ワインの女王!ボルドーワインの狙い目アペラシオン

ボルドーワインを開けましょう。エレガントで気高いその味わいは、まさに世界が認める「ワインの女王」です。

しかしその一方で、ボルドーというと、メドック、ポムロル、サン・テミリオンといった赤のプレミアムなアペラシオンばかりがなぜかクローズアップされていると感じることも。

実際はボルドーには約60ものアペラシオンがあり、中にはお買い得感満載のものや、ファンシーでワクワクさせられるものがあるのをご存知でしょうか。

ボルドーの進化を感じる白ワイン

「ボルドー・ルージュ」とは深紅色のこと。その名の通り、ボルドー地方では生産量の9割が赤ワインです。

たしかに長い歴史のなかで、ボルドーの白ワインはスランプを経験した時代もあります。しかし近年は目覚ましい躍進を遂げ、今や赤ワインに比肩する素晴らしい白ワインが産出されているのです。

その背景には間違いなくボルドー大学のスター教授陣の研究成果が挙げられるでしょう。

一つはドゥニ・デュブルデュ教授のオリとの接触とスキンコンタクトの研究。そしてもう一つは富永敬俊教授のフレーヴァーケミストリー(香りの化学)です。

この研究ではソーヴィニヨン・ブランの香り成分が早い段階から突き止められ、その後は香り成分の増減の原因まで解明されたのです。ボルドーの白ワインではその研究がすぐに取り入れられ、瞬く間に品質向上を果たしました。

アントル・ドゥー・メール、グラーヴはソーヴィニヨン・ブランを中心とした、華やかで軽快な白ワインです。

ボルドー・ブランも狙い目でしょう。このアペラシオンの中には、ソーテルヌの造り手たちが貴腐のつかなかった年に造る辛口白ワインもAOCボルドー・ブランとして出荷されるものも含まれるため、目新しい発見があるからです。

選ぶのが楽しいハッピーロゼ

温和な海洋性気候のボルドーでは、ヴィンテージバリエーションがつきもの。そのリスクマネジメントとして、もともと造られていたのがロゼワインだったのです。

「Happy Pink」とはよくいったもので、その美しい色調ゆえ、テーブルに華やぎを添えるだけでなく、飲み手を幸せな気分にしてくれます。また白でもない赤でもない、その中間の性質を持つために、普段なら合わせるのに困る食材にもマッチしてくれる便利さもあります。

おすすめはボルドー・ロゼとボルドー・クレレ。

ボルドー・ロゼはブドウを速やかに圧搾して、果汁のみ発酵させた淡いさくら色のスタイルです。ボルドー・クレレは果汁と果皮や種を、発酵前から発酵の初期にかけて1〜4日ほど接触させて造られます。この手法では赤とロゼの中間にも見えるヴィヴィッドなピンクになります。

カラーバリエーションや味わいの幅が広く、シチュエーションに応じて選べるのが嬉しいものです。

左岸できらりと光るAOC

左岸できらりと光る存在感を表しているのがオー・メドックやメドックといった地区名AOCです。カベルネ・ソーヴィニヨンが主体ですが、ポイヤックやマルゴーといった村名AOCと比べるとややメルロの割合が多くなります。

その理由は、砂利質土壌が中心の左岸において、これらのAOCはやや粘土が多くなるため。メルロは渇水に弱いため湿っている土壌と相性がいいのです。

10年や20年待たなければ飲み頃を迎えないポイヤックなどの村名AOCに比べ、親しみやすく比較的若いうちから楽しむことができます。特にクリュ・ブルジョワに格付けされている生産者のワインは狙い目です。

掘り出し物だらけの右岸

ラベルに見かけることが多くなった「コート・ド・ボルドー」。

数年前の取り決めで、カディヤック、カスティヨン、フランなどのアペラシオンがそれぞれの名称に、この「コート・ド・ボルドー」と付記することができるようになったのです。これらのワインのほとんどはメルロ主体で造られています。

サン・テミリオンやポムロルの厳格さや長期熟成能力には及びませんが、親しみやすく気軽にボルドーワインを堪能することができます。中には価格以上の実力をもつワインも存在するので、宝探しのつもりで気軽にトライするのも楽しいものです。

ラランド・ド・ポムロルはバルバンヌ川を挟んでポムロルと隣り合うAOCです。ポムロルと土壌構成が似ており、最近ではポムロルやサン・テミリオンで成功した造り手が畑を買い増しています。

例えばシャトー・ラ・フルール・ド・ブアールはサン・テミリオン第1特別級Aに格付けされているシャトー・アンジェリュスが手掛けています。

やっぱりAOC ボルドー・ルージュ

格付けワインはボルドーの全体の数%で、実際はAOCボルドー・ルージュとボルドー・シュペリュール・ルージュが大半を占めています。

いわばボルドーのベーシックワインとなるのがこの二つのアペラシオンなのです。熟れた赤系と黒系果実が入り混じるようなアロマに、上品なスギの香りがアクセントになっています。ミディアムボディのものが多く、すべては「バランス」という言葉に集約されます。

この二つはどのアペラシオンよりも、ダイナミックな品質向上を遂げてきました。その背景には、チリ産やオーストラリア産の安価でわかりやすいラベルのワインが人気を博するようになり、長らく世界的な競争にさらされてきたことが挙げられます。

ムートン・カデなど輸出にフォーカスする生産者たちが中心となり、品質向上とイメージアップに尽力してきたのです。そのためボルドーの中で、最もコストパフォーマンスが良く、ワクワクするワインが見つかるといっても過言ではないでしょう。

ワインの女王ボルドーのプライド

ボルドーワインはプレミアム赤だけではありません。そこには多様性があり、ボルドー地方全体としての革新や挑戦があります。

その著しい進化をみるときに、やはり「ワインの女王」と呼ばれ続けた、ボルドーのプライドを感じることができるのです。