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ワインショップ・エノテカ ANAインターコンチネンタルホテル東京店
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このショップのスタッフレビュー
今月のスタッフテイスティング!~ニュージーランド編~
鈴木 慶太
はじめに
皆さん、こんにちは。ANA店の鈴木です。
今回のブログは、これまでのブログとは少し違います。
これまでは産地や生産者、ワインそのものについてご紹介することが中心でしたが、
今回からはスタッフ勉強会である「スタッフテイスティング」の様子をお届けしていきます。
ANA店では、スタッフ自身も日々ワインを学んでいます。
ただ知識を覚えるためではなく、
「このワインのどこが面白いのか」
「お客様にご紹介するとしたら何を伝えたいのか」
を考えながら、意見を交わしています。
そして私たちは、その時間をお客様とも共有したいと考えました。
もし今回ご紹介するワインを飲む機会がありましたら、ぜひこのブログを読みながらグラスを傾けてみてください。
スタッフが感じたことに共感する部分もあれば、
「私はそうは思わないな」
という部分もあるかもしれません。
それも含めてワインの楽しさだと思っています。
このブログを通じて、まるでスタッフと同じテーブルを囲みながら一緒にテイスティングしているような気持ちになっていただけたら嬉しいです。
それでは、今月のスタッフテイスティングを始めていきましょう。
今月のテーマはニュージーランド!
今回のスタッフテイスティングでは、ニュージーランド マーティンボロを代表する生産者エスカープメントの単一畑キュヴェ「2021 キワ/エスカープメント」を中心として取り上げました。
このキワの畑は、かねてよりブルゴーニュの銘醸地「シャンボール・ミュジニー」を思わせると評されることがあります。また近年、エスカープメントがキワに使用していた畑をジェームズ・サックリング氏が取得し、新たに立ち上げたミラエ・ヴィンヤードから「ミラエ」がリリースされています。
そこで今回は、
「キワ、そしてミラエは本当にシャンボール・ミュジニーを想起させるのか?」
というテーマのもと、
- 2021 キワ/エスカープメント
- 2024 ミラエ/ミラエ・ヴィンヤード
- 2023 シャンボール・ミュジニー/エルヴェ・シゴー
の3本を比較テイスティングしました。
私たち自身も答えを持っていたわけではありません。
本当に似ているのか。 もし似ているとしたら、どんな部分なのか。 逆に決定的な違いはどこにあるのか。
そんなことを考えながら、今回のテイスティングがスタートしました。
まずはブラインドで!
今回のテーマは、
「キワ、そしてミラエは本当にシャンボール・ミュジニーを想起させるのか?」
というものです。
そこで今回はまず、
- 2024 ミラエ/ミラエ・ヴィンヤード
- 2023 シャンボール・ミュジニー/エルヴェ・シゴー
の2本をブラインド形式で比較することにしました。
もちろん、シャンボール・ミュジニーとミラエを飲み比べていること自体は分かっています。
ただし、どちらのグラスがどちらなのかは伏せた状態でテイスティングを行いました。
今回の目的はどちらがシャンボールかを当てることではありません。
ブランドや価格、産地名といった情報を一度脇に置いた時、私たちはどのような共通点や違いを感じるのか。
まずは先入観のない状態で意見を出し合ってみました。
テイスティングした印象から、スタッフそれぞれが自由に意見を出していきます。
私鈴木が最初に気になったのは土っぽさでした。
「Aの方が土っぽいニュアンスがあるよね。これを“ブルゴーニュらしい複雑味”と捉えればそうだし、“ニューワールドらしい素朴さ”と捉えればそうとも言える気がする。」
それに対して谷藤は、
「Aはより濃さを感じます。ブラックベリーとかダークチェリーのニュアンスがありますね。Bはラズベリーとかトマトのような少し明るい印象です。はんなりした中に芯がある感じ。」
とコメント。
一方、木島はBに注目しました。
「Bからはミネラルを強く感じます。それとタンニンがすごく滑らか。私はブルゴーニュ好きなので、美味しいと思ったBがシャンボールな気がします(笑)」
同じワインを飲んでいるにもかかわらず、
土っぽさに注目する人、
果実の印象に注目する人、
ミネラルやタンニンに注目する人。
着目点が全く違うのが面白いところです。
それぞれ意見が出揃ったところで答え合わせ。
結果は、
Aが2024 ミラエ/ミラエ・ヴィンヤード Bが2023 シャンボール・ミュジニー/エルヴェ・シゴー
でした。
実は予想を外したのは私だけ。
ただ、面白かったのは正解・不正解そのものではなく、その後の会話でした。
谷藤と木島の二人から共通して出てきたのは、
「もし逆だと言われても、そこまで違和感はないかもしれません。」
という感想です。
もちろん全く同じという意味ではありません。
ただ、比較しながら飲んでいても、両者には確かに近しい要素が感じられました。
さらに興味深かったのは、時間の経過による変化です。
