シャンパーニュに劣らぬ美味しさと親しみやすい価格で、今や泡好きの常識となっているスパークリングワイン、クレマン・ド・ブルゴーニュ。パリゴ・エ・リシャールはクレマン・ド・ブルゴーニュというAOPが制定される以前からスパークリングを造り続ける老舗です。エノテカでは長年取り扱っており、コストパフォーマンスの高さでスタッフにもファンが多く人気を集めています。

世界屈指の銘醸地ブルゴーニュ産のブドウから造られる、白とロゼのスパークリングワイン。ワインの質の高さに加え、優しくエレガントな味わいが特徴です。

・シャンパーニュ製法（瓶内二次発酵）で醸造

・リリースまでに最低でも9カ月の瓶内熟成

・使用可能品種【ガメイ、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、アリゴテ、シャルドネ、ムロン、ピノ・ブラン、サシー】

パリゴ・エ・リシャールは、1907年にエミール・パリゴ氏がサヴィニー・レ・ボーヌに設立した老舗ドメーヌ。ブルゴーニュ産の良質なブドウから発泡性ワイン(ヴァン・ムスー)を自社元詰めで造ったことから始まりました。創業後まもなくして愛娘ルイーズ・パリゴ氏と彼女の夫であるガストン・リシャール氏が事業に参加。1920年にはジャロン通りにワイナリーを設立しました。

現在の社名であるパリゴ・エ・リシャールとなったのは1952年にエミール氏の孫であるベルナール・リシャール氏とギィ・リシャール氏が加わった頃。エミール氏が亡くなった後も、二人は意志を引き継ぎヴァン・ムスーの発展に尽力しました。その甲斐もあって、1975年に伝統製法で造られるブルゴーニュ産の白とロゼのスパークリングワインは「クレマン・ド・ブルゴーニュ」としてアペラシオンに認定。

現在はベルナール氏の孫であるグレゴリー・ジョルジェ氏が5代目として継承しています。グレゴリー氏は「ブドウ栽培者として5代目を継ぐことは、幸運だと思っています。自分たちが所有するテロワールとその環境を尊重することは義務でもあり、世界的にも有名なクレマンを造ることは責任でもありますが、何よりも大きな喜びです」と語っています。パリゴ・エ・リシャールは長年培われてきた伝統を守りながら、クレマン・ド・ブルゴーニュを仕立て続ける生産者なのです。

パリゴ・エ・リシャールではコート・ドールにブドウ産地を限定し、シャンボール・ミュジニーからシャサーニュ・モンラッシェまで総面積12haの畑で採れたブドウを使用。各区画は理想的な日照条件に恵まれた南または南東向きで、下層土の石灰岩土壌がクレマンにエレガンスを与えています。多くのクレマン生産者がコート・シャロネーズやマコンからブドウを買い付ける中、より上質なコート・ドールのブドウにこだわり、ワインを仕立てているのです。

パリゴ・エ・リシャールの仕事ぶりは職人技のような丁寧さ。ブドウは機械を使わずに手作業で収穫し、ブドウが果実の重みでつぶれてしまわないように底の浅いパレットに小分けにして運びます。

異なる区画から収穫したブドウは別々に醸造。クレマン・ド・ブルゴーニュで定められている9カ月の規定を大きく上回る、24～60カ月の瓶内熟成を経てリリースされます。さらに驚くべきことに、ルミュアージュ（動瓶）はいまだに職人の手によって行っているのです。

ルミュアージュとは、熟成後にやや下方に傾けたボトルを毎日1/8ずつ回すことによって澱を瓶口に集める作業。最近では職人も減り、シャンパーニュであっても高級なものでないと人の手によって行われていません。このようにこだわり抜いた品質に対して、まさにコストパフォーマンスが高いと言える価格。パリゴ・エ・リシャールのキュヴェは品質の高さを誇るクレマン・ド・ブルゴーニュとして愛されているのです。