活用は、記憶の性質という観点でもポジティブです。何度も小分けにして暗記することで、上述の海馬が必要情報とふるいにかけ、長期記憶にしてくれるからです。

勉強のルーチン化

毎日少しずつ勉強するうえで、「気乗りしない」という日をなくすことも大切です。

またここでポイントなのは、最初からやる気満々の人はあまりいないということです。それでも「気分が乗らないから、今日は勉強やめた」となるのは防ぎたいところです。そのためにはどうしたら良いでしょうか。

答えは勉強をルーチン化して生活に取り込むことです。子供の頃を思い出してください。歯磨きが「めんどくさい」と感じたことはないでしょうか。でも今では、歯磨きをしないと気持ち悪くても居ても立っても居られないものです。それは何故でしょうか。

理由は歯磨きがルーチンとして生活の一部に取り入れられているからです。それと同じで勉強を習慣化してみてはどうでしょうか。

例えば、朝ご飯を食べ終わったら10分間だけメドックの格付けを書き出してみるといった具合です。この時、重要なのはできるだけ単純作業であること、二つ目に自分の好きな科目をルーチンにすることです。

やっているうちに、まるで車のエンジンが温まるように、気分が乗ってきて勉強モードになるものです。これを「作業興奮」といいます。この勉強のルーチン化は、できるだけ初期の段階でつくっておきたいものです。

まとめ

100人いれば100通りの勉強法があり、100通りの合格ストーリーがあります。しかしこの試験で大切なのは、まとめて勉強しようとせず、少しずつ暗記を進めること。

またその過程で、「ワインが好き」という気持ちを維持し続けることは、非常に重要な合格のコツなのです。

参考文献
Think『30歳を過ぎてからも頭はよくなる 記憶力を鍛える方法』池谷裕二
『できない脳ほど自信過剰』池谷裕二