しばらくしてから木島が、
「今ブラインドでやったら逆に答えると思います。」
と一言。
最初はBをシャンボールだと判断していましたが、時間が経つにつれて印象が変わり、むしろAを選ぶ可能性があるというのです。
ワインはグラスの中でも変化します。
そして人間の感じ方もまた変化します。
改めて、テイスティングの面白さを感じた瞬間でした。
それぞれの魅力
答え合わせの後、木島はシャンボール・ミュジニーについて、
「やっぱり、こっちが好きですもん。」
とコメント。
ミネラル感やタンニンの滑らかさを含め、自身の好みにしっくり来るワインだったようです。
一方で、ミラエについても高い評価が集まりました。
私が最初に感じた土っぽいニュアンスは、見方によっては素朴さとも言えます。
しかし同時に、全体の印象は非常にエレガント。
だからこそ、
ブルゴーニュらしい複雑さ
にも見えますし、
ニューワールドらしい素直な魅力
にも見える。
その両面を持っていることが、ミラエの面白さではないかという結論になりました。
そしてキワもテイスティング
シャンボール・ミュジニーとミラエを比較した後、最後にキワをテイスティングしました。
今回のテーマは「どれが一番良いか」を決めることではありません。
同じ畑に由来するミラエとキワ、そして比較対象としてのシャンボール・ミュジニー。
それぞれの個性を見ながら、この畑が持つ魅力について考えてみたいと思います。
グラスに注いでまず出てきたのは、香りに関するコメントでした。
谷藤は、
「最初は少し還元しているかもしれません。」
と第一印象を共有。
それに対して木島は、
「醸造方法なのかわからないけれど、甘草とか、青い果物とか、そういった香りがあります。」
とコメントしました。
さらに私は、
「確かに、そういったお野菜っぽさがありますよね。」
と続けます。
シャンボールやミラエで話題になった果実やミネラルの印象とはまた少し異なり、キワはより複雑で、言葉を探したくなるような香りの変化が印象的でした。
キワとミラエ、それぞれの個性
香りの印象を共有した後は、自然とキワとミラエの違いについての話になりました。
私は、
「キワももちろん素晴らしいワインですね。」
と前置きしたうえで、今回の比較で感じた違いを話しました。
「ミラエと比べると、キワの方が甘みを感じます。一口目から“おいしい”と思わせてくれる魅力がありますね。従来のニュージーランドらしい風味も、こちらの方が強く感じます。」
一方で、
「ミラエの方は、より明確にブルゴーニュを意識して造られているような印象を受けました。」
同じ畑に由来するワインでありながら、目指している方向性には違いがあるように感じます。
キワは親しみやすさや果実味の魅力を備えたワイン。
ミラエはよりエレガンスや繊細さを追求したワイン。
もちろん優劣ではなく、それぞれ異なる魅力を持っていることが今回のテイスティングで見えてきました。
今回の発見
今回のテイスティングを通して感じたのは、
「キワ、そしてミラエはシャンボール・ミュジニーそのものではない」
ということでした。
香りも味わいも、当然ながら別のワインです。
ただ、比較しながら飲んでいく中で、
「なるほど、だからシャンボール・ミュジニーを思わせると言われるのか」
という部分も確かに見えてきました。
特にミラエは、ニュージーランドのピノ・ノワールでありながら、果実味だけでなく繊細さやエレガンスを追求している印象がありました。
一方でキワは、同じ畑を持ちながらも、より親しみやすく、一口目から美味しさを感じさせる魅力があります。
だからこそ今回の結論は、
シャンボール・ミュジニーそのものではない。
しかし、シャンボール・ミュジニーを想起させると言われる理由は理解できた。
というものになりました。
皆様がこの3本を飲み比べる機会はなかなかないかもしれません。
ですが、もしミラエやキワを飲まれる機会がありましたら、
「どこにシャンボールらしさを感じるだろう?」
という視点でグラスを傾けてみると、また新しい発見があるかもしれません。
ワインに正解はありません。
だからこそ、こうして意見を交わしながら飲む時間は面白いものです。
ぜひ皆様の感想もお聞かせください。
最後に今回のテイスティング銘柄をご紹介
2021 キワ/エスカープメント
手掛けるワインは各評価誌でコンスタントに高得点を獲得している、名実ともにマーティンボロを代表するワイナリー、エスカープメント。こちらは、神話に登場する収穫の神様より名付けられた畑のブドウを使用した1本です。
こちらの銘柄は2026年8月31日(月)までANA店のバーカウンターでお召し上がりいただくこともできます。
ぜひグラスでお試しいただいて、スタッフのコメントと比較してみてください!
2024 ミラエ/ミラエ・ヴィンヤード
ワイン評論家ジェームス・サックリング氏が挑む、古樹ピノ・ノワールの新章。ピュアな果実味としなやかなテクスチャーが見事に融合した1本。
2023 シャンボール・ミュジニー/エルヴェ・シゴー
香り高いエレガントなワインを造り出す老舗ドメーヌ。平均樹齢40年のピノ・ノワールから造り出される、軽快さと繊細さを併せ持つ魅惑的なスタイル。