注目の産地「マコネ」に迫る

2020年9月、マコネ地区プイィ・フュイッセの22のクリマが、プルミエ・クリュへの昇格を認可されたというニュースが世界を駆け巡りました。

名だたる生産者もワイン造りに乗り出している地域「マコネ」。ブルゴーニュ南部に位置し、渓谷と大きな断崖が交互に現れる展望に恵まれたこの地ですが、なぜそんなにも注目を集めているのでしょうか。今回はその理由と魅力に迫ります。

マコネが注目されている理由

これまで大量生産のカジュアルなワイン産地というイメージが強かったマコネですが、近年激しい変化を迎えています。

変化の一つとして、まずはトップドメーヌの進出が挙げられます。

コート・ドールの地価高騰やブルゴーニュワインの価格上昇によって、一般消費者が自分たちのワインを飲む機会が失われていると感じたコント・ラフォンなどのトップドメーヌが、自分たちのワインをもっと気軽に楽しんでほしいという思いから、地価も安くコート・ドールと同じ石灰質土壌が拡がっているマコネに進出し、ワイン造りを始めました。

トップドメーヌの一流の技術によって、リーズナブルで魅力的なワインが生み出されているのです。

また、村名格のアペラシオンがあるのみに留まっていたマコンですが、2020年9月、プイィ・フュイッセの22のクリマがプルミエ・クリュへの昇格を認可されたことも大きな要因。

プイィ・フュイッセの生産者とINAO(国立原産地名称研究所)が10年にも及ぶ歳月をかけて、200を超すクリマの中からプルミエ・クリュを選び出し、認可に至りました。

今回のニュースが世界のブルゴーニュ愛好家の注目を集めたのは言うまでもありません。改めてどんなところなのか見ていきましょう。

そもそもマコネってどんなところ?

ブルゴーニュ南部、コート・シャロネーズ地区のさらに南に位置するマコネ地区。マコネとマコン、よく似ていますがマコネは地区の名前、マコンは街の名前となります。

「シャルドネの故郷」と呼ばれるこの地域は、シャルドネから造られる白ワインの生産地として有名で、生産量はブルゴーニュで造られる白ワインの約3分1を占めるほど。

石灰質の火打石の破片シャイユが入り混じった土壌は、シャルドネの栽培に非常に適していると言われています。

マコネ地区のワインは温暖な気候も影響し、コート・ドールで造られる白ワインに比べて、厚みのある豊かな果実味が特徴です。

マコネ地区における等級は以下の図のようになっています。

最もスタンダードな地域名アペラシオンが「マコン」。その上に地域内の特定地区だけが名乗れる「マコン・ヴィラージュ」があり、さらにその上に「サン・ヴェラン」などの村名格アペラシオンという構造になっています。

わかりづらいのが「マコン・ヴィラージュ」で、ラベル表示が認められている特定の村のブドウだけで造られた場合は「マコン・ウシジィ」のように、「ヴィラージュ」に代わり村名の表記が可能です。

代表的な産地

マコネ地区には、プイィ・フュイッセ、プイィ・ヴァンゼル、プイィ・ロシェ、サン・ヴェラン、ヴィレ・クレッセの五つのアペラシオンがありますが、今回はその中から特に代表的な三つをご紹介します。

プイィ・フュイッセ

1936年に認定された、マコネ地区の白ワインの中でも特に高い評価を得ているアペラシオン。

フュイッセ、シャントレ、ソリュトレ・プイィ、ヴェルジソンの四つの村にまたがり、この風光明媚な村の中で目を引くのが、切り立った断崖“奇石”として名高いソリュトレの岩山。標高500メートルに及ぶ、この奇石を囲むようにブドウ畑が拡がっています。

プイィ・フュッセの畑は世界最高峰の白ワインが生み出されるコート・ド・ボーヌと同じく、標高は200~300メートル、豊富な石灰岩質に粘土が混ざった土壌でほとんどの畑が東か南東向き。

丘陵地がいくつも連なる地形は、その斜面と壁のような岩山によって雨風にさらされることがないため、白ワインに理想の地としても知られており、味わいはエレガントさが際立ち、非常に果実味豊かです。

そのふくよかな味わいと香りから、特にアメリカで人気があり、近年では先述した通り22のクリマがプルミエ・クリュへの昇格が認可されたことで、その人気にさらに拍車をかけています。

また、この他にプイィからはじまるアペラシオンが二つあります。プイィ・ヴァンゼルとプイィ・ロシェです。どちらも1940年にAOC認定されていますが、面積が非常に小さく、生産量も少ないため、日本で出回っている量は多くありません。

サン・ヴェラン

サン・ヴェランは1971年に制定されたアペラシオン。プイィ・フュイッセと同様に、2010年3月プルミエ・クリュの認可申請書をINAO(国立原産地名称研究所)に提出しており、現在はその認定基準を議論しているところです。

八つの村がアペラシオンとして認められていますが、特筆すべきはその区画でプイィ・フュイッセをはさむような形で北部と南部に分かれています。

北部にはダヴィエ、プリッセ、ソリュトレ・プイィの三つの村があり、ソリュトレ・プイィ村の白ワインはプイィ・フュイッセを名乗ることも出来ます。

南部にはシャンヌ、シャスラ、レイヌ、サン・タムール、サン・ヴェランある五つの村があり、サン・タムールはガメイで造られる「クリュ・デュ・ボジョレー」の産地として名前が知られています。実際にアペラシオンが制定されるまで、この地で産出される白ワインは「ボジョレー・ブラン」として称されていました。

厚い粘土質土壌が特徴的で、このアペラシオンで生み出されるワインは総じてドライながらも非常に厚みがあり、まろやかでしっかりとしたボディを感じます。

ヴィレ・クレッセ

ヴィレクレッセ

ヴィレ・クレッセは、1999年にヴィレ村とクレッセ村の二つの村の連名により誕生した、マコンの中で最も新しいアペラシオンです。

以前はマコン・ヴィラージュの一員として、「マコン・ヴィレ」と「マコン・クレッセ」を名乗っていましたが、その優れた品質と個性あるスタイルから村名格に昇格となりました。

ブドウ畑は南北に走る二つの丘の斜面で構成され、標高200~440メートルと幅広く拡がっています。そのため区画によって気候条件や土壌が異なり、ワインの味わいにはオープンさも感じられますが、フレッシュでミネラル感のある複雑な味わいが特徴です。

まとめ

今、脚光を浴びているマコネ地区。品質と価格のバランスに優れているのはもちろんのこと、村や畑による味わいも様々でブルゴーニュワインらしい楽しみ方が出来るため、今後のさらなる人気の高まりも期待されます。

ブルゴーニュの白ワインがお好きな方は、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。